
2025年も残すところ後わずか。ビューティ業界は今年もまた、目まぐるしい変化と進歩を遂げた一年となりました。企業による、より独自性のある高い品質力を目指した技術革新を始め、アンバサダー起用やSNSを駆使したマーケティング活動の活発化など、多角的な戦略が打ち出される一方で、SNSを含めたデジタル社会のさらなる進化による消費者の価値観の多様化やニーズの多面性など、複雑さを増した市場において競争は一層激化しました。そこで、今年のビューティ業界を振り返るトピックをまとめました。前半は4つのトピックをお届けします。
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目次
①ファッションブランドのビューティ展開
2025年の1番の話題は、なんといっても「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」から初のコスメライン「ラ・ボーテ・ルイ・ヴィトン」が誕生したことです。すでにフレグランスコレクションを展開し人気を集めていたこともあり、メイクアップの誕生を心待ちにする声も多くありました。8月に詳細が発表された際には、そのラグジュアリー感のある佇まいやカラー展開はもちろんですが、リップスティックやリップバームが2万3100円、リフィル 9900円、アイシャドウが3万6300円、リフィル 1万3200円という価格帯にも驚きの声が上がりました。
そのほか、「ジル サンダー(JIL SANDER)」が、コティとの提携でブランド初のプレミアムフレグランスコレクション「オルファクトリー シリーズ」を発売したのを始め、「バレンシアガ(BALENCIAGA)」が、1947年に初めて展開した香水を再解釈し、10種の香りからなるフレグランスコレクションを、「コム デ ギャルソン・パルファム(COMME des GARÇONS PARFUMS)」が、初の単独店舗を阪急うめだ本店3階にオープンするなど、フレグランスを中心とした打ち出しが強まりました。
さらに「メゾン キツネ(Maison Kitsuné)」がブランド初となるフレグランスライン「キツネ ビアンエートル(Kitsuné Bien-Être)」を、「リック・オウエンス(Rick Owens)」が、ブランド初のセンテッドキャンドル「L'APPARITION」を、「オニツカタイガー(Onitsuka Tiger)」が、ブランド初のフレグランスコレクション「オニツカタイガー オーデパルファム」を発売。ヴァケラはコム デ ギャルソン・パルファムとコラボし初のフレグランスを手掛け、「ヘルノ(Herno)」が初のホームフレグランスやキャンドルを展開、「セッチュウ(SETCHU)」が、ブランド初となるフレグランスラインをスタートするなど、フレグランスやキャンドルといったライフスタイルを彩るアイテムを活用し、ブランドイメージを香りで表現するブランドが多数登場しました。
②韓国ブランドの人気
ここ数年日本のコスメ市場を席巻する韓国ブランドの人気は、2025年もその勢いが継続しました。財務省貿易統計によると、韓国コスメの日本への輸入額は2022年以降、長年トップだったフランスを抜いて1位となり、2024年には1300億円を超え、2025年も韓国ブランドが日本のコスメ市場を盛り上げました。K-POPの人気も追い風となり、心躍るパッケージを筆頭に、手に取りやすい価格帯、CICAなどの自然由来成分の活用やクッションファンデなどに代表されるトレンドの形成などに加え、SNSとの相性もよく、SNSでの拡散を通じて人気が定着していることなどがその背景にあります。
またローソンが「アンド バイ ロムアンド(&nd by rom&nd)」、ファミリーマートが「ハナバイヒンス(hana by hince)」、さらにはセブン-イレブンが「マニョ(manyo)」や「ブレイ(BRAYE)」を取り扱うなど、より生活圏で手に取りやすくなっていることも要因となっていそうです。
2025年、メイクアップからスキンケアまで、大小さまざまなブランドが日本に上陸したのはもちろん、ポップアップの開催での話題作りから、さらに単独店舗のオープンまでへとステージを上げています。人気が続いている「タンバリンズ(TAMBURINS)」が日本での多店舗化を進め、「デイジーク(dasique)」が日本初のフラッグシップショップをオープン、「ヘラ(HERA)」が日本の百貨店に常設店を開設し、これまでの卸事業から直営のショップ開設が相次ぎました。
③メンズアンバサダー起用
2025年も多くのブランドが国内外のアイドルスターをアンバサダーに起用しました。中でも男性を起用するケースはもはや主流。“推し活”ブームに後押しされ、人気アイドルのヴィジュアル登場は、売上に大きく貢献していそう。男性アンバサダーが使った、もしくはPRしたアイテムの発売日、ショップオープン前は長蛇の列ができることもあります。
