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山縣良和が手掛ける「リトゥン バイ(written by)」が、新体制での初のコレクションを発表した。2026年春夏シーズンから、以前より山縣と親交の深いアムステルダム在住のデザイナーを含む、日本とオランダの混合チームを形成。「リトゥンアフターワーズ(writtenafterwards)」、「coconogacco」を含めた山縣のこれまでの活動に立ち返り、ブランドとしての立ち位置を見つめ直した。
見る人の創作意欲を促すブランドへ
2007年に実験的なファッション表現のプラットフォームであるリトゥンアフターワーズを、2008年にファッション表現を学ぶ場であるcoconogaccoを立ち上げた山縣。「装うことの愛おしさを伝える」という共通の想いのもと、17年以上にわたって両活動を並行してきた同氏は、次世代への継承体制や活動形態の模索を少しずつ進めてきた。そうした考えのもと同コレクションの製作過程でオランダチームとのディスカッションを重ねる中で、同氏の活動に通じるのは「自ずと思考と手が動き出す、自発的な創造が立ち上がる“場”」であることを再認識したという。そこで今後は、この「場づくり」を活動の軸として「学び」から「創造」、「発信」へのプロセスを一貫して行い、実験性と持続可能性を備えた共同体(メゾン)としてのブランド作りを追求していくという新たな方針を設定した。
こうした考えから、リトゥン バイでは今年6月から新たな試みとして移動型マーケットイベント「The Research Market」を開催。デザイナーやアーティストが制作過程で行う思索やリサーチの軌跡に焦点を当て、リトゥン バイの世界観に連なるアーカイヴやオリジナルプロダクト、制作過程でインスピレーションを得たヴィンテージアイテム、書籍、アートワークなどを展示販売する。8月には東京の百貨店での開催も予定しており、今後も会場ごとにテーマを変えながら国内のセレクトショップや百貨店などで不定期に実施していく。

展示会会場でもリサーチ品を販売
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デザインやディテールを通じて歴史を伝える
今シーズンは、この「The Research Market」の考え方を踏襲したインスタレーション形式でコレクションを発表。各アイテムは、そのリサーチソースから作られたアートワークやキャプションとともに展示された。

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本を収納できる大きなマチ付きポケットが特徴のジャケットやパンツは、「ポケット」の歴史的背景に着目したデザインとなっている。ポケットは一説によるとペニスケースを起源としており、かつては男性性の象徴として認識されていたという。実用的でありながら「隠し事の象徴」とも考えられたポケットは、戦時中の機能性重視の環境下でさえ女性の軍服には採用されないほど、頑なに女性服から排除されてきた歴史がある。同コレクションでは、そうした歴史を踏まえつつも、ポケットを「物語を運ぶための機能」として再解釈し、ミリタリーウェアやワークウェアのディテールを取り入れたジャケットに落とし込んだ。オランダチームのデザイナーがメンズウェアを得意とし、YKKのアドバイザーを務めていることから、オリジナルのジッパーを採用し、これまでのリトゥン バイよりもメンズウェア色の強いアイテムに仕上がっている。

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グラフィックにはリトゥン バイのキーワードである「「write, draw & sew」」をテーマに、「Paper Textile(紙のテキスタイル)」を手掛けるユニット「リヴォトルト・ピーシーズ(Rivotorto Pieces)」による手仕事の道具や本の台割をイメージしたデザインが登場。抜染やシルクスクリーンで表現したウェアや雑貨を販売する。

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どう変わる?新たな商品ラインナップ
「場を作る」という新方針から、ブランドのアイテムを売る場自体もミュージアムショップや書店などへと拡張することを目指し、雑貨アイテムやTシャツといったエントリープライスのアイテムを拡充したことも大きな変化のひとつ。雑貨には、レザーや真鍮のブックマーク(2750〜1万9800円)、レザーのブレスレット(6050円)、リヴォトルト・ピーシーズのオリジナル柄をプリントしたトートバッグ(8800〜1万5400円)、モチーフを樹脂で固めたネックレス(1万6500円)などをラインナップ。Tシャツは9900〜1万3200円と手に取りやすい価格帯を設定しており、すでに海外の文房具店などでの展開が決定しているという。











リヴォトルト・ピーシーズのオリジナル柄を抜染したTシャツ
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