2020東京オリンピックの正式種目に選ばれ、男女併せて金メダル3つ、銀メダル・銅メダルをそれぞれ1つずつ、計5つのメダルを獲得したことで大きな注目を集めたスケートボード。個性あふれるスタイリッシュな各国のユニフォームは、多くのファンから同様のものを購入したいと問合せがあったほど話題になりました。日本で第三次スケートボードブームが到来していると言われている今、知っておきたいのが「ストリートカルチャー」。スケートボードは競技である前に、若者たちを中心にストリートから生まれたカルチャーなのです。今回はストリートカルチャーを語る上で欠かせないストリートファッションと合わせて紹介したいと思います。
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ストリートカルチャーとは
ストリートカルチャーは1970年代にヒップホップやスケートボードに根差すストリートから生まれたカルチャーのことです。他にもラップやブレイクダンス、落書き(グラフィティ)などがあります。当時、ニューヨークは財政破綻状態の不景気。学校に通えない、通えたとしても短時間で終わってしまう貧困層の子供たちが街に溢れました。お金がない子供たちを夢中にさせたのが、お金をかけずに楽しめるストリートカルチャーだったのです。ストリートカルチャーに精通する男女はブレイクダンス(Break Dance)またはヒップホップ発祥の地Bronxの頭文字をとって「Bボーイ」、「Bガール」と呼ばれ、仲間たちのことを「クルー」と呼びます。彼らの背景には奴隷制度など、黒人差別の歴史があり、失われた自尊心やアイデンティティをカルチャーやファッションで取り戻していったのです。
ヒップホップファッションとストリートファッションの違い
ストリートカルチャーを語る上で欠かせないのがストリートファッション。ヒップホップファッションと混同されがちですが、ヒップホップファッションが黒人のヒップホッパーやラッパーが着用しているビッグサイズの服やギラギラとした大きめのネックレスなどを使ったファッションを指すのに対して、実はストリートファッションには明確な定義はありません。ヒップホップファッションと同様、オーバーサイズの大き目なシルエットであることがほとんどで、Tシャツやスウェットやパーカー、ハーフパンツやデニム、スケートシューズやバスケットシューズなどのカジュアルなアイテムが定番ではあるのですが、ストリートファッションとは「街に集う若者たちから生まれ、発信されたファッションのこと」。時代と共に変化し続けているのがストリートファッションの特徴なのです。
日本におけるストリートカルチャーとは
ストリートカルチャーは長きにわたって世界中を熱狂させてきました。それはスケートボードが2020東京オリンピックの正式種目に選ばれたことを見ても明らかです。日本ももちろん例外ではありませんが、「日本にはストリートカルチャーは存在しない」と言う人も少なくありません。というのも、ストリートカルチャーは貧困や差別と切り離せないため、人種や階級の差があまりない日本ではストリートカルチャーが本来の意味で発生することはほとんどないと考えられているためです。現在の日本のストリートカルチャーはあくまで海外から輸入した「スタイル」だとも言われています。しかし、ストリートファッションにおいては日本ならではの発展を遂げ、世界から大きな注目を集めています。
日本のストリートファッション
ストリートファッションを「ストリートに集う若者たちから生まれ、発信されたファッションのこと」として考えると、この数十年で日本独自のストリートファッションがいくつも誕生しています。まず特筆すべきは1980年代の「DCブランドブーム」でしょう。当時の日本はバブル期で景気が良く、COMME des GARCONSやYohji Yamamoto、UNDERCOVERなどのデザイナーブランドが大流行しました。
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その後、アメカジブームが到来しますが、渋谷センター街から誕生した日本初のストリートファッション「渋カジ(渋谷系カジュアル)」へ日本独自の発展を遂げます。後に「キレカジ(キレイ目カジュアル)」へ発展した渋カジですが、「グランジファッション」や「裏原系」などの多くのファッションスタイルへと派生しました。そして何と言っても1990年代は日本のストリートファッションを語る上でなくてはならない時代。フランスのロココ調ファッションを日本のストリートファッションとしてアレンジした「ロリータファッション」の女子たちが竹下通りに溢れました。ファッションとしてだけでなくロココの文化や精神を非常に大切しており、「お茶会」を開きファッションや裁縫、ドールについての話題に花を咲かせることも。ロリータファッションは日本独自の「カワイイ文化」として今も世界中に熱狂的なファンが存在します。そして、ガングロブームの到来。ド派手なビジュアルで国内外共に強烈なインパクトを与えました。日本が良しとする「白い肌・黒い髪・ナチュラルメイク」という大和撫子らしい女性像へ反発するスタイルとして生まれたガングロファッションは、「ファッションでアイデンティティを取り戻す」という点でまさに日本を代表するストリートファッションだと言えるでしょう。最近ではY-3やRICK OWENSなどモード系のブランドをミックスさせた「モードストリートファッション」が流行しているのだとか。これからの日本のストリートファッションがどのように進化していくのか、目が離せませんね。
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