K-POP人気の影響もあってか、今や世界的にも注目される新たなトレンドを次々と生み出している韓国のファッション界。そんな韓国発のファッションムーブメントが「ニュートロ」です。ニュートロとは、「ニュー(New)」と「レトロ(Retro)」を組み合わせた造語で、現在流行っているオンタイムのトレンドに、90年代の要素をプラスしたファッションのこと。MZ世代と呼ばれる10代から20代を中心に人気を得ているスタイルで、それより上の世代にとってはどこか懐かしさを感じるかもしれません。今回はそんな「ニュートロ」ファッションをわかりやすく、徹底的に解剖していきます。
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ニュートロとは?
NEWとRETOを組み合わせたファッション=ニュートロですが、具体的にはどのようなスタイルを指すのでしょうか。ニュートロの「レトロ」は1990年〜2000年代のトレンドをオマージュしたものだけに、MZ世代以上にとってはむしろ懐かしさの方を強く感じるかもしれません。例えば、代表的なのが原色。鮮やかなピンクやグリーンといったカラーを取り入れたり、原色アイテムをチェックやアニマルプリントなどの柄物と合わせるのが定番。そしてもうひとつ、90年代を象徴するデニムもマスト。上下デニムでまとめるコーデやローライズデニム、オーバーサイズデニムが再注目を集めています。ただ、これらをそのまま90年代風に着こなすのはNGで、コツは今の気分をプラスすること。タイト&ルーズなシルエットやヘルシーな肌見せ、ストリートの要素を添えるなど、どこかに現代の要素を組み合わせることでニュートロスタイルが完成します。
韓国でのニュートロブーム
そもそもニュートロは韓国初のトレンドですが、その火付け役は5人組ガールズグループのNew Jeans。メンバーがハイブランドのアンバサダーを務めるなどファッション界からもラブコールが絶えない人気グループで、彼女らのスタイリングがまさにニュートロなのです。しかしファッションでのブーム以前に、K-POP界隈では2019年頃から過去のアイドルの名曲カバーが人気を博しており、その流れがファッションにも波及した模様。また、2022年には90年代のレトロな演出が評判になったドラマが話題になるなど、音楽と映像作品の両面からレトロブームを牽引したといえます。90年代に流行した淡いカラーのデニムや迷彩柄やドットといった柄物、スポーティーなアイテムなどは、現代のMZ世代にとってはとても新鮮。若い世代がそれらを取り入れることでニュートロブームが加速し、それがSNSを通じて広がりを見せています。
日本でのニュートロブーム
中高年の女性を中心に巻き起こったかつての韓国ブームとは異なり、現代の韓国ブームを牽引しているのは主に10〜20代の女性。トレンドマーケティングのFRIL labが発表したデータによれば、10代と20代女性がファッションで参考にしている国の1位が韓国だそう。確かに欧米人よりも顔立ちや骨格が似ている韓国人のスタイルは真似がしやすく、かつ価格面でも手が届きやすいのが若年層に人気の理由です。そしてもちろんこの世代の女性はニュートロブームも見逃していません。しかし日本でのニュートロは、本家韓国とのニュートロとは少し趣が異なります。韓国のニュートロが肌見せなどヘルシーなセクシーさが中心なのと比べ、日本の場合は90年代のストリートカルチャーがベースになっています。だぼっと着こなすアディダスのジャージやおもちゃのビーズアクセサリーなどかつての原宿系を思わせる小物使いも印象的で、全体的には韓国よりボーイッシュでポップなのが特徴です。
ニュートロを知るにはかつてのトレンドを知るべき
ニュートロを語る上で欠かせないのが1990年代周辺のトレンド。ここからは1980年代、90年代、2000年代に分けて各時代のビッグトレンドを振り返ってみましょう。
1980年代のトレンドリバイバル
1980年代はとにかく女性がパワフルな時代。マドンナがランジェリールックで一世を風靡したこの時代は、今でいうところのバブルファッション最盛期。パワーショルダーにゴールドのアクセサリー、体のラインを強調するボディコンシャスな服など、女性らしさを全面に出しつつ強さも感じさせる装いが大人気でした。現在トレンドとなっている肩周りにボリュームを持たせた服やビスチェなどはここからのリバイバル。現代のニュートロスタイルが持つパワフルさは、80年代へのオマージュなのかもしれません。
1990年代のトレンドリバイバル
90年代に入り、ファッションアイコンに台頭したのはセーパーモデルやファッション界のセレブたち。雑誌には頻繁にモデルのオフショットが掲載され、80年代よりぐっと装いはシンプルかつカジュアルへと移行しました。90年代を代表するミューズといえばケイト・モスですが、彼女のボーホーシックなコーディネートやストリート色の強いスタイルが人気を博し、スポーティーなトラックパンツの流行もこの時代。日本のニュートロファッションは特に90年代の影響を色濃く受けているといえるでしょう。
2000年代のトレンドリバイバル
2000年代のファッションの中心は、時にお騒がせとも呼ばれるヤングセレブたち。ヒルトン姉妹やニコール・リッチーら、パーティーガールのファッションはもとより、ブリトニー・スピアーズにグウェン・ステファニー、ジェニファー・ロペスやビヨンセ、クリスティーナ・アギレラといった音楽界のディーバが主役。この時代はとにかくカラフルでポップ、かつブリンブリンと称された煌めくアクセサリーが大ヒット。ローライズデニムや大胆な肌見せは今のニュートロファッションにしっかりと引き継がれています。
ニュートロファッションの特徴
ニュートロファッションって、要は90年代から2000年代に流行ったアイテムを取り入れればいいだけでしょ、と思いがちですが、むやみに懐かしのトレンドをプラスしただけだと単に古臭いだけになってしまう可能性が。ニュートロファッションを成功させるコツはあくまでも現代のトレンドとの組み合わせなので、今のトレンドを知らなければ成立しません。
例えば今季だと人気が復活したのがアニマル柄。それにニットジャケットやカーゴパンツ、ミニスカートもトレンドリストに入っています。これらのアイテムに原色のバッグや靴を足したり、迷彩柄のカーゴパンツを選ぶなど、今のトレンドをベースにスパイス的にレトロトレンドを効かせるのがポイント。ニュートロファッションを代表する特徴的なアイテムは、90年代のB-BOYの間で流行ったビーニーやゆるっとしたシルエットのパンツ、スポーツチームのユニフォームにダメージデニムなど。全部を盛り込むとトゥーマッチになるため、まずは特徴的アイテムのどれかひとつをアクセント的に投入してみてはいかがでしょう。
大人のニュートロファッションの着こなし術
若い世代には新鮮に映るニュートロファッションですが、リアルタイムでかつてのトレンドを体験している世代にとっては取り入れるのに少し抵抗があるかもしれません。しかし、レトロな要素を1点投入すれば一気に今っぽいスタイリングが叶うのもニュートロの魅力。大人の女性におすすめしたいのは、さりげなく小物でレトロ感を足す方法。鮮やかカラーのバッグやシューズは今シーズン多数のブランドからリリースされており、上質な素材のものを選べばトレンドでありつつもチープに見えず大人っぽく決まります。また、チェックやドットなどの柄物をスカーフなどで取り入れるほか、ゆるっとしたパンツは体型カバーにも役立ちます。大人のニュートロスタイルは、ハイエンドなストリートファッションをイメージして上質感を感じさせるのが素敵に着こなす鍵と言えるでしょう。
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