“織り組織を再発明” 「ハトラ」がジャカード織機のポテンシャルを解放する新プロジェクトを始動
アーティスト 古舘健と共同開発

「HATRA Phenotype」のアイテムを着用したルック
Image by: HATRA

「HATRA Phenotype」のアイテムを着用したルック
Image by: HATRA

「HATRA Phenotype」のアイテムを着用したルック
Image by: HATRA
「ハトラ(HATRA)」が、アーティスト兼プログラマーの古館健と共同で手掛けるテキスタイルを軸とした実験的プロジェクト「ハトラ フェノタイプ(HATRA Phenotype)」を2026年秋冬コレクションで発表した。
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同プロジェクトは、京都・西陣織の老舗 細尾の研究開発プロジェクトである「HOSOO STUDIES」の第1弾「QUASICRYSTAL」で中心的な役割を担い、実験的な織物の制作に取り組んできた古舘が、工芸品ではなく服として発展させることを目指してハトラに声を掛けたことから始動。「この世に存在しないマテリアルを作る」という目標を掲げ、経済産業省主催の「グローバルファッションIP創出プログラム」の支援も受けながら、約1年かけて開発した。背景には、ハトラの長見佳祐が以前から抱いていた、「ジャカード織機自体が持つ一つの生態系のような美しさを、織り出される生地が超えられていないのではないか」という不満と、そのポテンシャルを解放したいという強い思いもあったという。
この思いを形にするため、同プロジェクトで試みたのは、従来は制限されていたジャカード織機の可能性をアルゴリズムによって解放し、より自由で複雑な「織り組織の再発明」とも言える画期的な表現を可能にしたことだ。

「HATRA Phenotype」のテキスタイル
Image by: FASHIONSNAP
ハトラ フェノタイプの技術的な核心は、既存のジャカード織機に入力するデータを作成する、新たなソフトウェアの開発にある。従来のデータ作成手法は、元となる「画像」を分解して塗り絵のように領域を決め、そこに織り組織を当てはめるというもの。しかし、同プロジェクトで新たに開発したソフトウェアでは、4色のボールペンで点描を打つように、ドット単位で非常に高密度な織り図を生成する。
結果として、1枚の生地の上で織り組織が無限に変化し続けるという、従来のジャカード織りでは不可能な“別次元の表現”を実現。サテン織りや平織りといった異なる織り組織がテキスタイル上で微細に変化し続けることで、グラデーションのような豊かな陰影が生まれたという。また、組織図の生成には、流体力学のシミュレーションで用いられる「ベクターフィールド」というプログラムを転用。それにより、特定のモチーフではなく、気流のような流動的な自然現象を織り込んだ有機的なテキスタイルに仕上げた。

Image by: FASHIONSNAP
長見は、「このアプローチは、実験音楽を手掛けてきた古舘さんの作風から考えても自然な流れであり、これまでハトラが作ってきた『現象的な衣服』という考え方とも繋がっている」と話す。「衣服の意味は固定されたものではなく揺れ続け、その都度現象的(=phenomenal)に現れる」という同ブランドの服作りに通底する思想は、同テキスタイルや、2026年秋冬コレクションのテーマである「PHENO」とも連動している。
ファーストコレクションのラインナップは、セットアップとしても着用できるジャケット(39万6000円)とトラウザー(24万2000円)、ドレス(29万7000円)の3型。ブラックとグレーの2色を用意する。今後は新たなアイテムの製作に加え、さらに実験的で“破滅した”テキスタイルの開発も予定しているという。

Image by: FASHIONSNAP
最終更新日:
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