


春の彼岸である。
今年の春分の日は3月20日で「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉通りに、今年は春分の日を含む3連休明けから如実に気温が上昇するという予報になっている。
毎年、正月・春の彼岸・お盆・秋の彼岸・年末と年5回墓参りに行っているので、この3連休も恒例の墓参りに行く。墓参り以外には出かける予定も無い。そういう相手もいない。
それはさておき。
3連休明けから3月末はまた記録的高温だそうで、2020年からの6年間で一体何度「記録的高温」「記録的低温」という言葉を聞いたことか。それだけ、暑さ・寒さが厳しさを増しているということだろう。
大阪では3連休明けから日中の最高気温20度が続く。あと3~4度上がれば当方は半袖を着るしかない。
以前にも書いたようにすでに6~8月も猛暑予報が出ており、ほぼ的中しそうな気配が3月下旬から漂っている。こうなると、またぞろ猛暑対策の衣料品をどうすべきかという当方最大の課題に向き合うわけだが、現時点では吸水速乾をメインにするほかないと考えている。
現時点でなぜか世間的に注目が集まっていると感じられるのがUVカット素材服だが、UVカットは暑さに対して何の効果も無いことは前回のブログに書いた通りで、製造加工業の基本的な知識を持っている業界人なら周知の事実である。
UVカット素材はあくまでも紫外線をカットする機能しか持ち合わせていない。そして「暑さ」は紫外線とは無関係で、湿度・気温・それから赤外線が関係しているので、紫外線をカットしても何の暑さ対策にもならないばかりか、日焼け防止効果すら怪しい。(普通の厚さの生地ならUVカット無しでも紫外線をカットできるから)
ではなぜ、UVカット素材が注目されているのかだが、その消費者心理はよくわからない。もしかして「UVカット」が「暑さをカットしてくれる」と優良誤認しているのだろうか?そして、メーカーやブランド側も優良誤認を誘発するような紛らわしい打ち出し文句を使っているのだろうか?
しかし、この「暑さをカットする」という発想自体は正しい。UVカット素材にはその機能が無いだけの話である。
何度も書くが、猛暑対策に最も効果的なのは、汗を吸うと生地自体の温度が下がる素材の開発だが、まだそんな夢の素材は実用量産化されていない。
バッテリーや電池を使わずにこれが実現できれば、夏の生活は相当快適になるだろう。
とはいえ、無い物は仕方がないので次善の策とすると「遮熱素材」である。
読んで字のごとく「熱を遮断する素材」であり、これはある程度実用量産化されている。ただ、デイリーに使えるカジュアル商品やビジカジ商品がほとんど無いのが現状である。
遮熱素材の取り入れが最も進んでいるのが作業服業界で、次いでスポーツ服業界である。ウェブ検索で商材を漁ってみると、いずれも作業服然としたデザイン、スポーツ競技服然としたデザイン、の商材ばかりで、日常的にカジュアルやビジカジに使うにはちょっと不向きだと感じられる。
例えばワークマン。
あとはミズノ。
この2社以外だと作業服関連のサイトばかりが上位に検出される。
商品デザイン的に見れば、どちらもデイリーには使いにくい(作業員でもアスリートでもないから)が、ミズノにはデイリーに使えそうなTシャツ、ポロシャツ、カーディガンがあり、これらは結構狙い目である。だが、いまだに低価格カジュアルチェーンブランドにはほとんど実装されていない。低価格カジュアルしか見て回らない当方でも店頭やサイトでは見かけていない。
この「遮熱素材」も当然ながら、後加工と機能糸を使った物の2種類が存在する。
後加工というのは生地になった段階で加工を施してその機能を付与することで、遮熱に限らず様々な機能加工がある。共通する特徴は洗濯を繰り返すとその機能が無くなったりかなり弱くなる点にある。これはどんな加工でも共通する。
だから「洗濯回数〇回耐用」という表示があるものはほとんどが後加工だと考えてほぼ間違いが無い。30回とか50回とか洗濯すると、その機能加工がほぼゼロになると考えて差し支えない。
「洗濯〇回耐用」と書かれていない物は、機能性糸を使って作られた生地なので半永久的に効果が持続できる物か、優良誤認を誘うためにわざと書いていないか、そのどちらかになる。
現在の「遮熱素材」の使われ方を見ていると、安いが大量生産が見込める作業服か、ある程度の高価格が期待できるスポーツ服か、のどちらかということになる。
これは素材メーカーや生地メーカーの生産性を考えれば当然のことで、低価格カジュアルまで降りてくるのはかなり時間がかかるのではないかと思う。恐らく、低価格カジュアルでは大量生産が見込めるユニクロ、しまむら、ジーユー、ワークマンカラーズあたりが最も早期に導入することになるだろう。
安い割に大量生産があまり見込めない有象無象の低価格カジュアルブランドが遮熱素材服を導入できるようになるのはかなり後のことになるだろう。
素材・生地のビジネスの基本というのはそういうものである。
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