エイドリアン・ジョフィ氏
Image by: FASHIONSNAP.COM

Fashion インタビュー・対談

エイドリアン・ジョフィCEOに聞くドーバー ストリート マーケットの根底にあるDNA

エイドリアン・ジョフィ氏
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 川久保玲の公私に渡るパートナー、エイドリアン・ジョフィ(Adrian Joffe)。多くを語らないデザイナーを代弁するスポークスパーソンであり、「コム デ ギャルソン(COMME des GARCONS)」および「ドーバー ストリート マーケット(Dover Street Market)」(以下、ドーバー)のビジネス面で舵を取る重鎮だ。東京を訪れたエイドリアンに、近年各地に店舗を増やしているドーバー独自のビジネスと理念を聞き、最先端のファッションのみならずカルチャーやアートの側面でも影響を与え続けている背景を探った。

 

ードーバー ストリート マーケットは2004年のロンドンに始まり、東京、NY、北京、シンガポール、そして今秋にはLAと、店舗を増やしてしています。出店拡大の計画や戦略は?

 戦略は特にありませんね。ビジネスに関して勉強したことはないんですよ(笑)。毎年の予算は設定していて、何を買うべきか、新しいアイテムに今年はどれだけ予算を当てるのかは決まっていますが、来年はどうなるか分かりません。エネルギーが流れている場所で何が起こっているのか。それを知ることがまず大切です。

 一般的なプロのやり方ではないかもしれませんが、例えば5年単位で計画を立てると、変化にすぐ対応することができません。例えばマリーン・セルのような、キャリアが浅い無名のデザイナーが出てくることもあるでしょう。世界はすごいスピードで変化しています。日々新しいデザイナーが、各地で往き交っているのです。世界で何が起きているかを感じとり、エネルギーに触れていることで、ビジネスのタイミングが生まれると考えています。

ーそれぞれの店舗は内装やアイテムのセレクトが異なります。ドーバー ストリート マーケットに共通する価値とは何なのでしょう。

 全ての店舗のDNAは一つ。ビジョンを持っている人と仕事をするようにしています。それは私たちのビジョンに共感しなくても、どんなビジョンでもいいんです。私たちの店舗は3Dのマガジンのようなもので、店舗の空間やアイテムのストーリーを伝える場所です。バイヤーたちにはフィーリングを大切にするようにと伝えています。ベストセラーを狙ったアイテムではなく、自分が愛せるものを選ぶようにと。愛情やフィーリングを持ってセレクトされたプロダクトでなければエネルギーを感じることができないと思うのです。

 バイヤーには、何か感じるものやクリエイティブなものを買うことを勧めています。決して強烈なファッションである必要はありません。シンプルで変わることがないというアイデアが新しいということもありますよね。ファッションのシステムの流れに逆行しているかもしれません。6ヶ月ごとに変わるファッションブランドのアイテムとずっと変わらないアイテムを、上手く組み合わせるというアプローチが好きなのです。


ー自身のブランドを置いて欲しいと願う若手デザイナーも多いと思います。セレクトの基準は?

 色々な人から聞かれますよ(笑)。でも、秘密の方程式のようなものはないんです。強いて言うなら質はもちろん、ストーリーを語れるようなしっかりとしたコンセプトを持っているかということですね。ただコンセプチュアルな面だけを重視するというわけではありません。実際に着ることができなければ、それはアートになりますから。私たちはギャラリーではないのです。たとえTシャツ1枚でも、何か特別なもの、エネルギーやストーリーを秘めているものを求めています。よく勘違いされるのですが、奇妙なものを作れば良いというわけではない。服も作り手も、フィーリングを大事にして必死に新しいものを見つけています。簡単ではないですが、必ず新しいものに出会うことはできるのです。

ー日本で今、気になっているデザイナーやブランドはありますか?

 「ダブレット(doublet)」には期待してます。デザイナーの井野さんとは先日、1周年を迎えたシンガポールのドーバーでも会ったばかり。愛らしい雪だるまのインスタレーションを手がけてくれました。日本には良い人材が多いですね。

ー今年、コム デ ギャルソンでは新ブランド「CDG」が始動しました。ECという新たな販売チャネルの手応えは?

 とても順調です。これまでは店舗販売のみだったので、他と比べるとEC展開は遅いスタートかもしれませんね。と言うのも、クリエイティビティの高いアイテムをECで扱うのに抵抗があったんです。でも、CDGのようなベーシックなアイテムはECに合っている。ウェブサイトはシンプルだけど動きがあったり、楽しいものになっているでしょう?あれは川久保のアイデアなんです。店頭でしか買えないアイテムがあったり、ECには毎月新しい商品が入ったり、店舗とECを組み合わせて展開していきます。今はまだCDGは日本だけですが、シンガポール、パリ、ロンドン、ニューヨーク、北京、香港でも販売を広げていく予定です。

(聞き手:今井 祐衣)

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