リモートワークやDXが進んだことにより、働き方も急速に変化し始めている。場所や時間に縛られない働き方や、半永久的にリモートワークを承認する仕組みを導入した例もある。
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その変化に伴い、企業側も生産性の向上や、採用戦略の一つとして新しいワークスタイルを導入する必要性が高まっている。
求められる10のワークスタイル変革
これから紹介するJacob Morganによる10の新しい時代のワークスタイル変革は、すでに多くの欧米企業で採用されている。
その生産性の高さと従業員満足度の高さを考えてみると、どうしても保守的になりがちな日本企業も採用を検討してみても良いのではないかと感じる。
1. 勤務時間と場所が自由に
まずはこれ。リモートワークの一番の醍醐味が、場所と時間に縛られない働き方。日本では「ワーケーション」という言い方もする。
例えばAirbnb社では年間最大90日まで世界のどこからでも仕事をしても良い制度を採用している。こんな感じで、場所と時間の自由が高まれば、オフィスのある街だけではなく、海外から “出社” するのもアリになる。
もちろん同時に結果も求められるので、オフィスにきて働いているフリをしていたり、わざとゆっくり仕事をして残業代を稼いだりするのが難しくなる可能性は高い。
2. オフィスにあるデバイスを利用 → 自分のデバイスを利用
もしオフィスに行く理由があるとすれば、その一つがデバイスの利用だろう。一昔前まではパソコン自体がデスクトップ主流だったため、オフィスでしか仕事ができなかった。そのもっと前は電話もオフィスに行かないと取れなかった。
でも現代ではパソコンもスマホもどこにでも持ち歩けるし、基本的に家にある自分のデバイスで仕事ができる。自分のデバイスを利用することをBYODとか言うが、これからは B (Bring) ではなく U (Use) でUYODと表現する方が正しいかもしれない。
3. インプット重視からアウトプット重視へ
これまでは上司の言うことをしっかりと聞き、与えられた書類を全て読み、その内容を理解するだけでも一つの仕事として認めらてきた。
しかし今後のワークスタイルではどんどん自らがアウトプットして、その存在感を示していかないと価値を認めてもらえなくなってくる。
今まで会議ではあまり発言しなかったりした人も、自分の意見をいつでもちゃんと説明できるようにしておかないと、いる意味がないと思われてしまうかもしれない。
4. 既存の出世コース → キャリアパスを自分でデザイン
ワークスタイルの自由さが高まった分、安定性が下がってきている。例えるなら、メンバーが固定だったオーケストラから、即興のジャズバンドで物事が進む、いわゆるGig型キャリアが増えてくると予想される。
そうなってくると、既存のキャリアパスにしがみつくのはかなりのリスクになってくるだろう。もし現在大企業に所属しているのであれば、既存の出世コースに期待するのはそろそろ厳しい。
むしろまだ存在していないようなポジションを自分から生み出す、もしくは転職・独立も視野に入れて自由に動ける状態を確保していく必要があるだろう。
5. 仕事内容は自分で創造する
ここ数年で企業も組織も仕事内容も大きな変化を迎えている。特にテクノロジーの進化により、現在の仕事が近い将来どんどん消滅していく可能性が高い。
それに合わせ、新しい仕事がどんどん生み出されてきている。実際、IFFのレポートによると、現在の仕事の85%は2030年までに大きく変化、もしくは存在しなくなると予想される。
と言うことは、仕事内容も自分自身でどんどんアップデートしていかなければならない。これからはスキルアップではなく、スキルアップデートやスキルチェンジを定期的に行っていきたいところ。
6. 情報は隠さずどんどんシェア
これは日本の大企業あるあるなのだが、上司がチームメンバーに情報をあまりシェアしたがらない。どうしてなのかと聞いてみたところ、自分しか知らない情報があることが、その人の価値になると言うかなり謎な理由だった。
しかし、ここまで情報シェアが一般的になってきた時代において、さすがにその手法は通用しないだろう。むしろ自分が持っている知識やノウハウを可能な限りどんどんシェアしていくことで、その人の評価が高まる。
Zipファイルにかけたパスワードを次のメールで送るPPAPや、最初のディスカッションを始める前にNDAへのサインに数週間かけたりなどしていると、あっという間に時間が過ぎてしまい、企業としての競争力が下がってしまう。
