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【2023年9月1日続報】セブン&アイ・ホールディングスがそごう・西武の売却を完了したと発表。そごう・西武の企業価値は2200億円としていたが、譲渡の実施時点で譲渡価額は8500万円と見込むとしている。
2度にわたり延期されてきたセブン&アイ・ホールディングス(以下、セブン&アイ)による百貨店子会社そごう・西武の売却について、9月1日に実施されることが正式に決定した。8月31日にセブン&アイが取締役会で決議した。売却を巡っては、そごう・西武労働組合は株式譲渡に伴う百貨店事業の継続と雇用維持への疑念で反発を続けてきたことから2度延期されていた。
そごう・西武は2023年2月期までの直近4年間連続で純損失を計上するなど経営が傾いており、セブン&アイからの財務支援を含めて約3000億円の有利子負債を抱える借入過多の状況。売却に関しては、米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループ(以下、フォートレス)が今年2月1日に取得する予定で、フォートレスはそごう・西武を買収後、ヨドバシカメラの持株会社ヨドバシホールディングスをビジネスパートナーとし、百貨店事業の運営についてそごう・西武と協議していく考えを明かしていた。株式譲渡後に懸念されているのは、西武池袋本店の主要フロアに大型家電量販店「ヨドバシカメラ」が出店する計画だ。百貨店事業の継続や雇用維持に対する疑念から、同労組は情報開示なく株式譲渡の話が進行したことに反発。先月には投票によりストライキ権を確立し、「9月1日の株式譲渡をしない」ことを解除条件としてストライキの通知を行ったが、セブン&アイは売却への姿勢を崩さない形となった。この結果を踏まえて同労組は今日、西武池袋本店でストライキを実施。そごう・西武は同店の終日臨時休業を余儀なくされている。
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昨年11月に発表されたセブン&アイとフォートレスの間で結ばれた基本合意の内容では、企業価値2500億円を軸にそごう・西武および同社子会社の純有利子負債や運転資本に係る調整などを行い、実際の譲渡価額を確定するとしていた。本日付での発表では、そごう・西武の「事業の継続」および「雇用の継続」に最大限配慮したリニューアルプランについてフォートレスに要請し、その結果、企業価値について300億円の減額を行ったほか、セブン&アイは連結子会社のセブン&アイ・フィナンシャルセンターのそごう・西武に対する貸付金約1659億円のうち約916億円を放棄することを決定した。
そごう・西武の売却を発表した昨年11月から約9ヶ月間が経過した。セブン&アイは、そごう・西武の株主から理解を得るべく、株式譲渡後の西武池袋本店のリニューアルプランを含めた説明および協議を行い、「西武池袋本店の今後の在り方について一定のご理解が得られ、本件譲渡後の新たな体制の下で継続的に協議を重ねていく目途がついたものと考えている」とコメント。労組に対しては「団体交渉および協議を継続するとともに、適切な範囲で支援・協力していく」と姿勢を示している。
また、そごう・西武も株式譲渡の正式決定に伴いコメントを発表。「今後は新たな株主のもとで百貨店事業を継続し、中長期的な企業価値向上をめざすとともに、お客さま、お取引先さまならびに、地域の皆さまのご期待に沿うべく、務めてまいる所存です」と述べている。なお、そごう・西武は2016年から社長職を務めてきた林拓二前社長が8月1日付で同職を退任。後任として同社取締役常務執行役員の田口広人氏が着任している。
そごう・西武 直近5年間の業績推移
・2023年2月期
営業収益:1854億3400万円(前期比40.6%増)
営業利益:24億6300万円
当期純損失:130億5900万円
・2022年2月期
営業収益:4568億4200万円
営業損失:35億2700万円
当期純損失:88億2600万円
・2021年2月期
営業収益:4404億8400万円
営業損失:66億9100万円
当期純損失:172億3900万円
・2020年2月期
営業収益:6001億4800万円
営業利益:1億7200万円
当期純損失:75億2600万円
・2019年2月期
営業収益:6152億5600万円
営業利益:32億6600万円
当期純利益:3億3600万円
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