
Image by: FASHIONSNAP
K-POPブームやSNSインフルエンサーの台頭、そしてコロナ禍でのオンライン普及による意識変化が後押しとなり、男性の美容への関心は大きく高まっています。インテージによると、2024年の男性美容市場規模は2019年比で1.8倍の497億円と、その拡大は顕著です。しかし、この伸びは新客の獲得だけでなく、既存ユーザーが美容をより深く生活に取り入れたという側面もありそう。使用するアイテムは「基礎化粧品」がメインで、メイクアップはこれから。男性美容は「もう一般的だよね!」とまでは、まだ言えなそうです。
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FASHIONSNAPでは今回、そんな化粧品業界で働く若手男性社員3人を集めた座談会を実施。美容に興味を持ったきっかけや、日々の美容法や悩み、お気に入りのイチ推しコスメから、美容を通じた心の変化、入社後に感じたギャップ、"美容男子"や"メンズメイク"といった言葉に感じる違和感まで、熱いトークが繰り広げられました。彼らが目指すのは「“美容男子"と呼ばれなくなること」。同じ関心や課題を共有する同世代ならではの美容トークをお届け。
- 出席者プロフィール -
1999年生まれ、東京都出身。横浜国立大学経営学部を卒業後、2022年コーセーに入社。「雪肌精 BLUE」を立ち上げ、商品企画を担当している。趣味は海外旅行。
2002年生まれ、東京都出身。立教大学社会学部を卒業後、花王 化粧品事業部門に入社。現在はSOFINA iPのマーケティングを担当している。趣味はK-POP鑑賞と、学生時代から続けるダンス。
目次
美容が好きになったきっかけ
── まず、皆さんが美容に興味を持ったり、取り組むようになったきっかけを教えてください。
福田:肌荒れに悩んでいた中学生の頃に、そのマイナスをゼロにしたいという思いで始めました。両親に相談して、スキンケアから徐々に取り入れていきましたね。ポイントメイクは、推しのK-POPアイドルの影響が大きかったです。彼らは新曲をリリースするたびに、コンセプトの異なる多彩なヘアメイクに挑戦していて、毎回全く違う魅力で登場する。1人の人間が何者にでもなれるという、メイクアップの楽しさを感じたことで、自分でも挑戦するようになりました。美容はマイナスをゼロに、そしてゼロを無限に拡げることができると思ったんです。
浦松:僕もK-POPアイドルが高校生の頃から好きで、彼らをきっかけに美容に興味を持ちました。ただ、何か価値観が180度変わる大きな契機があったというよりは、スキンケアに始まり色んなことを1つずつ実践していく中で、徐々に興味と取り組みが深まっていったように思います。ちなみに、今はfromis_9というグループが好きです!
立木:「2025 MAMA AWARDS」のCORTISのステージは最高でしたよね!僕もボーイズグループを中心にK-POPアイドルが好きで、最近はオーディション番組「BOYS II PLANET」に夢中でした。ただ、僕が美容に積極的に取り組むようになったのは、就職してからなんです。大学までは野球に打ち込んでいて、丸坊主で日焼け止めすら塗っていなかった(笑)。

立木遼さん
美容の仕事を始めた理由
浦松:立木さん、今すごく綺麗なので、当時の姿が想像つかないですね......。
立木:実はアイスタイルを選んだのも、美容へ関心があったからではなくて。人にモノを勧めるのが好きで、それで誰かに喜ばれる嬉しさを仕事にできたらいいなと思ったんです。メーカーとお客さんの間に立つ小売の仕事に魅力を感じて、それがたまたま化粧品だった。なので、僕が本格的に美容の世界に触れたのは入社以降だったのですが、毎日コスメに触れられる環境なので自然と実践するようになりました。
── 浦松さんと福田さんはなぜ今の仕事を選ばれたのですか?
浦松:自身の関心や経験を生かせる仕事がしたいという思いがあったので、自然と美容に関連する業界を志望していました。メディアや広告業界なども考えましたが、やはり製品作りに携わりたいという思いが強くて、メーカーを選びました。
福田:メーカー1本でしたね。「美容が自分を変えてくれた」という思いがあり、同じように悩んでいる人に自分が作った商品を届けたいという一心でした。美容に興味を持った中学生の頃は男性や若年層向けのコスメがまだ少なくて、自分に合う製品がなかなか見つからないという状況だったんです。同じように悩んでいる人のために、市場にまだないモノを作りたいという気持ちが強かったです。

