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繊研plusようやく朝晩は涼しくなったが、今年の猛暑は厳しかった。中年記者の体力を奪うだけでなく、小売店の秋の立ち上がりも打撃を受けた。記者は紳士服の担当にもかかわらず、今春夏にスーツを着たのは数回。たまにスーツで取材先の人に会うと、すごく驚かれてしまった。
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スーツ市場も激変した。コロナ禍で消費者の生活スタイルも変わり、スーツ離れに拍車がかかった。春からは会社に出社するビジネスマンが増え、スーツも回復基調にあった。それでもオフィススタイルのカジュアル化が進み、オン・オフ兼用できる汎用性の高いセットアップなどを好む傾向は強まった。
昨年春に販売を開始したAOKIの「スーツ屋の仕立てたTシャツ」が累計販売数で10万枚を突破した。「ジャケットのインナーとして着用しやすいTシャツが欲しい」という顧客の声をもとに開発した。スーツ屋ならではの人間工学に基づいた立体縫製の技術を生かし、改良を重ねたことで多くの支持を得られたのだろう。
スーツ自体はダウントレンドのアイテムかもしれないが、そこから逃げず、スーツ屋として自社のアイデンティティーを見つめ直したことが大きい。逆転の発想から新たなヒット商品を生み出せたのだ。消費者の悩みに寄り添い、解決するために自社の強みを発揮することができればヒットを連発するのも夢ではない。
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