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ウォルマート店舗がEC拠点に 店舗の配送売上は40%増

ウォルマート店内でオンライン注文の商品を集めるスタッフ。米国ECは24%増、店舗起点の配送売上は40%増加した。客数の伸びが1.5%へ鈍る一方、30分以内配送の商品数は前年の2倍に拡大。顧客の買物場所は店内からスマートフォンへ、実店舗の役割は売場から地域配送拠点へ移りつつある。

ウォルマート店内でオンライン注文の商品を集めるスタッフ。米国ECは24%増、店舗起点の配送売上は40%増加した。客数の伸びが1.5%へ鈍る一方、30分以内配送の商品数は前年の2倍に拡大。顧客の買物場所は店内からスマートフォンへ、実店舗の役割は売場から地域配送拠点へ移りつつある。

ウォルマート店内でオンライン注文の商品を集めるスタッフ。米国ECは24%増、店舗起点の配送売上は40%増加した。客数の伸びが1.5%へ鈍る一方、30分以内配送の商品数は前年の2倍に拡大。顧客の買物場所は店内からスマートフォンへ、実店舗の役割は売場から地域配送拠点へ移りつつある。

在米28年のアメリカン流通コンサルタント
激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

5年ぶりの「予想割れ」

ウォルマートが発表した2027年度第2四半期決算は、売上高が前年同期比5.9%増の1,879億ドル(30兆640億円)となった。

ところが米国既存店売上高は2.6%増にとどまり、市場予想の3.8%増を下回った。既存店売上が予想に届かなかったのは少なくとも5年ぶりである。

好決算の数字の裏で、消費者の買物行動が静かに変質している。

客数の減速が映す生活防衛 

米国既存店の客数は1.5%増、客単価は1.1%増だった。

第1四半期には客数が3%増えていただけに、来店の勢いは半減したことになる。

ガソリン価格や生活費の上昇に加え、処方薬価格の制度変更も既存店売上を押し下げた。

顧客がウォルマートを離れたのではない。店へ行く回数と、買い方を選別し始めたのである

ECは10四半期連続20%超 

その一方、米国EC売上高は24%増、グローバルECも23%増となった。

第1四半期の26%増から伸び率はわずかに鈍ったものの、米国ECは10四半期連続で20%を超える成長を続けている。

しかも米国ウォルマートでは、ECが売上の約23%を占める規模に達した。

もはやネットスーパーは店舗を補うサービスではなく、ウォルマートの売上を動かす本流である。

30分配送は前年の2倍 

店舗起点の配送売上は40%増加した。

30分以内に届けた商品数は前年同期の2倍となり、EC注文の70%が当日中またはそれより早く顧客へ届いた。

約80%のオンライン注文を店舗から処理する体制も整ってきた。

客数の伸びが1.5%へ鈍る横で、30分配送は100%増である。この落差こそ、消費が店舗から消えたのではなく、スマートフォンへ移動している証拠だ。

既存店売上の中にあるデジタル 

ECは米国既存店売上の伸びを約5.1ポイント押し上げた。

既存店全体が2.6%増であることを考えれば、デジタルを除く店頭販売には相当な圧力がかかっていたと読める。

実店舗が衰退したという意味ではない。店舗は商品を並べる売場から、ピッキング、受け渡し、即日配送を担う地域密着型フルフィルメント拠点へ役割を変えているのである。

29億ドルという値下げ原資

利益を大きく押し上げたのが、過去に支払った関税の還付である。

ウォルマートは見込んでいた約29億ドル(4,640億円)のほぼ全額を受け取り、食品や日用品、一般商品を中心に約1万1,000品目のロールバックを始めた。

還付金は棚から落ちてきた臨時利益ではない。来店頻度とEC注文を買い戻すための値下げ弾薬として再投入される。

利益倍増のカラクリ 

米国事業の営業利益は20.6%増の81億ドル(1兆2,960億円)となり、全社営業利益も前年同期から21億ドル(3,360億円)増加した。

ただし粗利益率の大幅な改善には関税還付という一時要因が含まれる。

会社側も還付効果を除いた基礎的な営業利益の伸びを重視している。

値下げが本格化したのは7月であり、客数への効果が表れるのは第3四半期以降となる。

広告と会費が値下げを支える 

グローバル広告事業は38%増、ビジオを除くウォルマート・コネクトは43%増となった。

マーケットプレイス売上も50%超伸び、会員収入は17%増加した。

ウォルマート・プラスの純増数は第2四半期として過去最高である。

先に進めた広告テック企業の買収も、購買データを収益へ変える布石だった。

食品で来店を促し、ECで囲い込み、広告と会費で利益を生み、その利益を価格へ戻す。この循環がアマゾンにはない店舗網の経済性を作る。

AIは表に出ない販売員 

ウォルマートはAIを派手な実験ではなく、商品検索、提案、在庫配置、広告配信、配送の効率化を支える基盤として組み込んでいる。

AIアシスタントのスパーキー(Sparky)やチャットGPTなど外部の対話型サービスとの連携が進めば、顧客はウォルマートのアプリを開かずに商品を探し、注文するようになる。

店舗、EC、広告を結ぶAIは、姿の見えない売場主任となる。

異変の正体 

通期売上高見通しは4~5%増へ引き上げられた一方、第3四半期には慎重な予想を示した。

これはウォルマートの失速ではなく、「来店客数」で測る小売業から「顧客までの到達速度」で競う小売業への転換点である。

29億ドルの還付が真価を持つのは利益に残った時ではない。1万1,000品目の値下げが、店頭と30分配送の双方で次の注文を生んだ時である。

本日のレート1ドル=160円。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です!

ウォルマートの既存店売上は予想を下回りましたが、顧客が離れたわけではありません。

お店へ行く回数を減らし、必要な商品を必要な速さでスマートフォンから買うようになったのです。

客数の伸びが1.5%へ鈍る一方、店舗起点の配送売上は40%増加。

30分以内に届けた商品数は前年の2倍となり、EC注文の70%が当日中か、それより早く届いています。

さらにオンライン注文の約80%を店舗から処理しています。

つまり実店舗は、客を待つ大きな売場から、地域へ商品を送り出す巨大なキッチンへ変わりつつあるのです。

米国ECは24%増となり、約29億ドル(4,640億円)の関税還付も1万1,000品目の値下げに振り向けます。

客足は減速しても、指の動きは倍速です。ウォルマートで最も忙しく買物をしているのは、もはや足ではなく親指なのかもしれません。

最終更新日:

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