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【トップに聞く 2026春】ロクシタンジャポン山本直樹社長 50周年イヤーに社長就任、成長基盤構築へ

Video by: FASHIONSNAP

 2026年にブランド創設50周年を迎えた「ロクシタン(L’OCCITANE)」。この節目にロクシタンジャポンの新社長に就任したのは、ファーストリテイリングや良品計画といったグローバルSPA企業で経営の中枢を担ってきた山本直樹氏だ。同ブランドは長年、ギフト需要を背景に高い支持を得てきたが、市場環境の変化により現在は成長の踊り場にある。数々のグローバル企業で実績を積んできた山本氏は、この転換期にどのような一手を投じるのか。「商品」「店頭」「デジタル」の3つの軸を掲げ、原点回帰によるV字回復を狙う同氏に、その具体的な戦略を聞いた。

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山本直樹/ロクシタンジャポン代表取締役社長

Image by: FASHIONSNAP

1971年生まれ、鳥取県出身。1994年ユニクロ入社からキャリアをスタートし、大手グローバルSPA企業で、店舗経営、商品経営、海外事業に従事し重役を歴任。直近では良品計画の上席執行役員としてアパレル部門と海外事業を管掌しながら経営メンバーとして事業成長に貢献。2026年1月から現職。

ロクシタン ジャポンとは?
厳選された植物素材を使用した商品を通じて南仏オート・プロヴァンスの生活を提案する 化粧品大手ロクシタンの日本法人。2026年1月時点で、国内に118のショップと2つのカフェを展開し、従業員数は1000人を超える。今年ロクシタンブランド創設50周年を迎えることからリブランディングを実施。ハンドクリームやフレグランスカテゴリを強化している。

良品計画からロクシタンジャポンへ転身

──今年1月に社長に就任されました。これまでの経歴を教えていただけますか。

 前職は良品計画です。良品計画の第二創業期に大きくリブランディングするタイミングで、私も経営チームの1人として入社しました。最初の2年は中華圏を除く欧米やアジア、オーストラリア、インドといった地域を対象とする海外事業の責任者を務めました。良品計画は、アパレル、生活雑貨、食品を展開していますが、特に海外市場ではアパレルに大きな成長の可能性を見出し、その部門の責任者も兼任していました。約5年間の在籍期間を通じて、グローバル市場で競争力のあるアソートメントを構築し、成長に向けた基盤を築くことができたと考えています。

──良品計画のアパレル部門から、コスメブランドを手掛けるロクシタンジャポンへ。大きなキャリアチェンジなのでは。

 良品計画は安定的な成長期に入り、私自身新しいチャレンジがしたいと思っていたところ、お話しをいただきました。

 ロクシタンジャポンは業績が好調な時期はあったものの、世の中の変化や競合とのせめぎ合いでなかなか力を発揮できていないフェーズが続いていると伺いました。けれども決して退化しているわけではなく、ブランドや商品は進化しています。新たにチームを作ったり、コンセプトを整理したりすることで、モチベーションを上げればロクシタンは次のステージにいけるはず。そのリーダーシップを取れるのは大きなチャンスであり、自らも成長できる機会だと捉えています。

──たしかにロクシタンには、揺るぎないブランド力と商品力があります。

 確固たる世界観のもと、地球環境に配慮し、オート・プロヴァンスのライフスタイルを届けてきました。そこには人の温かみがあり、一過性のブームではなく、本質的にお客さまに長く寄り添い、支持されるだけの土台がしっかりあります。地球を良くしながら、事業を成長させる、正しいビジネスの姿だと思います。

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就任後のミッションは成長を続ける事業基盤の構築

──トップとして、取り組むべきミッションは?