福田開道さん
── 男性用コスメの話が出ましたが、やはりメンズコスメから使い始めましたか?
立木:入社してから自分が担当したブランドを中心に試してきたので、一般的なコスメの方が男性用を謳ったものよりもなじみがあります。そうした製品は脂性肌向けに特化したものが多いので、乾燥肌の自分にはあまり合わなくて。
浦松:僕も一般的なコスメを使うことが多いですが、脂性肌の自分には、一般的なコスメだと仕上がりが気に入っても崩れやすかったり、扱いにくさを感じるものも少なくない印象です。男性にもさまざまな肌タイプの人がいるので、崩れにくさと保湿力のバランスが取れたコスメのニーズは、これから増してくる気がしますね。逆に、女性でもそういう質感を求めている人が実は結構いるんじゃないかなと。
福田:確かに、中間があれば良いですよね。立木さんが仰った通り、メンズ向けの商材はターゲットが絞られていて、想定している肌質がやや限定的だと感じています。自分の身近な人たちを見ていても、まずは男性用から始めるという方が大半なので、一般的な女性用のように、⚪︎⚪︎肌用など幅広いアイテムがあるといいですよね。

浦松拓巳さん
── 皆さんは男性向けを謳わない一般的なコスメも使うということですが、抵抗感はなかったですか?
浦松:あまり気にしたことがないですね。最近は韓国コスメを中心に男性モデルを起用するブランドが多いですし、コーセーさんも男性の起用が多いですよね。僕がメイクに興味を持つようになった頃は既にそういう潮流があったので、その製品を買うことに抵抗も感じませんでした。Qoo10のようなオンラインストアで買うことも多かったですが、リアルな売り場に入りにくさはありません。
立木:年齢が2、3歳違うだけでも感じ方が違うところだと思います。僕はデパートの売り場は未だに緊張しますよ。やはり男性だけのお客さんが少ないので、1人ではちょっと気が引けてしまって。アットコスメストアは色んなカテゴリーの商品が揃っていて、男性のお客さんもかなり多いので結局そちらで買ってしまいます。
福田:アットコスメの入りやすさは異常ですよね(笑)。僕が初めて使った一般用のコスメは、自分でカウンターまで行ったものの恥ずかしくて買えなくて、友人が代わりにプレゼントしてくれたものなんです。やはり最初は抵抗感がありました。「あの売り場に行くということはコスメを買っているんだ」と思われるのが、初心者の頃のハードルでした。

美容ルーティーンとマストハブについて
── 普段のスキンケアやメイクアップはどんなことをしているんですか?
福田:私はスキンケアは盛り盛りにするのが好きなタイプなので、使う製品がかなり多いかなと思います。朝と夜で変えているのですが、洗顔後に2、3種類の化粧水を使い分けて塗って、数種類の美容液とクリームを重ねて、美顔器を使った後にシートマスクを付けて、最後にアイクリームで締めます。ベースメイクは、全顔用と部分用の下地を塗った後に、ブラシやパフを使い分けながらファンデーションとフェイスパウダーを塗布していきます。会社では社員の皆さんが本当に綺麗にお化粧されているので、平日のメイクは気合が入りますね。
浦松:盛り盛りですごいですね......。僕はスキンケアでは自分が担当している「ソフィーナ iP(SOFINA iP)」の導入美容液をマストで使っていて、あとは毎晩、欠かさずパックをするようにしていますね。ちなみに、福田さんはメイクツールをどう使い分けているんですか?
福田:フラットなカットのブラシでファンデーションを全顔に塗った後、残った筆の跡をパフでなじませています。フェイスパウダーは、平たくて大きいブラシだと1回で広い面に塗布できるので、何度も擦って崩れるのを防げます。パフよりもツヤが出るので、トレンドの肌印象になるのもポイント。ただ、これは男性あるあるかと思いますが、パウダーが薄付きだとTゾーンの皮脂が気になるので、皮脂吸着成分が入った「雪肌精 BLUE ハーモナイズ マイ ヴェール パウダー Ⅰ」を丸形ブラシで部分的に塗っています。

