「ファッション甲子園 2022」受賞作品
Image by: ファッション甲子園実行委員会
第21全国高等学校ファッションデザイン選手権大会「ファッション甲子園 2022」が、青森県弘前市で開催された。ファッションショー形式の最終審査会は2019年以来3年ぶり。全国83校2108点から第一次審査を通過した18都道府県21校33チームが出場し、学校法人石川学園 横浜デザイン学院 高等課程が初優勝に輝いた。
高校生が対象のファッションデザインコンテストとして20年以上の歴史を持つファッション甲子園は、新型コロナウイルスの影響で2000年大会の開催を見送り、前回の2021年大会はオンラインで実施。今年は3年ぶりに最終審査会が弘前市民会館で開催され、多くの観客を集めるとともに、オンラインでライブ配信も行われた。
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審査員を務めたのは、ファッションディレクターの原由美子、ファッションデザイナーの津森千里、クリエイティブディレクターの天津憂、そしてゲスト審査員のFASHIONSNAPファッションディレクター 小湊千恵美。さらに特別賞選考として、海外ファッションブランド協会副会長のジョルジオ アルマーニ ジャパン 笹野和泉 代表取締役社長が参加。会場には、同じく海外ファッションブランド協会からバーバリー・ジャパン 小田切賢太郎 代表取締役社長、リシュモン ジャパン アルフレッドダンヒル 伊知地徹 CEO、クリスチャン ディオール 竹林朋毅 代表取締役社長、リシュモン ジャパン 三木均 代表取締役社長兼リージョナルCEOも出席した。
審査基準は「高校生らしい『瑞々しい感性』」。入選した33チームそれぞれが、デザイン画をもとに制作した作品をステージで披露した。不安定な感情を表現したり、SDGsやサステナビリティを意識した素材選びなど、時代に沿ったテーマやアプローチが印象的。また、和のテイストや伝統工芸、アートといった、それぞれの興味やルーツを大胆に落とし込んだ作品も目立った。
優勝を獲得したのは、学校法人石川学園横浜デザイン学院(メンバー:茂木楽真、秋濱優奈)の作品「単細胞な...」。「自分が今、かわいいと思うモチーフだけを組み合わせ、絶妙なバランス感を大切に考えた」というデザインで、印象的な赤の染色と、ボディを覆った球体の配置といった全体のバランスが評価された。
準優勝は青森県立弘前実業高等学校(メンバー:石沢雛和、岩﨑凜花、今保乃香)の作品「gimmick」。「ペンローズの図形という、実際には作ることのできないものを服につけたらどうなるのだろう」という興味や、「目の錯覚を利用した、見て着て楽しい服を作りたい」という思いからデザインしたという。平面的な図形を立体で組み合わせるユニークなアイデアと、その再現性が評価を得た。
第3位は山本学園情報文化専門学校(メンバー:原寧音、森友紀)の作品「Mix」。「日本の伝統工芸のMixと、和と洋のMix」を目指したというデザインで、つまみ細工による約200個の花など繊細な装飾と鮮やかさが視線を集めた。
特別賞となる「海外ファッションブランド協会賞」に選出されたのは学校法人舘田学園 五所川原第一高等学校(メンバー:荒谷心夢、荒谷心音、福島芽依)の作品「瑠璃(るり)も玻璃(はり)も照らせば光る」。江戸切子の矢来文様をテキスタイルで立体的に表現し、審査員特別賞の「原由美子賞」も受賞した。
同じく審査員特別賞として、「津森千里賞」は熊本県立熊本工業高等学校(メンバー:稲葉貴、高濱優佐)の作品「梅雨の貴婦人」、「天津憂賞」は大阪府立泉尾工業高等学校(メンバー:焼田晴子、森そら)の作品「雨」が受賞。そしてゲスト審査員特別賞「小湊千恵美賞」を受賞したのは、埼玉県立越谷総合技術高等学校(メンバー:門馬里弥、吉野光海)の作品「CORONA」。学生生活を含め日常を奪ったとも言えるコロナを直球でテーマに据えながら、その暗いイメージを払拭する軽やかでクールな表現が、ファッションの持つ役割を意識させた。
ファッション甲子園は、ファッション甲子園実行委員会の主催により2000年の北東北大会からスタートし、翌年から全国大会として毎年開催。2004年に事務局が青森県庁から弘前商工会議所に移り、以降は弘前市にて実施されている。2020年には第38回毎日ファッション大賞の「鯨岡阿美子賞」を受賞。「21世紀のファッションを担う人づくり」のファッション振興策として、多くの才能を輩出している。
入選作品
青森県立弘前実業高等学校「アート」
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