2025年、アンバサダー起用で最も話題を集めたのが、兵役後のBTSの起用です。ジョングクが「シャネル(CHANEL)」フレグランス&ビューティのグローバル アンバサダーに就任したのを筆頭に、Vが韓国発「ティルティル(TIRTIR)」や日本発「ユンス(Yunth)」の、ジミンが韓国発「ラドール(LADOR)」の、ジンが2024年の「ラネージュ(LANEIGE)」のグローバルアンバサダーに続き、2025年はマンダムが展開するヘアケア「ルシードエル(LUCIDO-L)」の新シリーズ「アールイー」のキャンペーンアンバサダーに就きました。
BTSだけでなく、多くのブランドが男性アイドルをアンバサダーに起用しています。2025年の主な就任は下記です。(順不同)
・「イヴ・サンローラン・ボーテ(Yves Saint Laurent Beauté)」アンバサダー:Number_i 平野紫耀(アジア アンバサダーとして活動後、グローバルでのコラボを見据えて新たに就任)
・「ディオール(DIOR)」ビューティ フレンズ オブ ザ ハウス:King&Princeの永瀬廉
・韓国発「トリデン(Torriden)」:King & Prince 髙橋海人
・「ジバンシイ(GIVENCHY)」ビューティー アンバサダー:Number_iの神宮寺勇太
・韓国発「ヘラ(HERA)」:Stray Kids フィリックス(Felix)
・日本発「シピシピ(CipiCipi)」:NCT WISH
・韓国発「アビブ(Abib)」:timelesz 松島聡
・「キールズ(Kiehl’s)」日本ブランドアンバサダー:timelesz 寺西拓人、橋本将生
・韓国発「サミュ(SAM’U)」:&TEAM K
・日本発「アンドビー(&be)」 ヘアケアブランド「アンドビーヘア(&be HAIR)」:SnowMan 佐久間大介
・日本発「スナイデル ビューティ(SNIDEL BEAUTY)」:NCT TEN(テン)
・韓国発「ミシャ(MISSHA)」:JO1 白岩瑠姫
また、資生堂が日やけ止めブランド「アネッサ(ANESSA)」のブランドアンバサダーにプロスケートボーダー 堀米雄斗を、コーセー傘下のコーセーコスメポートの日やけ止めブランド「サンカット®︎(SUNCUT)」が、プロバレーボールプレーヤーの髙橋藍選手をブランド初のグローバルアンバサダーに起用するなど、日やけ止めでは親和性の高いスポーツ選手の登場が続きました。
④フレグランスブランドの台頭
トピック①「ファッションブランドのビューティ展開」でも、フレグランスの発売が相次いだとお伝えしましたが、フレグランスの需要は高まるばかりです。富士経済によると、2024年の国内フレグランス市場は575億円(前年比15%増)と成長していて、2025年もその傾向は強まりました。
フランス発「ラルチザン パフューマー(L'ARTISAN PARFUMEUR)」が、日本に再上陸し東京・表参道に路面店をオープンし新たな製品を発売しジェンダーを超えて人気を集めたり、ジュエリーブランド「タサキ(TASAKI)」が、同社初のフレグランス コレクション「タサキ オート パフューマリー(TASAKI HAUTE PARFUMERIE)」を発表したり、フレグランス大手のインターパルファム(INTERPARFUMS)が手掛ける、初のオリジナルフレグランスブランド「ソルフェリーノ(Solférino)」が日本に上陸したりするなど、大型ブランドの日本展開に注目が集まりました。
また「アスレティア(athletia)」が初のフレグランス「オードパルファン」を、「リファ(ReFa)」が、ブランド初となるフレグランスを発売するなど、日本の人気ビューティブランドからのフレグランス登場も話題でした。
さらにニッチフレグランスを取り扱う「ノーズショップ(NOSE SHOP)」がニッチでこだわりの強いブランドの日本展開を積極的に進めていることに加え、今年は石川県のセレクトショップ「フェートン(PHAETON)」が、世界中からニッチフレグランスを集めた「フェートンフレグランスフィールド」を阪急うめだ本店にオープンするなど、ニッチフレグランスの日本での展開が広がっていて、フレグランス市場の活性化を後押しています。
「ノーズショップ」の主な2025年導入ブランド
イタリア発「ジャルディーニ ディ トスカーナ(Giardini di Toscana)」
フランス発「メゾン ジュス(Maison J.U.S)」
セネガル発「レゼルブ アン アフリク(Reserve en Afrique)」
フランス発「ファセント(Fascent)」
フランス発「ジュル エ マッド(Jul et Mad)」
最終更新日:
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