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被災者の言葉から衣服の役割を考える

被災者の言葉から衣服の役割を考える

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 建てられてからまだ日が浅い仮設住宅が泥水に浸かり、修復の真っ最中だったトンネルには大量の土砂が流れ込んでいる。大きな地震に見舞われた石川県能登地方を今度は豪雨が襲った。ここに暮らす人々の気持ちを想像すると言葉が出てこない。

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 16年に地震があった熊本も同様に、その後たびたび水害が発生している。私たちが暮らしているのは、いつどこが揺れてもおかしくない地震列島だ。そこに近年の気候変動が重なる。

 ピンポイントで大雨をもたらす線状降水帯は、発生場所がわずかにずれるだけで命運を分ける。ニュースの映像は明日の自分が見る景色かもしれないと言い聞かせる。

 当たり前だった日常が奪われた時、衣食住がいかに大事かを思い知らされる。まずは最低限の物資を入手して命をつなぐことが基本と思っていたらイタリアの災害対応は全く違うのだそうだ。

 発災後すぐに仮設テントが設置され、プライバシーを確保した状態で過ごすことが出来る。2日目にはパスタや肉料理など温かい食事が提供され、仮設食堂ではスタッフが配膳もしてくれるという。

 衣服の最低限の機能は体を隠し、暑さや寒さから身を守ること。だが装うことで気持ちも前向きになれる、そんな役割こそ災害時に大事なのかもしれない。「物はもういい(不要な)のです」と答えていた能登の被災者の言葉が響く。

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