そごう・西武の売却を巡って経営陣と意見が対立しているそごう・西武労働組合は8月28日の今日、都内で記者会見を開き、ストライキ実施の予告通知を行ったと発表した。複数媒体の報道によれば、同社の親会社セブン&アイ・ホールディングス(以下、セブン&アイ)は9月1日に売却完了するための調整を進めている。同組合としては「9月1日に株式譲渡をクロージング(売却完了)しない」ことを条件とし、交渉難航が継続した場合、今月31日にも西武池袋本店でストライキが実行される見通し。国内百貨店としては異例の事態となる。
セブン&アイは昨年11月、米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループ(以下、フォートレス)に対してそごう・西武を売却することで基本合意したと発表。フォートレスはヨドバシカメラの持株会社ヨドバシホールディングスをビジネスパートナーに迎え、百貨店事業の運営についてそごう・西武と協議していく考えを明かしている。今年2月1日付で売却手続きが完了する予定だったが、株式譲渡のスキームや雇用確保などの労使関係を懸念し、そごう・西武労働組合や豊島区が反対の意向を表明。そごう・西武労働組合は先月、投票によりストライキ権を確立した。
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ストライキの対象となる店舗は西武池袋本店で、従業員は約900人。開始日は「8月31日から」とし、実行された場合、初日は終日実施する予定で、自主編集売り場は営業しない方針だ。なお、取引先の売り場に関して、そごう・西武労働組合中央執行委員長の寺岡泰博氏は「終日営業するのはオペレーション上の問題は出てくるだろう。営業できるだろうが混乱は避けられない」と見解を示した。
そごう・西武売却の詳細について1年半ほど情報開示がなかったといい、「労働組合としては今月に入ってからようやく情報開示されたという立場。納得感が得られていない」(寺岡氏)とし、ストライキの目的は「交渉力を上げるため」としている。今月に入ってから発表された林拓二前社長の解任とセブン&アイからの社外取締役の新たな選定が疑念を強くしたといい、さらに25日にも社外取締役が追加発表されたことで寺岡氏は「矢継ぎ早に売却を進めていこう、という前のめり感が見え隠れする」と吐露。労使協議ではセブン&アイの井阪隆一社長も参加したが、寺岡氏によると「(株式譲渡の)クロージング自体は決めていないが、一日でも早くということは否定されていなかった」という。報道にある通り9月1日のクロージングを目指して今月31日に取締役会で決議されると推測し、本日付でストライキ実行を予告したという。組合がストライキを行うには、少なくとも48時間前までに通知が必要とされており、このタイミングでの発表となった。
同労働組合がこだわるのは「クロージング前の協議」だ。セブン&アイ側からは「誠実に協議を進めていきたいという意向があるという申し出はあった」(寺岡氏)というが、株式譲渡が完了し資本関係が解消された後、そごう・西武の経営に関してセブン&アイによる直接的な介入はなくなる。本日開かれた労使協議でも「今後どのように雇用が守られるのか」を中心に議論を重ねたが、寺岡氏は「セブン&アイ側の動きが際立つなかで、いつ何が起こるかよくわからないという不安と不信感がある」とし、現段階は資本関係が守られた中で交渉していきたい考え。あくまでも「株式譲渡そのものをやめてくださいということではない」と理解を示した。
会見には、クレディセゾン労働組合 中央執行委員長 佐藤光明氏や高島屋労働組合 中央執行委員長の西嶋秀樹氏など、同じ百貨店業界の労働組合の代表も同席。西嶋氏は「そごう・西武は仲間。こういうときにこそ孤立させない。困っている仲間がいれば寄り添う」とし、支援継続の姿勢を示した。
会見の様子
Image by: FASHIONSNAP
ストライキの対象となる西武池袋本店
Image by: FASHIONSNAP
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