ちなみに、シリコンバレー界隈の常識として、投資家に対してNDAへのサインを求めるスタートアップは相手にされないというものがある。これは、アイディアや情報自体には価値がなく、機密保持を気にするような人たちの話は聞きたくないという考え方。
本当に重要な機密事項以外は、なるべく情報を開示してスタッフがアクセスしやすくすることで、社内の透明性が高まり、信頼性がアップする。結果として、企業としてのスピード向上に繋がる。
7. どんどん発言してオピニオンリーダーに
これまでは「新人は黙ってろ」的な風土の日本企業もあったかもしれない。しかし、新しいワークスタイルになると発言したもの勝ちになる。
特にリモートの場合は、勤続年数や立場に関係なく誰でも発言しやすい仕組みが得られるので、自分の意見やアイディアをどんどんアウトプットしていきたい。
また、社外に対してもイベントなどで登壇することにより、個人の価値が高まり、仕事のしやすさが格段にアップする。所属している組織のブランド力に頼る時代から、個人がオピニオンリーダーになる時代に変化してきている。
8. やりとりはメールからコラボツールへ
細かいツールの話で言うと、コミュニケーションの効率を高めるために、メール中心からSlackやFigmaなどのコラボツールを最大限に活用する企業が増えてきている。
複数のチャンネルが作れるし、ファイルの送信も簡単。そして、複数の外部ツールとの連動もしやすくなっているため、メールでのやり取りと比べても格段にスピードが速く、ストレスが少ない。
9. 知識を常にアップデート
以前に「なぜアメリカの企業は年配の重役の人たちでもテクノロジーをガンガン活用できるのですか?」と聞かれたことがあったけど、それは単純に常にスキルをアップデートしていかないと速攻クビになるから。
今日の知識は明日には全く価値がなくなる。それは極端かもしれないが、そのくらいの気持ちで知識をアップデートしていかないと、仕事にならなくなってきている。
10. 社内研修以外でも常にラーニング
これまで仕事の内容を学ぶには社内研修に参加するのが一般的だった。しかし、求められるスキルの内容がどんどん細分化され、自分のコアな役割以外の専門的な知識も求められ始めていることから、社外のメンターや、外部のラーニングプログラムに参加する必要が出てきている。
例えば、デザイン思考のような分野は、どのような役職の人にも必須な内容になってきているし、基本的なデザインスキルを身につけることでアウトプットの質が格段にアップする。
必要なのはカルチャー変革
ちなみにワークスタイルの変革には、デジタルツールの発達が大きく寄与しているのは間違いない。しかし、実はそれだけでは不十分。
どれだけネットが発達しても上司がガチガチな昭和モードだった場合は、おそらく仕事の仕方は従来とあまり変化ないだろう。
日本では2020年ごろからDXに関してのブームが始まり、猫も杓子も「DXください」状態になっているが、本当に実現できているケースは多くないと感じる。これは、その下地となるカルチャーが醸成されていないからだ。
遊ぶように働くワークライフ・インテグレーションがおすすめ
一昔前に「ワークライフ・バランス」って言うのが注目されていた。働く時間を少なくして、より個人の時間を取れるようにすることを目標にしているコンセプト。
しかしこのやり方だと企業側が無理やり労働時間を削ることでしかゴールを達成することができず、むしろ限られた時間に成果を求められスタッフのストレスは上がる一方。
特にリモートワークがハイブリッドワークが広がってきた現代においては、仕事とプライベートを切り離す方が非現実的だ。
仕事とそれ以外の時間を区別する事自体が実はナンセンスであり、もし企業がそうしろと言ったとしても建前でしか無い。
そんな無駄な「働き方改革」的仕組みを導入するのではなく、違ったアプローチから取り組む必要がある。
仕事を楽しいと思っている人が多い企業であればむしろ仕事と私生活を無理なく連動させる仕組みを提供してあげた方がお互いのメリットに繋がるのである。仕事をしたい時にできる、休みたい時に休めるほうがストレスは少ない。
残業しても結果が出ないより、楽をしたってちゃんと結果が出せる方がよっぽど良い。それを実現するのは、企業の工夫一つで可能。
これからは「遊ぶように働く」事ができる環境を提供して、成長できる企業を作り出すのが最適なマネージメントなのかな?と感じる。
筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.
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