「T.T」
ニューヨーク拠点のブランド「タイガ タカハシ(Taiga Takahashi)」が12月4日、京都祇園にブティックを含む総合芸術空間「T.T」をオープンする。花見小路の裏通りに位置し、総面積は約50平方メートル。2フロア構成で、1階ではコレクションやアート作品を展示販売し、2階には予約制の茶室「祇園茶寮然美」を開設する。
デザイナーの高橋大雅は1995年生まれ。神戸市で育ち、2010年に渡英しロンドン国際芸術学校に、2013年にセントラル・セント・マーチンズのBAウィメンズウェア学科に進学。ベルギーのアントワープやロンドンのメゾンで経験を積み、卒業後自身の名を冠したブランド「タイガ タカハシ」をニューヨークで立ち上げた。ブランドコンセプトは「過去の遺物を蘇らせることで、未来の考古物を発掘する」。高橋は10代の頃から海外のアンティークディーラーや古美術商を通じて100年以上前の服を収集しており、その数は数千着にのぼる。
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2022SS Collection
Image by Taiga Takahashi
「T.T」は、大正初期に建てられた町屋を総改築。古材を持ち込んで作り直しており、屋根を支える大黒柱を移動させるなど妥協することなく高橋の思い描く「総合芸術空間」を作り上げたという。
1階 ブティック&ギャラリー
1階入り口には、高橋がイサム・ノグチ日本財団理事長で石彫家の故 和泉正敏とともに制作した玄武岩で作られた彫刻作品「無限門」を展示。茶室に入る前に心身を清めるため、庭先に備えた石や岩などをくりぬいた手水鉢「つくばい」をイメージしたという。
入口左手奥には、タイガ タカハシのコレクションが並ぶブティックを開設。オープン時にはベジタブルタンニングを施した後、一枚ずつ手作業で奄美大島に伝わる「泥染」をした馬革を用いた1930年代のアメリカ製カーコートをベースとしたレザーコートなどを展開する。また同スペースには、目に見えない時間の概念を考古学の観点から彫刻により視覚化した作品「無限円」を配置。高橋は「服が浮いているように見せたくてハンガーレールを隠すデザインを採用した」といい、米国で収集したハンガーに吊るすことで日本文化の中に欧米のエッセンスも加えている。
ブティックスペース奥には、枯山水をイメージした庭園を設置。枯山水と同じように、中と外の境界を曖昧にするため床を外まで延長した設計にした。庭園横には、茶室をイメージしたフィッティングルームが設けられている。
1階最深部には、壁一面が白で塗られたギャラリースペースを開設。オープン時には終わりがないものを表現したという高橋による彫刻作品「無限塔」を展示し、販売も行う。
2階 茶室「然美(さび)」
石の階段を上がった先にある2階フロアでは、「茶の湯」の世界を高橋の総合芸術の一部として表現した予約制の茶室「然美(さび)」を展開。老舗和菓子司2代目の職人による菓子と、京都の茶葉を使用した日本茶それぞれ5品のペアリングコース(税込5000円)を提案する。アルコールも提供しており、メニューは毎月変更される。
茶室「然美(さび)」
「ほとんど全てをオリジナルで作り上げた」と高橋が語るように、床、壁、器、椅子などは趣向を凝らしたもので構成。壁は京都唐紙工房「かみ添」に特注した和紙で包み、椅子は高橋とジョージ・ナカシマの家具を長年制作してきた「桜制作所」が制作した。床は異なる細さの木を並べる乱張りという手法を用いることで表情を出し、器は福村龍太など4人の作家が同店のために制作した一点物だ。高橋は「経年変化と経年美化が然美の由来。時間が経つことで良さが出る空間にしていきたい」とコメント。全てのディテールに高橋のクリエイションを反映させた。
「この空間はブランドのコンセプトである『過去の遺物を蘇らせることで、未来の考古物を発掘する』を形にした芸術作品だと思っている。アート、ファッション、伝統工芸など様々なジャンル人たちが集う場になれば」とし、今あるもの活用して生み出す考古学的な視点でのクリエイションを店舗を通じて発信していくという。
■店舗詳細
住所:京都市東山区祇園町南側570-120
T.T(1階)
営業時間:12:00〜19:00
定休日:水曜休
TEL:075-525-0402
公式サイト
祇園茶寮然美(2階)
営業時間:13:00〜18:30(予約制)
定休日:水曜休
TEL:075-525-4020
公式サイト
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