手書きのメモを撮るだけで注文できる「入力が面倒」を消すAI 日本のスーパーはどこまで来た?

ターゲットのアプリに搭載されたAI買物リスト読み取り機能。手書きの「洗濯洗剤・歯磨き粉・ペーパータオル」を撮影してみた。チャットで質問しなくても、買物の面倒を減らすAIは使える。この3品を正しく読み取れるか、答えは記事の最後で。

ターゲットのアプリに搭載されたAI買物リスト読み取り機能。手書きの「洗濯洗剤・歯磨き粉・ペーパータオル」を撮影してみた。チャットで質問しなくても、買物の面倒を減らすAIは使える。この3品を正しく読み取れるか、答えは記事の最後で。

ターゲットのアプリに搭載されたAI買物リスト読み取り機能。手書きの「洗濯洗剤・歯磨き粉・ペーパータオル」を撮影してみた。チャットで質問しなくても、買物の面倒を減らすAIは使える。この3品を正しく読み取れるか、答えは記事の最後で。

ターゲット、買物の手間を減らすAI機能を紹介
ターゲットは9月8日、買物を便利にするAI機能と、その改善状況を発表した。
写真から似た商品を探す画像検索、購入者レビューの整理、購入履歴を活用した再注文、中断した商品探しの再開を支援する機能だ。
写真検索は8月、レビュー整理は6月に導入し、再注文と閲覧再開は前年から改善を重ねている。
検索語を考える、口コミを読み込む、いつもの商品を探し直す。こうした日常の手間を、普段のアプリ操作の中で減らす取り組みだ。
他社と共通するのは「探す負担」の引き受け
ウォルマートのスパーキー(Sparky)は、商品比較やレビュー整理、用途に応じた提案を支援する。
アマゾンにも会話型の購買支援に加え、画像検索やレビューの要約がある。
ターゲットも、商品や顧客の行動から選択を助ける点では同じである。写真検索や要約を独自発明したわけではない。
違いを読むべき場所は、どの技術を持つか以上に、買物のどこへ組み込んだかである。
名前が分からない商品を写真で探す
以下は機能を日本の生活に置き換えた利用例である。
カフェで気に入った、脚が細く背もたれが丸い椅子。「北欧風」「木製」「丸い背もたれ」と検索語を変えても、欲しい形にたどり着けない。
ターゲットの写真検索なら、撮影した画像や保存画像から似た取扱商品を探せる。
ニトリで家具を選ぶ感覚で考えれば分かりやすい。客は家具の専門用語を覚える必要がなくなる。
ただし、似た外観と同じ商品は別物だ。寸法、素材、座面の高さは商品情報で確かめる必要がある。
星の数から、自分が気にする点へ
新学期に子供の通学用リュックを買う場面を考えたい。
平均評価が高くても、親が知りたいのは「肩ひもは痛くないか」「ファスナーは丈夫か」「荷物を入れると重くないか」である。
レビューを話題ごとに整理するAIは、大量の感想から判断材料へ近づく手助けになる。
イオンで実物を背負わせる前に、購入者が繰り返し指摘する点を把握できるような便利さだ。
もっとも、要約は耐久試験ではない。少数の重大な不具合や、自分と似た使い方の投稿は元のレビューも読む価値がある。
「いつもの洗剤」を毎回探させない
再注文機能は、購入履歴や買物行動に基づき、よく買う商品や関連するお得な情報を提示する。
日本なら、マツモトキヨシで買った無香料の洗剤や、歯ブラシの「やわらかめ」を買い足す場面だ。
同じブランドでも香り、容量、詰め替え、本体が並ぶ。毎回検索し直せば、選び間違いも起きる。
すでに決めたことを、次の買物で決め直さなくて済む価値は大きい。ただし、自動補充とは異なる。
残量を把握して勝手に注文する機能だと受け取ってはならない。
中断しても、買物を最初からやり直さない
昼休みに遮光カーテンを比較していたところへ仕事の電話が入り、夜には商品名を忘れてしまう。
閲覧再開機能は、最近見た商品に再び出会えるようにし、関連する候補や特典も示す。
無印良品やニトリで部屋づくりを考えるような買物では、採寸したり家族と相談したりする中断が普通にある。検索履歴を掘り返す負担が減れば、検討を続けやすい。
ターゲットは購入やカート追加への好影響を説明しているが、具体的な改善率は公表していない。
献立を任せるAIとの違いは、仕事の渡し方
インスタカートのクレメンタイン(Clementine)のように、献立などの相談から買物かご作りを支援する体験では、生活者が目的を伝え、AIが候補を組み立てる。
一方、今回のターゲットの機能群では、写真を渡す、レビューを見る、再注文画面を開くといった操作の中で支援を受ける。
これは優劣ではなく、任せる仕事の違いだ。未知の商品には相談が役立つが、いつもの洗剤を買うたびに会話する必要はない。
相談したい買物と、さっさと終わらせたい買物を分けることが重要なのだ。
日本の小売業が測るべきは「戻らなくて済んだ回数」
日本のスーパーやチェーンストアも、AIの導入件数だけでは便利さを評価できない。
写真検索なら目的に近い商品が出たか。レビュー整理なら疑問が解消したか。
再注文なら同じ香りや容量を迷わず選べたか。
閲覧再開なら探し直しが減ったか。
履歴画面を置くだけなら以前から可能であり、AIの価値は候補の関連性を高められるかにある。
広告やおすすめを増やして再注文を埋もれさせれば、改善は帳消しになる。
AIの仕事は、客を画面に長居させることではない。椅子を見つけ、洗剤を補充し、買物を終えた客へ時間を返すことである。