立木:工程はほぼ一緒でした!ただ、以前はファンデーションブラシを使っていたんですが、綺麗に塗るのにコツが要るんです。筆の跡をうまくぼかせなかったり、中々上手く使いこなせなかったので、最近はスパチュラを使っています。テクニック要らずで初心者の男性にも使いやすいツールだと思います。薄づきでナチュラルに仕上げることができるので、メイクしている感をあまり出したくない方には特におすすめです。
浦松:ブラシもスパチュラも一通り使ったのですが、一周回って今は指塗りに戻りました。指で顔の中心に点置きして外側に向けて伸ばすことで、グラデーションができて自然と立体感が出る気がします。体温で温めてから塗ると肌なじみもよくなるんですよ。「プリマヴィスタ(Primavista)」の「スキンプロテクトベース」(皮脂崩れ防止下地)と、「カネボウ(KANEBO)」の「ライブリースキン ウェア」」(ファンデーション)の組み合わせが気に入っています。
── 今日は日頃使っている化粧品をお持ちいただきましたが、一番のお気に入りを選ぶとするなら?

ソフィーナ iP「ベースケア セラム 土台美容液®」
浦松:僕は、先ほども紹介したソフィーナ iPの導入美容液「ベースケア セラム 土台美容液®」ですね。ブランドを象徴する人気商品ですし、個人的にもこれさえあれば安心というマストハブなアイテムです。洗顔後すぐ使うものなのですが、その後の化粧水や美容液の浸透がかなり変わるんです。炭酸の感触もすごく気持ちよくて、一般的な炭酸のようにパチパチと弾けるというより、じゅわっと染み込んでいくような使用感なんです。
福田:この美容液は僕も使ったことがありますが、炭酸と聞いて想像するような刺激が全然ない。洗顔直後でもピリつかなくて、花王さんの技術を感じる製品ですよね。僕からは、「雪肌精 BLUE」の「ディープ ハイドレイティング エッセンス リキッド Ⅱ」を紹介します。2層式の化粧水なのですが、塗るとすぐに肌がもっちりと柔らかくなって化粧ノリが全く違うんです。香りにもこだわって、心が落ち着くアロマオイルを配合しています。「スキンケアは自分を労る時間」という考えを体現した、シンボリックな製品として選びました。僕が初めて企画に携わった製品でもあり、自分のコスメ愛が詰まっています。


雪肌精 BLUE「ディープ ハイドレイティング エッセンス リキッド Ⅱ」
立木:パッケージも素敵ですよね。どういう背景があるんですか?
福田:この独特な形状は、日本瓦から着想を得たデザインになっています。シリーズには他にも同じ形の製品があり、重ねてインテリアのように飾ることもできるんです。ハトムギエキスの精製で残ってしまう殻をキャップに練り込んでいたり、プロダクトデザインの面でも気に入っています。アットコスメでたくさんのブランドを扱う立木さんのイチ推しも気になります。
立木:僕は「クレ・ド・ポー ボーテ(Clé de Peau Beauté)」のクリームファンデーション「タンクレームエクラn」を選びました!仕事柄、いろいろなブランドの製品を使いますが、その中でも個人的に一番出番が多いお気に入りファンデです。僕は乾燥肌なのですが、例えば朝から仕事をして夜飲みに行って夜中に帰ったとしても、全然パサついたり粉を吹いたりしないんです。クリームファンデらしい保湿力も魅力なのですが、ありがちな厚ぼったさが全くないのが嬉しい。「ファンデつけていたんだ!」と驚かれることもあるほど、自然なのにしっかりカバーしてくれる褒められコスメです。

