Amazon、生鮮食品が好調 食品は売る商品ではなく集客装置に

アマゾンは食品を「売る商品」ではなく「買い物全体を増やす入口」へと変えた。生鮮を頼む利用者は半年で50%増え、売れ筋上位20品目のうち6品目が生鮮に。30分配送やホールフーズの小型店、医薬品配送まで連動させることで、「まずアマゾンを開く」という購買行動を定着させ、食品市場でウォルマートに次ぐ全米2位へと存在感を強めている。

アマゾンは食品を「売る商品」ではなく「買い物全体を増やす入口」へと変えた。生鮮を頼む利用者は半年で50%増え、売れ筋上位20品目のうち6品目が生鮮に。30分配送やホールフーズの小型店、医薬品配送まで連動させることで、「まずアマゾンを開く」という購買行動を定着させ、食品市場でウォルマートに次ぐ全米2位へと存在感を強めている。

アマゾンは食品を「売る商品」ではなく「買い物全体を増やす入口」へと変えた。生鮮を頼む利用者は半年で50%増え、売れ筋上位20品目のうち6品目が生鮮に。30分配送やホールフーズの小型店、医薬品配送まで連動させることで、「まずアマゾンを開く」という購買行動を定着させ、食品市場でウォルマートに次ぐ全米2位へと存在感を強めている。