結果は「3 items found」。手書きの3品すべてを正しく読み取った。「Shop items」から商品探しへ進めるため、商品名を1つずつ入力する手間が省ける。今回確認したのは、商品の外観を認識する写真検索ではなく、買物メモを読み取るAIである。注文の自動完了ではないが、紙のメモから商品探しまでをつなぐ、日常に役立つ便利機能だ。

ターゲットのAIに、日本語の手書きメモで挑戦。「アイスクリーム」「ポテチ」「アドビル」「洗濯洗剤」「バンドエイド」の5品である。少々読みにくい文字に略語と商品名まで混ぜた、買物メモの抜き打ち試験。さて、米国のAIは解読できるか。

結果は5品から4品へ。「ポテチ」と「洗濯洗剤」は正解だが、アイスクリームは姿を消し、アドビルは「アーモンドオイル」、バンドエイドは「ハンドソープ」になった。日本語の難読メモには、まだ人間の答え合わせが必要である。頭痛薬を頼んだらオイルが届くところだった。AIが制御不能な脅威を生み出す前に、とりあえず手書き文字を読めるようになってほしい(AIから「汚すぎて読めんわ!」と言われそうだが)。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です!
先日のNY調査では、ウェグマンズのアプリでAIを使ってみました。
「ウェグマンズでお土産におすすめの商品を教えてください」と日本語で入力すると、こちらの意図を理解し、英語ながら商品を提案してくれました。
中堅チェーンでも、AIがアプリの便利機能として買物を手伝う段階に入っています。
ただ、ブリッジウォーター店では、その先に課題がありました。
試した範囲では、AIから商品の店内ロケーションを教えてもらえず、探すのに苦労したのです。
おすすめを答えられることと、商品を手に取るまで案内できることには、まだ距離があります。商品知識が豊富でも、売場の地図を渡されていない案内係のようでした。
ターゲットの写真検索、レビュー整理、再注文も、評価すべきはAIの賢さより、お客様の手間がどれだけ減ったかです。
地域スーパーでも、商品情報と売場情報がつながれば、AIは頼れる買物の相棒になります。
そんな買物が当たり前になる将来は、すぐそばです。
次はおすすめ商品と一緒に、棚までの道順もお願いしたいところです。お土産に必要なのは、店内一周の思い出より商品ですから。
最終更新日:
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