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米国成人の11%が減量目的で「マンジャロ(GLP-1)」を使用 アパレル売り上げにも影響が

米国の成人の11%が減量目的でマンジャロ(GLP-1)薬を使っている。自宅の台所で週1回打つこの1本が、食品の棚から試着室、そして薬局の会員制まで、小売の売場を動かし始めているのだ。

米国の成人の11%が減量目的でマンジャロ(GLP-1)薬を使っている。自宅の台所で週1回打つこの1本が、食品の棚から試着室、そして薬局の会員制まで、小売の売場を動かし始めているのだ。

米国の成人の11%が減量目的でマンジャロ(GLP-1)薬を使っている。自宅の台所で週1回打つこの1本が、食品の棚から試着室、そして薬局の会員制まで、小売の売場を動かし始めているのだ。

在米28年のアメリカン流通コンサルタント
激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

11%という分岐点

ギャラップ(Gallup)が5月末から6月初めに全米5,065人を対象に行った調査で、減量目的でマンジャロ(GLP-1)薬を現在使っている米国の成人が11%に達した。

2024年の3%から2年で3倍を超えたのだ。使った経験がある人は15%、薬の存在を知る人は91%にのぼる。

肥満率は2022年の39.9%をピークに36.4%まで下がっている。

9人に1人が服用する水準は、もはや一部の消費者層の話ではない

カゴの中身が5.3%軽くなった

学術誌ジャーナル・オブ・マーケティング・リサーチ(Journal of Marketing Research)に掲載された分析によると、GLP-1利用者がいる世帯の食料品支出は服用開始から6か月で5.3%減った。

高所得世帯では8.2%減、ファストフードやコーヒー店を含む外食では8.0%減である。

減少は服用1年目を通して続くが、服用をやめた世帯の支出は元の水準へ戻る。

食欲が下がった分だけ、レジの通過金額がそのまま削られている。

減った棚と増えた棚

落ち込みは一律ではない。塩味スナックが10.1%減と最も大きく、高カロリーの加工食品に集中している。

一方でヨーグルトは伸びた。アコスタ・グループ(Acosta Group)が2月に2,117人へ実施した調査でも、利用者の半数超が生鮮青果の購入を増やし、3分の1前後がヨーグルト、鶏肉、プロテイン食品を増やしたと答えている。

総額は減るが、生鮮とたんぱく質の棚は伸びる。

客がアパレル売場に戻ってきた

そしていま、衣料品では逆向きの動きが起きている。

デンバーの58歳の弁護士は、糖尿病と診断されてマンジャロを19か月使い、80ポンド(約36キロ)減量した。

30年以上ぶりにサイズが下がり、メーシーズの売場に立って途方に暮れたという。

返品支援会社リターンプロ(ReturnPro)が利用者500人に行った調査では、3分の2超が「サイズが変わったことで実店舗で買う可能性が高まった」と答えた。

体重が安定した後に高単価衣料へ移る層に限れば、その比率は91%に達する。オンラインへの一方通行だった流れが、生理的な理由で押し戻されている。

ドレスの試着が2倍になった

ブライダル衣装のデビッズブライダル(David's Bridal)の最高経営責任者は、約200店で試着枚数が半年間で平均2倍に増え、多い客は10着を試すと語っている。

採寸が合わない客が増えたのではない。自分の新しい体に何が似合うか分からない客が増えたのである

返品は二重に膨らむ

負担も同時に増える。リターンプロの調査では65%が「合わない分は返す前提で複数サイズを買う」と答え、これは一般消費者の2倍を超える。

61%はさらに痩せることを見込んで返品を遅らせ、複数サイズを手元に置いていた。71%がサイズ変動を理由に衣料の購入量を増やしている。

売上は立つが、戻ってきた商品を何日で売場に戻せるかが利益を決めるのだ。

買い替えが速いのは男性である

意外なのは性差だ。同じ調査で、返品前提で複数サイズを買う比率は男性が女性のほぼ2倍だった。

高価格帯衣料への支出増も男性のほうが大きい。

女性はサイズが落ち着くまで様子を見るのに対し、男性は減量期間を丸ごと買い替えの機会と捉えている。痩せた男はフットワークも軽くなり、待たないのだ。

試着室にAIが入る

対応は店側で始まっている。ヴィクトリアズ・シークレットは一部店舗の試着室にAIを導入し、別サイズの取り寄せを頼めるようにした。

PwCの担当者は、百貨店からディスカウント、専門店までがサイズ構成、試着室の設計、スタイリング接客を見直しており、店舗投資は1年以内に実行されると見ている。

オフプライスチェーンのロス・ストアは第1四半期の既存店売上が17%増え、経営陣は客数増と店舗体験の改善を理由に挙げた。

接客という古い装置が、薬によって再評価されている。

本丸は薬局である

アパレルの話は入口にすぎない。雇用主が保険適用を絞り込むなか、患者は直販プログラムへ流れている。

ウォルマートは処方箋の取扱いで全米5位、約4,600の薬局を持ち、4月に自社の健康サービス基盤へGLP-1の調剤と栄養指導、フィットネスアプリ、AI支援を束ねた。

アマゾンも同じ4月に、ワンメディカル(One Medical)と自社薬局を通した管理プログラムを始め、保険適用時で月25ドル(4,000円)、約3,000都市で即日配送を用意した。

コストコは、医師の診察と処方を保険を通さない現金価格で仲介するオンライン医療サービスのセサミ(Sesame)と組み、ノボノルディスクの減量薬ウィゴビー(Wegovy)を約349ドル(55,840円)で会員に出している。

月1回の来店口実を売っている

ガートナー(Gartner)のコンサルティング部門は、処方箋を出した小売が食品も売る、薬局は米国小売の会員制をめぐる戦場になりつつある、と指摘する。

GLP-1は月1回の補充が必要な薬である。月25ドル(4,000円)から始まる価格は、薬そのもので儲けるための値付けではない。

毎月1回、確実に来店する理由を12回分まとめて売っているのである。

日本でも同じ成分のゼップバウンドが肥満症で承認されたが、処方を来店動線に接続するという発想は、まだ小売の側から出ていない。

本日のレート1ドル=160円

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です!

2024年6月、姉が家族を連れて来米し、みんなでディズニーランドへ行きました。

エントランス付近で来園者を眺めていた姉が、突然「どうしたん?」と独り言。メタボなアメリカ人女性の多さに面食らったのです。

苦笑いしながら乗ったのが、15年前に大改装した「イッツ・ア・スモールワールド」。

表向きの理由は設備の老朽化でしたが、実際はお客の重量でボートが沈み、船底が水路に引っ掛かって立ち往生する事態が頻発したからだと言われています。

約1年かけて水路を深く掘り直し、浮力を強化しました。

あれから2年。ギャラップによると、GLP-1薬を使っている成人は11%に達し、肥満率は39.9%から36.4%まで下がりました。

GLP-1利用者のいる世帯は食料品支出が5.3%減り、塩味スナックは10.1%減。減った分だけ衣料品売場は忙しくなり、ブライダル店では試着枚数が2倍に増えています。

薬局を入口に食品も服も売ろうと、ウォルマート、アマゾン、コストコが月25ドル(4,000円)前後の直販で客を奪い合っています。

姉が驚いた光景は、確実に縮んでいます。

心配なのは、あの水路がもう深すぎることでしょうか。今のアメリカ人が乗ると、ボートが軽すぎて浮きっぱなしになり、人形と目線が合わないかもしれませんね。

最終更新日:

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