生鮮を頼む客が年初から50%増えた
アマゾンが7月30日に開いた第2四半期決算の声明で、同社は即日配送における生鮮食品の伸びを繰り返し強調した。
生鮮を月に1回以上買う利用者の数は、年初からわずか半年で50%増えたという。
即日での生鮮配送はすでに全米2,300都市で提供されている。
単なる配送網の拡張ではない。アマゾンにとって食品が牽引カテゴリーに変わったことを、経営陣が自ら認めた四半期だった。
売れ筋上位20品目のうち6つが生鮮という異変
最高経営責任者のアンディ・ジャシー(Andy Jassy)氏は「日用必需品と食品で非常に大きな手応えを感じている」と述べたうえで、ひとつの数字を明かした。
同社サイトの売れ筋上位20品目のうち、6つが生鮮食品だという。
書籍から始まり、家電と日用雑貨で規模を作ってきた企業の売れ筋上位に、傷みやすく、重く、利益率の低い商品が3割を占めている。
通販の品揃えとしては明らかにいびつな構成である。いびつだからこそ、そこに意図がある。
生鮮が入ると1件あたりの点数が3倍になる
なぜそこまで生鮮に固執するのか。答えは併売にある。同社によれば、生鮮を含む即日注文は、1件あたりの購入点数が平均で3倍に膨らむ。
牛乳を切らした客は、ついでに卵とパンとヨーグルトを入れる。
「今すぐ必要なもの」は強力な誘引材であり、カートの中身を勝手に太らせる。
1点あたりの粗利が薄くても、1件あたりで見れば十分に釣り合う。
生鮮は売る商品ではなく、集客装置なのである。
前期の1,500億ドルは通過点だった
この構図は前期の決算ですでに輪郭を見せていた。ジャシー氏は第1四半期の決算で、2025年の食品売上高が1,500億ドル(約24兆円)を超え、アマゾンがウォルマートに次ぐ全米2位の食品小売業者に上り詰めたと表明している。
そのとき根拠として挙げられたのも生鮮だった。注文数の多い食品トップ10のうち9つが生鮮で、生鮮を買う顧客は1回の注文で3点多く買い、支出は8割以上多い。
半年後の今回、同じ論理がより強い数字で繰り返されたことになる。
アマゾン・ナウが押し上げた30分の常識
速度を支えているのが、超高速配送「アマゾン・ナウ(Amazon Now)」である。
生鮮や日用品など3,500点超を30分以内に届ける仕組みで、プライム会員は1回3.99ドル(約640円)、非会員は13.99ドル(約2,240円)を払う。
拠点は5,000~1万平方フィート(約140~280坪)の小型施設で、郵便番号ごとの購買傾向に合わせて在庫を絞り込む。
ジャシー氏はこのアマゾン・ナウについても、対象地域の拡大を続けていると述べた。
コストコまで0.1ポイントに迫った
胃袋の奪い合いは市場データにも表れている。
調査会社ニューメレーター(Numerator)が7月29日に公表した最新データによれば、アマゾンとホールフーズ(Whole Foods)を合わせた消費財シェアは前年比1.0ポイント上昇し、2位コストコとの差はわずか0.1ポイントに縮まった。
金額にすれば160億ドル(約2兆5,600億円)の上積みである。
世帯浸透率は2.6ポイント、1世帯あたりの買物回数は11%伸びた。食品・飲料に限れば、シェア上昇幅は全小売業者のなかで最大だった。
さらに示唆的なのは流出の向きだ。
サムズクラブ利用客の消費財支出は、コストコへ0.4ポイント流れたのに対し、アマゾンへは0.8ポイント流れている。
倉庫型クラブを離れた客は、別のクラブではなく玄関先へ移っている。
アルバートソンズが名指しした流出先
奪われている側の証言もある。
スーパーマーケット業界2位のアルバートソンズは第1四半期の既存店売上が1%減となり、スーザン・モリス(Susan Morris)最高経営責任者は決算会見で流出先を隠さなかった。
「最大の流出先はウォルマート、アマゾン、そしてコストコとアルディ(Aldi)へ」。
同社の最高財務責任者は、離反しているのが購入点数でも1回あたりの金額でも大きい上客だと説明している。
来店はしても、買う量が減っている。その減った分の行き先として、アマゾンが名指しされたのである。
薬まで同じ速度で運び始めた
速度の横展開も進む。
アマゾン・ファーマシー(Amazon Pharmacy)の新規顧客数は2026年上期に2倍となり、即日での処方薬配送は5倍に増えた。
同じ上期に即日または翌日で届けた品数は、世界全体で前年同期比40%超の増加である。
食品で作り込んだ配送密度を、粗利の高い医薬品に転用している。
生鮮の30分配送は、それ自体が目的ではない。
ホールフーズは小型店で都心に潜り込む
実店舗も遊んでいない。ジャシー氏は小型業態「ホールフーズ・デイリーショップ(Whole Foods Daily Shop)」の滑り出しを「素晴らしい」と評した。
地元報道によれば、マンハッタン3号店としてアッパー・イーストサイドに約8,000平方フィート(約225坪)の物件を確保しており、今後2年でシカゴ、フィラデルフィア、ボストンにも出す計画である。
通常店も7月だけで少なくとも3店を開けた。
ジャシー氏は「ホールフーズがある地域の成長率は、同規模の食品小売を大きく上回っており、利益の軌道も正しい方向に向かっている」とも述べている。
速さは「検討される回数」を変える
ジャシー氏の説明で最も重い一節はここだ。
「幅広い品揃えを低価格で持ち、今のような速さで届けられるようになると、人々は購入と買物機会のうち、より多くでこちらを検討するようになる」。
争点は1回の勝ち負けではなく、候補に入る回数である。
牛乳を頼む先として選ばれた企業は、その次に洗剤を、さらにその次に処方薬を検討される。
生鮮はその入口として、最も呼ばれる回数の多い商品にすぎない。
日本の食品スーパーが「うちは生鮮が強いから大丈夫」と構えるとき、アメリカではその生鮮こそが最初に持っていかれているのだ。
本日のレート1ドル=160円で換算。
生鮮を頼む客が半年で50%増え、売れ筋上位20品目のうち6つが生鮮。
コストコとのシェア差は0.1ポイント。数字を追いながら、私は自分の家の玄関を思い浮かべていました。
白状しますと、今では私も生鮮品はアマゾンで買うのが当たり前になっています。
トマトもレタスも鶏肉も、届いたもので落胆した記憶がありません。
そうなると、駐車場に車を入れ、カートを押し、レジに並ぶという一連の動作が、やけに手数の多い儀式に思えてくるのです。
流通コンサルタントですから店にはあえて足を運びますが、あの「行かなくていいのに行く」感覚は、仕事でなければ続かないでしょう。
だからこそ、アルバートソンズが名指しした流出は、私にはデータではなく手触りとして読めます。
客は腹を立てて店を捨てるのではありません。玄関で用が済むようになると、店のことをただ思い出さなくなるだけです。
日本はアメリカより10年以上遅れていますが、この道は必ず通ります。しかもアマゾンやウォルマートは高度な個人情報の扱いが抜群に巧い。買った履歴どころか、切らすタイミングまで先回りしてきます。
近い将来、冷蔵庫が空になる前に牛乳が届きます。買い物に行く回数より先に、冷蔵庫を開ける回数のほうが減りそうです。
最終更新日:
ADVERTISING
PAST ARTICLES
【激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ】の過去記事
RANKING TOP 10
アクセスランキング

無印良品の古家具シリーズ新作 インドの家具を再生した一点物を発売

COMME des GARÇONS HOMME PLUS 2026 Autumn Winter