 ロクシタンは今年、ブランド創設から50年を迎えます。50年続くブランドだからこそ、まずやりたいのはこれからの50年間もしっかりと成長し続けられる事業基盤を作ることです。一過性のブームではなく、お客さまのライフスタイルに溶け込み長く愛される商品であることは確信しているので、消費者からの支持をしっかりと獲得し、利益を生み出せる仕組みを再構築していきます。

──就任以前にはなりますが、2025年の商況をどのように分析していますか。

 さまざまなチャレンジをしたことで、残念ながらお客さまにメッセージが分散してしまい、伝わりきれていなかったのではないでしょうか。その中で、ブランドの武器の1つである香りを軸にリニューアルしたフレグランス「アートオブセント」は、既存顧客だけでなく若年層からも高い支持を集めたと思います。豊富なラインアップや印象的なクリエイティブも奏功しました。つまり、コンセプトを整理して明確に打ち出せば伝わるということです。

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フローラ オーケストラを掲げた香りのコレクション

Image by: L'OCCITANE

──リブランディングをきっかけに、ロクシタンの香りの魅力に気づいた人も多いのでは。

 現状では、まだ一部の高感度層にしか認知されていないと感じています。今後はよりマス層にも広げていきたいです。フレグランスは幅広い方々に支持される可能性を秘めたカテゴリーですので、さらに磨いていきます。

課題は商品戦略、店頭、デジタルにある

──50周年に向けて、店頭やパッケージの刷新が活発です。

 マーケティングや商品においては、商品を絞り込み、それを最大限に打ち出していきます。強みを明確に伝えて伸ばすというのが、商品・マーケティング戦略です。店頭においては、長く勤務してくれているロイヤリティの高いスタッフがたくさんいることが私たちの大きな財産です。店頭のスタッフのみなさんは接客がしたくて入社してくれたはずです。その思いを生かしてモチベーションを高めながら現場を盛り上げていきたいです。

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──オンライン施策はいかがでしょうか?

 チャネルでいうと、店舗と同じぐらいオンラインも大切です。デジタル戦略においても手数が多すぎたので、きちんと絞って資金を投下していきます。デジタルの世界はKPIがしっかりと設定できるので、きちんと取り組めばオンラインの売り上げは伸ばすことができると確信しています。

ロクシタンといえばハンドクリームが強みの一つ

──取り組みたいこととして、商品、店頭、デジタルの3つが上がりました。まずは商品について具体的な戦略を教えてください。

 お客さまのロクシタンのブランドイメージとして、「黄色」と「ハンドクリーム」が極めて高い割合で想起されます。この期待値を裏切らないことが何よりも重要です。

 店頭では、ハンドクリームを充実させ、大きく進化していることを改めて訴求していきます。ハンドクリームのブランドと認識されることは、むしろポジティブな要素です。この認識を土台として、「さらに優れたハンドクリームのブランドへと進化している」という認知を獲得することが、最初のステップとして取り組むべきことです。

 加えて香りが豊富で、どんなシーンでも、どんな気分でも楽しめるというロクシタンの魅力をVMのインパクトとともに伝えることです。アーモンドをキー成分にしたアマンドスブリームシリーズやミモザの香りが楽しめるミモザシリーズなど、毎月シーズンでフォーカスするものを決めて飽きが来ない売り場作りをします。毎月の取り組みを進めると同時に、夏にはメゾンを象徴する製品やその後はホリデーがあるので、とくに大きく打ち出すべく、設計図をみんなで描いています。

カリテコンフォート シア ハンドクリーム

──ロクシタンといえばハンドクリームをイメージする人も多いですよね。

 ブランドへの入り口はなんでも良いです。持ち運びに便利な小さなハンドクリームでさまざまな香りを楽しむのも、大容量サイズの定番のハンドクリームでしっかりとケアしたいという入り口もいいと思っています。

──先ほど挙がった、アートオブセントも注力する商品の1つと言えますか? フレグランス市場は盛り上がっているからこそ、競合が多いですよね。

 みなさん日常的にさまざまなブランドのフレグランスを使っていると思います。その中で、ロクシタンのフレグランスを“一軍”に入れてもらえたら。私たちの香りの特徴はほかの香りと組み合わせても調和し、かつオリジナリティがあることです。植物や花といった自然からインスピレーションを受けているため、重ね付けもしやすく、主張しすぎず誰からも好感を持たれます。ラインアップも豊富なので、きっとお気に入りの香りを見つけていただけるはずです。もちろん毎日使ってもらえたら一番うれしいことですが、その日の気分に合わせて楽しんでもらえるような個性を放ちたいです。

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ポジショニングは他社との比較ではなく、お客さまの頭の中の位置取り

