西武池袋本店のトップページより
そごう・西武が米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループ(以下、フォートレス)に売却されることを受け、池袋駅に直結する西武池袋本店の低層・主要部(1~4階)に大型家電量販店の「ヨドバシカメラ」が出店することを懸念し、豊島区の高野之夫区長が西武鉄道を擁する西武ホールディングスの後藤高志社長に対して「西武池袋本店存続に関する嘆願書」を提出した。12月14日に開かれた区長記者会見で明らかにし、書面も公開した。
そごう・西武は先月、売却されることが正式に決定。2023年2月1日付でセブン&アイ・ホールディングスからフォートレス傘下の企業となる。譲渡後はヨドバシカメラの持株会社ヨドバシホールディングスがビジネスパートナーとなり、百貨店事業の事業運営についてそごう・西武と協議を行っていくという。
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高野区長は6期24年間にわたり同職を務める中で、豊島区の破綻寸前の財政を再建。「文化を基軸としたまちづくり」を掲げ、池袋の文化戦略に取り組み、「消滅可能性都市」の指摘も克服した。その戦略の中心にあるのが西武池袋本店であり、「その周辺のまちづくりが、池袋の将来のすべてを握る鍵」だと位置付けている。今年1月には、池袋駅を中心に東西を結び、駅から街へと来街者の回遊を広げる「ウォーカブルなまちづくり構想」を公表していた。
そごう・西武の売却決定については「大きな衝撃を受けている」とコメント。池袋駅の改札を出ですぐの“池袋の玄関口”とも表現できる西武池袋本店の低層階には、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」や「エルメス(HERMÈS)」「ティファニー(Tiffany & Co.)」などのラグジュアリーブランドが出店している。高野区長はヨドバシカメラが参入することで池袋のさらなる家電量販店の激化や海外ブランド店舗の撤退につながりかねないとし、「長年育ててきた顧客や富裕層も離れ、今まで築き上げてきた『文化』のまちの土壌が喪失」することを懸念しているという。
西武池袋本店の約50%の土地は西武鉄道が所有している。存続の嘆願書は、後藤社長の「池袋のまちづくりは行政を中心とした国際アート・カルチャーが集まる文化都市として着実にまちづくりを進めてきた。西武池袋本店の顔である低層部が池袋のまちづくりのすべてを握っている」という発言を受けて提出したという。高野区長は「決して、ヨドバシカメラの進出に異を唱えているわけではない」としながら、低層部への出店に関しては大きな懸念を示し、「池袋全体のこれからのまちづくり構想を壊してほしくないというお願い」だと強調した。
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