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【コラム】機能性衣料品を充実させるほど売れ行きは気温に左右される?

繊維業界記者・ライター兼広報アドバイザー
南 充浩

今年6月は関東は14年ぶりの低気温だったと報告されている。

関西もかなり涼しい日が多かった。暑がりの当方ですら、冷房を点けた日が数えるほどしかなかった。7月に入っても例年に比べると冷涼な日が多い。蒸し暑い日や暑い日もあるが、単発で終わっている。

ただ、7月8日以降は全国的に高気温が続く、と今のところ予報されている。ただ、事前の長期予報は軒並み6月の気温を外しているので、確率的には半々程度ではないかと見ている。

また7月8日以降は高気温が続くとはいうものの、最高気温の予想は33~34度どまりで例年のような猛暑、酷暑ではない。まあ、暑いことは暑いだろうが、猛暑・酷暑に比べるとまだ我慢しやすいといえる。

また、思い出してもらいたいのが昨年6月の猛暑・酷暑である。

梅雨入りも早かったが、梅雨明け宣言も早かった。たしか10日間前後しか梅雨の期間がなかった。梅雨明けと同時に35度越えの猛暑が襲来した。

去年は6月10日ごろから冷房を毎日つけていた。

昨年6月の気温と今年6月の気温を比較すれば、当然、今年の6月の衣料品売上高は概して前年割れするだろうと考えられる。

完全ではないものの、6月月次速報がパラパラと出始めている。

低価格ブランドは軒並み大幅な前年割れに終わっている。各社ともに6月の低気温を理由として挙げている。個人的には先ほども述べたように、昨年6月は早期からの猛暑到来によって、夏物衣料品が例年になく活発に動きすぎてしまったとも考えられる。

まず、ユニクロである。(既存店+Eコマース)

売上高 14・1%減

客数 15・0%減

客単価 1・1%増

に終わっている。

次にワークマンである。

既存店売上高 8・8%減

既存店客数 10・3%減

既存店客単価 1・7%増

に終わった。

もう一つ。

無印良品の衣料品・雑貨部門の既存店+Eコマースを見てみよう。

売上高 12・4%減

となっている。部門別の客数、客単価は発表されていない。

とりあえず、大手3ブランドを採りあげてみたが、決して不調が続いていたわけではない。今年4月、5月は3ブランドともに大幅な前年増となっている。

ブランドの売れ行きが鈍ったというよりは、気温が予想外に低く過ごしやすかった結果、夏物衣料品に対する購買欲求が激減したといえるだろう。

売上高もさることながら、特に客数の大幅減少がユニクロ、ワークマンともに目立っている。これは結局のところ購買に至った客数が前年6月に比べると大幅に減少したということにほかならない。

ではなぜ、6月だけが客数が大幅に減少したのか?

もちろん、6月の店頭に並んだ商品が支持されなかった可能性はゼロではない。しかし、ユニクロもワークマンも1か月でガラっと店頭の商品が大幅に変わることはない。商品内容が悪かったというよりは、気温の冷涼さが原因だと考えた方が適正だろう。

6月の月次速報を見て、ユニクロとワークマンが終わったとは全く思わない。そんなことを思う人がいたらよほど近視眼的な視点しか持ち合わせていないだろう。

むしろ、機能性商品を前面に打ち出す場合、いかに気温の高低に左右されるかという事象といえる。

ユニクロも夏の目玉は「ドライ〇〇」「ドライEX〇〇」である。ワークマンはもとより「機能性」で売ってきたブランドである。夏も冬も機能性商品が主力である。今、ワークマンの売り場を見ればわかるが「吸水速乾〇〇」ばかりである。おまけにユニクロ、ワークマンともに今夏強化しているのが「UVカット〇〇」である。しかし、雨の日が多かった今年の6月は、日焼け防止の「UVカット〇〇」への需要は少なかった。むしろ、これだけ雨の日が続いているのに、わざわざ日焼け防止服を買いたいという欲求を強く持っている人の方が稀な存在だろう。

当方もそうだが、機能性衣料品に強い関心を持っている人は増えたと感じる。当方なんてまさに機能性衣料品しか興味が無くなってしまいつつあるほどだが、それでも夏が涼しければ、わざわざ「吸水速乾〇〇」とか「ドライ〇〇」を新しく買い足そうとは思わない。

すでにタンスに眠っている服を着れば十分という気持ちになっている。

機能性衣料品への大衆の関心はたしかに全体的に高まっていると感じるし、気温条件や天候条件にハマれば飛ぶように売れる確率が高い。

しかし、その一方で、気温条件や天候条件が満たされなければ全く効力を発揮できないことが改めて証明された。

大して暑くもないのに吸水速乾〇〇を買いたいと思う人は少ないし、暖冬なのにわざわざ保温肌着を買いたいという人も多くない。

想定している条件が満たされれば絶大な売上高を稼げる可能性がある機能性衣料品だが、条件が満たされれば絶大な売上高が期待できる一方で、条件が満たされなければ通常の綿100%衣料品ほどにも売れにくくなってしまう。

冷涼だった今年6月の月次速報は、機能性衣料品販売のそんなデメリットを改めて認識させてくれたのではないだろうか。

最終更新日:

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