店頭盗難が12.4%減少 万引き犯が電話・ポイント・ギフトカード詐欺に移行

防犯カメラや鍵付き商品棚の普及で店頭盗難が減る一方、犯罪者は電話詐欺、会員ポイントの不正利用、ギフトカード詐欺へ移っている。万引き犯は消えたのではない。売場からスマートフォンの中へ活動場所を変えたのだ。

防犯カメラや鍵付き商品棚の普及で店頭盗難が減る一方、犯罪者は電話詐欺、会員ポイントの不正利用、ギフトカード詐欺へ移っている。万引き犯は消えたのではない。売場からスマートフォンの中へ活動場所を変えたのだ。

防犯カメラや鍵付き商品棚の普及で店頭盗難が減る一方、犯罪者は電話詐欺、会員ポイントの不正利用、ギフトカード詐欺へ移っている。万引き犯は消えたのではない。売場からスマートフォンの中へ活動場所を変えたのだ。

売り場より先にスマホを開く時代
アメリカでネットスーパーが、補助的な販売チャネルから食品小売の主戦場へ変わっている。
食品産業協会(FMI)とニールセンIQ(NIQ)の調査では、米国のネットスーパー売上高は2028年に4,520億ドル(72兆3,200億円)へ達する見通しだ。
2025年には食品小売全体の売上増加額の約75%をネット販売が生み、オンライン食品売上高は前年比約19%増となった。
さらに食品購入者の約94%が、実店舗とオンラインの両方を使っている。
「店で買うか、ネットで買うか」ではなく、買物の場面ごとにスマホと店舗を使い分けることが日常になったのだ。
ウォルマートが握る巨大なデジタル商圏
ブリック・ミーツ・クリック(Brick Meets Click)によると、米国のネットスーパー売上高は2024年第4四半期から2026年第1四半期まで、6四半期連続で前年同期比20%超の成長を続けた。
食品支出に占めるオンラインの割合も、2024年第3四半期の15%未満から2026年第1四半期には19%超へ上昇している。
その最大の勝者がウォルマートだ。
ブリック・ミーツ・クリックの推計によると、ウォルマートのネットスーパーシェアは40%近くまで急増し、アマゾンを上回るシェア拡大を実現した。
「1時間以内」が客の習慣を奪う
ウォルマートの成長を押し上げたのは、店舗受け取りだけではなく宅配である。
2026年第1四半期にはネットスーパー宅配注文の約80%が当日中に届き、1時間以内の超高速宅配も18%を占めた。
買い忘れた牛乳や卵を取りに店へ走る代わりに、客はウォルマートのアプリを開く。
スーパーの一等地は入口横のエンド陳列から、スマートフォンのホーム画面へ移った。
客の買物が売り場からスマホへ移れば、犯罪者が狙う場所も同じ方向へ動く。
店頭盗難は12.4%減少した
全米小売業協会(NRF)とロス・プリベンション・リサーチ・カウンシル(Loss Prevention Research Council)の最新調査では、2025年の万引き件数は前年比12.4%減、商品盗難は8.1%減となった。
防犯カメラ、出口監視、従業員教育、店舗ごとの安全手順、データ分析への投資が一定の成果を上げたとみられている。
調査には66社、143ブランドが参加しているため、全米の犯罪統計そのものではないものの、小売企業の現場で変化が起きていることは間違いない。
万引き犯が消えたわけではない
問題は、店頭の盗難が減った一方で、別の不正が増えていることだ。
電話詐欺が増えたと回答した小売企業は69%、会員ポイント不正は51%、ギフトカードの盗難・詐欺は42%に達した。
これは犯罪件数がそれぞれ69%、51%、42%増えたという意味ではなく、その手口の増加を確認した企業の割合である。
犯罪者は監視カメラの死角を探す代わりに、スマホ、電話、会員口座、ギフトカードというデジタルの死角を探し始めた。
狙われるのは商品より「信用」である
電話詐欺では、犯罪者が本部担当者や決済会社を装い、従業員にギフトカードの有効化や番号の読み上げを求める。
会員ポイント不正では、盗んだIDとパスワードで口座へ侵入し、蓄積されたポイントを商品やクーポンに交換する。
ギフトカードでは、店頭で番号を抜き取ったカードが購入客によって有効化されるのを待ち、入金直後に残高を奪う手口もある。
商品を抱えて出口を走る必要はない。客や従業員を信用させれば、犯罪は遠隔操作で成立する。
ネットスーパー40%シェアの裏側
ウォルマートのアプリには食品、処方薬、宅配、会員特典、ウォルマート・キャッシュ、ギフトカード、決済情報が集約される。
便利になるほど、1つの口座を乗っ取った際に奪える価値も大きくなる。
ネットスーパーで食品を注文する客が増えることは、決済情報、購入履歴、住所、宅配予定時刻までデジタル上に蓄積されることを意味する。
ウォルマートがネットスーパー市場で40%近いシェアを握ることは、40%近い巨大な利便性を提供すると同時に、巨大な防犯責任を背負うことでもある。
店舗防犯とサイバー対策は同じ仕事になる
これまでの商品ロス対策は、鍵付き棚、警備員、防犯タグ、セルフレジのカメラなど、売り場を中心に設計されてきた。
しかし今後は、不審なログインの検知、ポイント利用時の本人確認、ギフトカード購入時の警告、短時間に繰り返される取引の停止、利用直後の通知まで、買物行程全体を守らなければならない。
店舗運営部門と情報システム部門を分けたままでは、通路からアプリへ移動する犯罪を追い切れない。
次の防犯カメラはスマホの中にある
ネットスーパーは客に時間を返す一方、犯罪者にも距離を越える手段を与えた。
店頭で顔を見せて商品を盗むより、電話やアプリから多数の店舗と顧客を同時に狙うほうが効率的だからだ。
小売業が守るべき資産は、棚の商品だけではない。会員ID、ポイント、ギフトカード残高、決済情報、そして自社への信用まで含まれる。
万引き犯がスマホへ移った時代には、「売り場で盗ませない」から「顧客接点のどこにも換金可能な隙を残さない」へ、防犯の考え方そのものを更新する必要がある。
本日のレートは1ドル=160円で換算。
アメリカではネットスーパーが食品小売の成長を牽引し、ウォルマートは約40%のシェアを握るまでになりました。
買い忘れた牛乳を取りに店へ走る代わりに、スマホを開けば1時間以内に届く時代です。
スーパーの一等地が売り場からアプリへ移れば、犯罪者もその後を追います。
全米小売業協会の調査では、2025年の万引き件数は12.4%減、商品盗難も8.1%減少しました。
一方で、電話詐欺が増えたと答えた小売企業は69%、会員ポイント不正は51%、ギフトカード詐欺は42%に達しています。
犯罪者は商品を抱えて出口へ走るより、電話で従業員をだまし、盗んだIDでポイントを使い、入金されたギフトカード残高を遠隔で抜き取るようになったのです。
防犯カメラで城門を固めたら、今度はスマホという地下道から侵入してきたようなものです。
小売業が守る対象は商品だけでなく、会員口座、決済情報、ポイント、そして信用へ広がっています。
これからの警備員は店内を巡回するだけでは足りません。
スマホの中にも勤務してもらいたいところですが、制服のサイズは「ギガ」で発注でしょうか。
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