Image by: ZOZO
物を売る場だけではなく、情報発信の場に――ZOZOが、ブランドと実店舗をつなぐOMOプラットフォーム「ゾゾモ(ZOZOMO)」を始動した。近年は大手アパレル企業が自社ECと連動したOMO店舗の出店が相次ぐが、「ECモールが提案するOMO」とは一体どういったものなのか。ブランドソリューション本部の風間昭男本部長に話を聞いた。
現時点でゾゾモが提供するサービスは3つある。1つは、実店舗の在庫確認・取り置き機能だ。欲しい商品がゾゾタウン上で欠品していた場合、「店舗の在庫状況」から出店ブランドの実店舗にある在庫状況を確認できるほか、その場で取り置きができるというもの。取り置きした店舗にユーザーが来店することで、当該商品に加えて別商品とのあわせ買いが期待できるという。取り置きした商品を店頭で購入する際、ゾゾタウン上で発行される専用のQRコードを読み取る必要があるため、送客人数や売り上げも可視化できる。
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ファッション領域でECモールから商業施設や直営店に送客するサービスは国内初だという。11月1日からユナイテッドアローズやシップス、F・O・インターナショナルといった大手セレクトショップを中心に順次導入が始まり、当面は完全無料で利用できるようになっている。
2つ目はショップスタッフの販売サポートツール「ファーンズ(FAANS)」だ。ファーンズはショップスタッフ向けの専用ツールで、在庫取り置きを希望した利用客への対応を簡単操作で完結する機能を搭載。今後は、ZOZOが運営するファッションコーディネートサービス「ウェア(WEAR)」などでの投稿を経由したショップスタッフ個人の売り上げを可視化する「成果確認機能」の正式リリースも予定しているほか、ライブ配信やオンライン接客機能などの機能拡充を視野に入れる。
そして3つ目が、ブランドの自社ECとゾゾタウンの在庫シェアリング「フルフィルメント バイ ゾゾ(Fulfillment by ZOZO)」。在庫一元化により各チャネルにおける商品欠品を防ぎ、販売機会ロス削減につなげるというもので、マークスタイラーやF・O・インターナショナルなどが利用している。ゾゾベース(ZOZOBASE)の物流の安定稼働についても評価されているという。
ZOZOがオフラインの取り組みに着手し始めた背景には、コロナ禍で縮小しつつあるファッションの消費復活が狙いとしてある。「ゾゾタウンはコロナ禍で“徹底的に売りまくる”という点で業界に貢献してきたが、ゾゾモではリアル消費の復活においても貢献していく」。
在庫の取り置きでオンラインからオフラインに送客することに、ZOZOにとってどんなメリットがあるのか。「ゾゾタウンは色々なブランドが見たいライトユーザーが多い。このライトユーザーをさらに増やすのが今の経営課題となっている。買うだけではなく在庫情報を得るためにゾゾタウンを開く、というアクションが定着することでトラフィックが増え、全体の売り上げ増にもつながると考えている」。
紙媒体が衰退し、コロナ禍で実店舗の客足が落ちた中、ブランドにとってはネットを起点とした情報発信が欠かせない。「ティックトックやインスタグラムなどのSNSは存在するが、リアル店舗の在庫まで横断して情報を得られるメディアは他にないのではないか」。
大手アパレル企業が独自にOMO店舗を出店する動きが広まりつつあるが、ゾゾタウンの売り上げ比率は大手でも高い水準にあることから、ゾゾモに興味を持ってもらえている状況だという。また、ゾゾタウンがECで最主力の販路となっている中小規模の企業やブランドからの需要も見込む。今後はタイミングを見て完全成果報酬制で手数料を徴収する考えで、ビューティブランドもニーズに応じて検討する。収益化の目処については回答を控えたが、ゾゾタウンに出店する全ブランドが利用するプラットフォームを目指すという。
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