クレ・ド・ポー ボーテ「タンクレームエクラn」
浦松:名品ですよね。下地には何を合わせるんですか?
立木:1番相性がいいと思うのは、同ブランドの「ヴォワールコレクチュールn」ですかね。ただ、僕がよく使っている「ナーズ(NARS)」の「ライトリフレクティング トーンアップヴェール」も合いましたし、韓国コスメの下地などを合わせた時も相性が悪いとは感じませんでした。一度もモロモロが出たことがなかったり、すごく万能なファンデだと思います。

持参してもらったお気に入りの化粧品たち
今、悩んでいる美容のこと
── お互いに相談したい美容の悩みなどはありますか?
浦松:福田さんはかなりベースメイクにこだわられていますが、一般的には重ねれば重ねるほど崩れやすくなったり、厚塗りっぽくなってしまいますよね。崩れにくいベースを作る上で意識していることはありますか?
福田:メイクの土台になるスキンケアこそ重要だと思っていて。朝のスキンケアでは油水分のバランスを整えながら、とにかくしっかり保湿をするんです。男性は自分が脂性肌だと考えがちですが、実は肌の乾燥によって皮脂分泌が過剰になるインナードライ肌の割合が結構多い。僕もそれに気づいてからは、スキンケアをあえてツヤっぽく仕上げています。皮脂が気になる人は、皮脂抑制の機能があるアイテムを併せて仕込んでおくと、嫌な崩れ方を防げますよ。男性はヒゲ剃りなどで肌が硬くなりやすいので、柔らかくするためにも保湿が必要です。

立木:皆さんは運動や食生活など、コスメ以外で美容のために気をつけていることはありますか?僕は内側からのケアが実は大切だと思っていて。皆さんの取り組みを参考に自分も取り入れたいです。
福田:食事は好きなものを気にせず食べて、その分は美容医療でカバーしちゃいます......(笑)。最近は顔だけじゃなくて体格も重視する風潮があるように思うので、ジムに通ったりプロテインを飲んだりしながら筋トレにも励んでいます。あと、ストレスを溜め込まないために、リフレッシュできる香りのアイテムをよく利用していますね。
浦松:運動はやっぱりすごく大事。私は大学時代はずっとダンスをやっていたんですが、社会人になってあまり動かなくなってしまい重要性を痛感しています。あと、リフレッシュも兼ねて、デスクワークなどで体が凝ったときにかっさでほぐすようにしています。TWICEのSANAの愛用品として話題になった、韓国の「フィリミリ(FILLIMILLI)」というブランドのフェイス・ボディ用かっさがおすすめです。日本からでも買えますよ。
福田:気になっていたアイテムだったので、試してみます!スキンケアやボディケアからは離れるのですが、僕は髪のセットがうまくいかないのが悩みです。どうすればお2人みたいに根本からしっかり立ち上がるんですか?直毛なうえにブリーチなどを繰り返してきたせいか、すぐにぺたっと潰れてしまうんです。