──そういった個性を知ってもらうための取り組みは何か考えていますか。

 マーケティングへの投資と、お客さまとのタッチポイントを増やすことです。店頭は重要なコミュニケーションツールであり、ブランドを表現する大切な場所です。来店を目的とせずともお店の前を通るたびにブランドを感じていただけるように、分かりやすさやインパクトを重視して、粘り強く取り組んでいきます。

 その際に気をつけたいのが、売る側が飽きないことです。ついメッセージが届いていると勘違いしてしまうのですが、お客さまには届いていないことも多いのです。とにかく粘り強く継続し、毎年アップデートして、最も重要なシーズンで大きなインパクトを出して伝え続ける必要があります。競合が多い中で、一度切りの取り組みだけで伝わることはありません。覚悟を決めてやり切ることが大切です。

──その意味でいうとハンドクリームは伝え続けてきたからこそ、ロクシタンと言えば思い浮かぶ看板商品になったのかもしれませんね。

 ポジショニングというのは他社との比較ではなく、お客さまの頭の中のどの位置を取るかだと考えています。そのブランドをパッとイメージしたときに何を思い浮かべて欲しいかがポジショニングなのです。それができなければ、勝ち残ることはできません。アートオブセントや、世界的にヒットしているアマンドスブリームのシャワーオイルは、看板商品に育てていきたいネクストヒーローです。

──アマンドスブリームが世界的にヒットしている要因は?

 アメリカでは徹底的に打ち出していて、SNSで大きなバズを生み、売り上げを伸ばしています。グローバルで多くの女性から支持されているからこそ、同じことが日本でもできるはずです。

ブランドを愛する販売員たちの個性を解き放ち店頭を強化

──次に店頭についてはどのような戦略を立てていますか。

 ヘアケア、ハンドケア、スキンケアなど、お客さまの来店目的は多岐にわたります。多様なニーズに対してファーストアプローチから信頼関係を築き、パーソナルな会話ができなければ、質の高い提案や素晴らしい買い物体験を提供することはできません。マニュアル通りではなく、販売員一人ひとりが人間力を持ってお客さまと向き合うべきです。そのためにも販売員たちの個性を解き放つ必要があるでしょう。

──良い店頭をつくるにはマニュアル化はできない部分がある?

 私はファーストリテイリングや良品計画で働いてきました。そこで経験してきたのは、売れ筋を分かりやすく、きれいに陳列し、インパクトを出すことが「良い売り場」とされることです。これはお客さまがセルフで購入することを前提としているからなのです。つまり良い売り場の条件は、分かりやすさ、インパクト、そして欠品がないことでした。

 一方で、ロクシタンのようなカウンセリングも必要とするブランドでは、スタッフの力で売り上げが大きく変わるということ。接客が要となります。お客さまとの距離感や信頼関係が築けていると、そのスタッフにファンがつく。このソフト面の力は、ビューティ業界において大きな武器になると実感しています。

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──ソフト面は磨くのが難しいところだと思います。

 現場の大切さを言い続けるしかありません。良かった事例を共有して、褒め合い、能力のあるスタッフをきちんと評価し、給与に反映する仕組みを作らないといけませんね。「ロクシタンが大好き」と言ってくれるスタッフが多いことは大きな強みです。ロイヤルカスタマーが働いてくれているということですから。プライベートでも商品を愛用している人が多く、その発言には説得力があります。

──では、それに対してオンラインでの戦略はいかがですか。

 チャネルとしては自社ECだけでなくアマゾンや楽天といったプラットホームも注力するべきでしょう。基本的にはオフラインと同じ考え方で注力する商品を絞ってプロモーションします。しかしオンラインだからこその利便性や特別感、お得感もあると考えています。店舗とオンラインを行き来できるような設計が必要です。例えば店頭で新しいアイテムを知り、リピートはオンラインでといった流れができるのが理想です。

主要店舗に注力して成長軌道へ

──就任から数ヶ月、足元の課題は何でしょうか。

 現状把握の途中ではありますが、停滞感が漂った流れを止めることが大きな課題です。ただし、コンサル的なあるべき論や正解を口先だけで語っても、流れは変わりません。実際のビジネスを通じて結果を出すことで、「こういうことか」と身をもって感じてもらえるような空気感を作ることが急務です。

──すでに動き出していますか。

 3月の国際女性デーに向けて、2月からミモザシリーズを打ち出すキャンペーンを行っていましたが、店頭を含めみんなのアイディアを最大限に詰め込みました。キャンペーンを通じて実践し、結果を出すことで、正しい戦い方を知って流れが変わるはずです。

──成功体験を積み重ねていくイメージですか?

