「コム デ ギャルソン オム プリュス」2021年春夏コレクション
「コム デ ギャルソン オム プリュス」2021年春夏コレクション
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「今直面する難題を乗り越える強さを」コム デ ギャルソン オム プリュスが26年ぶりに東京でショー開催

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 2020年7月28日、「コム デ ギャルソン オム プリュス(COMME des GARÇONS HOMME PLUS)」は、東京・青山の本社の展示会場で2021年春夏コレクションを発表した。最大限のコロナ対策をした上で招待されたのは、数十人のプレス関係者のみ。東京でのショーは1994年秋冬のウィメンズ、メンズの合同ショー以来で、26年ぶりとなる。その心は?

(文:ファッションジャーナリスト 増田海治郎

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 ブラジルのアーティスト、アルベルト・ビタール(Alberto Bitar)による映像が壁面に投影され、ショーは幕を開けた。5人のモデルが一斉に姿を現す。全員がシルバーを箔押したような"銀ピカ"の服をまとっている。靴は「ナイキ(NIKE)」とのコラボレーションスニーカーで、ヘアはドラゴンボールのベジータのようなライオンヘア。シルバーの服はフューチャリスティックと形容されがちだが、近未来的というよりはアニメのキャラクターみたいな雰囲気を醸し出している。なんだかとても強そうだ。

 ショーは5人×6つの集団で構成されている。第2陣は部分的にシルバーの泊をプリントしたスーツスタイル。第3陣のポイントは"ドッキングとハイブリッド"で、コートとテーラードジャケット、ライダースジャケットとテーラードジャケットが一体となっている。第4陣はシルバー×ホワイトの集団。第5陣はペールトーンのイエロー、グリーン、ブルーのセットアップで、第6陣はジャケットのラペルをシルバーで装飾したブラックスーツの軍団だ。シルバー尽くしは第1陣のみだが、いずれのルックもどこかしらにシルバーが入っている。

 コム デ ギャルソンの店舗デザインは店によって様々だが、共通するのはメタル素材を多用していること。本コレクションの肝は、このメタルを連想させるシルバーの色使い、素材にある。代弁となるが、プレス担当者によると「メタルが持つ強さ、重量感を服に取り入れたいと考え、"メタル アウトロー(METAL OUTLAW)"をイメージした」という。そして「どんな圧力にも負けない強さ、今直面する難題を乗り越える強さ、希望を生む強さを重ねたコレクションであればと思う」と続ける。

 この日の朝、御三家のひとつに数えられるイッセイミヤケのメンズライン「イッセイ ミヤケ メン」の休止が発表された。その前日には、ファッション業界のサステナブルの旗手である「ステラ マッカートニー」の事業再編の可能性が報道されている。全世界を混乱の渦に巻き込んでいるコロナ禍は、既存のほとんど全てのファッションブランドの屋台骨を揺るがすことになってしまうだろう。いくつものブランドとドーバー ストリート マーケットを抱えるコム デ ギャルソンとて安泰ではないのが、今という時代だ。

 それでも川久保玲は、メタルの持つ強さを服に投影して、私は立ち向かうと静かに宣言した。全てのファッション関係者、そして全てのファッション好きは、彼女に倣って立ち向かわなければならない。今は一筋の光だとしても、束になればきっと大きな力になるはずだから。

文・増田海治郎
雑誌編集者、繊維業界紙の記者を経て、フリーランスのファッションジャーナリスト/クリエイティブディレクターとして独立。自他ともに認める"デフィレ中毒"で、年間のファッションショーの取材本数は約250本。初の書籍「渋カジが、わたしを作った。」(講談社)が好評発売中。>>増田海治郎の記事一覧

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