「モード」と「モード系」、普段なんとなく耳にする言葉ですが、どのようなファションを思い浮かべますか?実はこのふたつ、意味合いが異なります。モード系ファッションという言葉は日本でしか使われておらず、そこには、あの出来事が関連しています。今回は、モードとモード系の違い、起源などを解説していきたいと思います。
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モード(MODE)とは
フランス語で“流行”や“ファッション”という意味を持つ「モード(MODE)」。ラテン語で“測定”や“サイズ”を意味する「モデュス(modus)」を語源とする「アラモード(à la mode)」と同じく、ファッション業界では最新ファッション=流行の最先端という意味合いになり、モードは1600年代から英語圏でも同じ意味で使われているようです。
伝統的で正統派なイメージのある、時代の変化にとらわれない普遍的なスタイルのことをクラシック(クラシカル)ファッションと表現しますが、現時点でのモードはクラシックの対義語と捉えて良いのではないでしょうか。
「モード系ファッション」との違い
モードが最新のファッションを差すと説明しましたが、モード系とはどのように違うのでしょうか。実はこのモード系という言葉は、日本でしか使われていないそう。簡単に説明すると、ファッションの1系統(ジャンル)です。フェミニン系、カジュアル系、アメカジ系、渋谷系、スポーツミックス系……など、テイスト毎にカテゴライズしたものに当てはまります。
モード系の特徴としては、黒や白などのモノトーンアイテムを、個性的にコーディネートしたファッション、というイメージが強いようです。アシンメトリー(左右非対称)なアイテムやオーバーサイズ、ハイブランドを取り入れたスタイルも、ひとつの要素と言えるでしょう。
モード系ファッションの特徴例 ■一見シンプルだが、シルエットが不規則になっていたり変形していたりと、ディテールにこだわりのある印象的なデザイン ■モノトーンで統一されたシックな雰囲気(近年ではカラーを取り入れるケースもあり) ■ハイブランドのファッションアイテムを取り入れている etc
黒の衝撃が「モード系ファッション」の起源
モード系という言葉が、いつ頃から使われるようになったのかというと、1980年代の「黒の衝撃」が上げられます。「Yohji Yamamoto」と「COMME des GARCONS」が当時のパリコレで反抗や反逆を意味する色としてタブーとされていた「黒」を全面に押し出した作品を発表。全身黒の穴があいたボロボロに見える服は衝撃的で、ファッション業界の既成概念を覆したとまで言われています。そして当時のファッショニスタがこぞって身にまとい、「カラス族」と呼ばれるなど一大ムーブを巻き起こしました。この出来事があまりにも印象強く、「モード」本来の意味と、黒を基調としたモード系ファッションを強く結び付ける結果になったと言われています。
チェックすべき代表的なブランド
最後に、モード系ファッションとして取り入れたいブランドをいくつか紹介します。
Yohji Yamamoto
デザイナーの山本耀司が設立したファッションブランド。1981年にパリコレクションにてデビュー。黒を基調とし、アシンメトリックなカッティングや複雑なパターンメイキング、体線を強調するボディコンシャスの逆をいく、独特の分量感などを特徴としています。
COMME des GARCONS
デザイナーの川久保玲が1969年に設立し、1975年には青山に店舗をオープン。ブランド名は、フランス語で「少年のように」という意味で、アーティスティックで革新的なデザインが特徴。素材から縫製に至るまで全て日本製であることにこだわりを持っています。
Maison Margiela
創業者はマルタン・マルジェラ。1988年にパリで「メゾン マルタン マルジェラ」を立ち上げ、2015年に「メゾン マルジェラ」に改名。無機質なデザインに反して上質な着心地が特徴で、トレンドに左右されずに長く使い続けられるアイテムが多く揃います。白無地か数字を羅列した通称“カレンダータグ”の4つ糸は、ブランドの象徴となっています。
LIMI feu
デザイナー・山本里美が手がけるウィメンズファッションブランド。文化服装学院を卒業後、父である山本耀司のヨウジヤマモト社で2年間パタンナーを務めました。2000年秋冬シーズンから手掛けていた「Y’s bis LIMI」リニューアルする形で、2002年に自身のブランドとして「LIMI feu」をスタートしました。
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