立木:やはりドライヤーの使い方が重要だと思います。温風で立ち上げた前髪を冷風で固めるという手順ですね。土台を一旦ドライヤーで作った後にアイロンも使うのですが、最後にスプレーを指先につけて前髪に塗るのもコツです。スプレーをかけすぎると重さで潰れてしまうので、根本だけにポイントでつけるのがおすすめ。
浦松:僕も同じ工程で立ち上げていますね。長い期間ブリーチをしてきたので髪のダメージは相当にありますが、絶対に固めてやるという強い意志も大事です(笑)
美容を好きになってからの変化
── 美容に取り組むようになって、どんな変化がありましたか?
福田:とにかく自己肯定感が高まって、自分に自信を持てるようになりました。美容って、実は心にもすごく影響を与えるなと思うんです。新しいことに挑戦する勇気をくれたり、外見だけじゃなくて行動を変えてくれるものだと感じます。
浦松:僕も美容に興味を持ってから、自分を表現することが怖くなくなりました。派手な髪色にしてみたり、今みたいにネイルアートを楽しんでみたり、自分の「好き」を追求することへのためらいがなくなったんです。美容の話題で一緒に盛り上がれる友人が出来たりもして、周りからどう見られるかということがあまり気にならなくなりましたね。

浦松さんのネイル
立木:周りから褒められたりして、自然と自信がつきますよね。僕も、日やけ止めさえ塗っていなかった頃と比べたら、何もかも変わった気がします。ただ、一番大きな変化は自分を大切にできるようになったことだと思っていて。僕はメイクをしている時間がとても楽しくて、自分のために使うその時間自体が大切なものだと考えているんです。
福田:すごく素敵な考え方だし、納得しました。メイクアップって、鏡と向き合う時間じゃないですか。それって、自分のコンディションを確認するタイミングでもあると思うんです。昨日なかったクマができたなとか、今日くすんでいるなといったことに気づいて、それを労ってあげることにもつながるというか。自分の体調や心の状態に耳を傾ける時間という風に捉えることもできますね。
立木:スキンケアの場合は夜もその機会になりますよね。今日は仕事が忙しくて少し疲れたから、普段よりいいパックを使っちゃおうかな、とか!そういう美容を通じた自分へのちょっとしたご褒美も、自分を大切にすることの1つだと思う。

ビューティ業界での驚き
── 入社後に感じたギャップや難しさはなかったですか?
立木:僕は大学の頃は男性だけの寮生活だったので、女性が多い職場でのコミュニケーションは少し不安でした。近すぎてもダメだし、距離を取りすぎても仕事に支障が出るし、といった感じで。この距離感を掴むのが最初は大変だったなと思います。ただ、本当に皆さん人柄が素敵で、すぐに慣れたので今はとても良い環境だと感じています。一般的な同世代の男性と比べて、美容の話で盛り上がったりできるのも楽しいです。
浦松:確かに、化粧品業界の方って美容に関心のある方が多いので、男女関係なくコスメの話を一緒に楽しめますよね。男女比について言えば、そもそも花王は男性社員が割と多いんです。もちろん化粧品事業全体では女性の方が多いんですけど、例えば担当しているソフィーナ iPでは男女比にそれほど差がなかったりするので、そこはいい意味でのギャップだったかもしれません。あと、規模の大きなブランドが意外なほどの少人数で運営されていることにも驚きました。あの全国展開されている人気商品も実はこの方が1人で担っていたのか......というようなギャップですね。自分の考えが商品に大きく反映され得るということなので、責任と同時にやりがいを感じています。