 「絞り込む」とか、「現場を盛り上げる」っていうのは誰でも言えることなんですよね。ミモザのキャンペーンでは、本部のメンバーが店舗に足を運んで、販売員と意見を交換しながら施策をブラッシュアップしました。私も10店舗以上回っています。

 これからも毎週のように店舗に足を運び、特にキャンペーンの初日になどは必要に応じて現場で直接話し合い、その場で物事を決められたらいいですよね。私が答えをもっているわけではないので、みんなで気づいて考えて動けるようになったら、リテールのライブ感が出てくると思います。

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──アパレルと化粧品の共通点と、相違点はどんなところでしょうか。

 共通点は多いです。高い目標を掲げ、達成するためにお店と一緒に設計図を作り、それをさらに磨き、実行に移す。もし失敗しても、一緒になって軌道修正をする。何を売るにせよ、SPAという業態においては、この点は変わりません。

 ただしグローバルのコスメブランドでは、マーケティングやファイナンスを担当する部署がリーダーシップを取ることが多い印象です。私のキャリアがずっと日系のSPAなので、そう感じるのかもしれませんが。だからこそ、まだできる余地があると感じています。

 相違点で言うと、アパレルはリードタイムが長いです。1年半ほど前から企画・発注し、戦略を立てます。一方、化粧品の場合は、お店が小規模で商品自体もコンパクトなため、軌道修正をしやすいのではないでしょうか。

 またアパレルの場合は売れ行きが季節に左右されます。暑ければ服を着なくなるし、寒ければ着るしかありません。しかし化粧品は顔や体に塗るものだから季節による影響は少ないように思います。香りの好みは変わるかもしれませんが、暑いからといって全く化粧をしなくなることはないでしょう。そういった意味でも、設計しやすいと言えるでしょう。

──経済的に円安が続き、外資系ブランドは軒並み値上げをしています。

 ロクシタンも原材料や輸送費の高騰で値上げせざるを得なかった商品があります。しかし現状の価格帯で適正だと判断しています。情緒的な価値がきちんと伝われば、高くても良いものだという評価を得られると思います。

──ロクシタンといえば、サステナビリティにも注力してきました。今年は何か取り組みますか。

 商品ではリフィル対応や容器のリサイクルはもちろん行っていきます。加えて植樹や女性支援といった活動も続けていきます。先日、オフィスの周辺を社員100人ほどで清掃しました。サステナビリティがコーポレートカルチャーとして根付いていますね。

──社長就任前と後で、ロクシタンのイメージに変わりましたか?

 改めて商品の強さを感じました。社長就任前は、どちらかと言うとお客さまと同じぐらいのブランド知識しかありませんでした。けれども知れば知るほど、良い商品で、進化している。ギャップを感じました。そこも今の課題なのではないでしょうか。そのギャップを埋めて、きちんと魅力を届けることができれば、さらなる成長軌道に乗ることができると確信しています。

──2026年の目標は?

 現状維持の状態から、V字に角度を変える1年にしたいです。全体的にというよりもまずは渋谷のフラッグシップや伊勢丹新宿本店、阪急うめだ本店といったロクシタンと言えばここと言う店舗から高い水準を目指していきます。

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──最後に目指すブランド像を教えてください。

 すごく難しい質問ですね。まずは働いているメンバーが、誇りに思えるブランドにしたいですね。一番最初に思い浮かびました。

 最終的にはお客さまに支持され、ライフスタイルに溶け込み、売り上げを伸ばすことがゴールです。けれどもそのためにはまずは自分たちが誇りを持って働くことができる企業じゃないと、お客さまを思うこともできません。内側から固めていきます。働いているメンバーのモチベーションを高めて、チャレンジしていきます。

text: Natsumi Yoneyama | photography: Hikaru Nagumo, interviewer: Akiko Fukuzaki (FASHIONSNAP)

最終更新日:

◾️ロクシタン:公式サイト

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