福田:僕もメーカーゆえなのか、男女比などについては浦松さんと同じ印象です。業務におけるギャップで言うと、製品開発などは感性が物を言う仕事とばかり思っていましたが、実際は非常にロジカルな面もあったりして意外でした。一見ただ可愛い化粧品も、裏には市場ニーズなどの緻密な調査と戦略があって。それも入社して初めて知るリアルでしたね。
── 化粧品業界では既に多くの男性が幅広く活躍している一方で、消費者の側では男性にとって美容はまだまだなじみの少ないものですよね。美容の習慣が男性により広く浸透して、「メンズコスメ」という“言葉”自体が使われなくなるなど、垣根がなくなるためには、どういう取り組みが必要だと思いますか?
福田:まず前提として、そうした区分は当面必要だと思っています。男性の中には、僕たちのように美容に積極的な人もいれば、初めて化粧品を使うことに躊躇する人もいて。後者の男性にとっては男性用という区分が後押しになるはずなんです。まずは一歩踏み出して、自分に合うものを徐々に見つけていけば良いのだと思います。男性の美容習慣がより広がっていくためには、むしろ一般的な化粧品の「女性用」というイメージを変える必要があります。雪肌精では以前フィギュアスケーターの羽生結弦さんを起用して、「雪肌精に男性用はありません」というコピーを打ち出したことがあって。つまり男女の別なく誰もが使える製品だというメッセージで、それをきっかけに男性ユーザーがとても増えたんです。その様子を見ていて、性別や年齢を限定しないブランディングがもっと一般的になればいいなと思うようになりました。

浦松:男性の美容が特別なものと感じさせずに、日常になじませていくことが重要だと思っていいます。特に美容に興味がなかった友人も、スキンケアや日やけ止め下地のような初歩的なアイテムは素直に試してくれることが多くて。「デパートの化粧品売り場は入りにくい」みたいな無意識の抑圧は簡単には解消できないので、まずは日常に取り入れやすいものを軸に提案の仕方を考えていくのが良いと考えています。
立木:やはり、最終的には男性用という括りがなくなると良いですよね。アットコスメでいろいろなブランドの製品を試す中で、「男性が使っちゃいけないコスメなんかない」という実感があるんです。男女のお客さまが一緒に買い物を楽しまれている姿などを見ると、その壁が無くなる日はそんなに遠くないと思います。そのために日常になじむモノから提案するという話が出ましたが、美容と聞くとメイクアップを想像して尻込みする男性が多い気がするんです。スキンケアだけでも十分だし、まずはそこから始めてみることが大事。美容にはいろいろな側面・レイヤーがあるということを発信して、自分が取り入れやすいものを見つけてほしいと思います。
ビューティ業界で達成したい目標
── 化粧品業界で働く上で、いつか成し遂げたいと考えていることはありますか?
福田:今回の企画書に「美容男子」というキーワードがありましたが、こういう言葉がなくなるくらい、美容を誰もがアクセスできるものにすることが目標です。「歴女」や「イクメン」などと同様に、美容男子という言葉も「男性の美容が一般化していない」ことの証なわけで、それがすごく悲しい。老若男女誰も取り残さず、美容を開かれたものにする製品作りが、僕のゴールですね。
立木:@cosme TOKYOでメンズメイクのイベントを開催した時も、来場者はやはり美容に関心の高い方がほとんどでしたね。すでに美容の知識があったり、実践している人たちを集めたコミュニティ作りも重要ですが、その手前のレイヤーにいる人たちを呼び込めるような施策も必要だなと感じています。店頭でお客さまとコミュニケーションを取れる環境なので、より多くの男性に興味を持ってもらえる間口の広いイベントを仕掛けていきたいです。あと、いろいろなブランドの商品を扱っている立場を活かして、別のプラットフォームでの発信なども個人的にはやってみたいと考えています。

浦松:男性の中で美容への興味や取り組み方に差があるという話が出ましたが、女性の中でもレイヤーがあると思うんです。興味はないけど仕方なくやっている人、美容への関心が高くてどんどん情報を吸収する人など、本当にいろいろな人がいる。レイヤーごとの細かいニーズに合わせた製品を提案していくことも、美容全体のアクセシビリティを高めることにつながると思うので、社会の潮流へのアンテナを常に張り続けていたいです。男性に美容を開放することと同じくらい、男女ともに美容を押し付けないことも大事かなと思っています。
福田:確かに、「メイクをしなくちゃいけない」という考えもおかしい。したくない人はしなくて良いし、頑張りたい日と休みたい日があっても良い。美容が誰かのプレッシャーになったりせず、自由に楽しめるものになったら良いですね!

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