Fashioninterview

【インタビュー】せーの代表 石川涼「ファッションは終わり、感動するものだけが残る」

石川 涼 Image by Fashionsnap.com
石川 涼
Image by: Fashionsnap.com

■"自撮り"で世界を目指すゴノタン

―マスクブランド「gonoturn(ゴノタン)」のアイデア源は?

 ここ何年か、「グローバル企業になっていかないと終わるな」と考え続けていました。JFWに参加した後に、まず「VANQUISH」をどんどん海外に出して、アジア中心に売り先が増えてどんどん伸びていった。とにかく「世界に勝つために何が必要か」ということがずっと頭の中にあったんです。それで僕が海外に出ることが増えたんですが、宿泊先では「世界のみんなは何をやっているのか」を知るためにネットで海外のSNSとか適当に眺めていました。すると、ある日気づいたんです。「世界は"自撮り"に溢れている」って。今日のコーディネートやメイクを撮って投稿している画像がすごく多かったんですね。

 それと一緒に、ニコニコ動画の「踊ってみた」がすごいと聞いて見ていたんですが、こずえちゃんという女の子が踊っている動画が、どんどん人気になっていって。そのこずえちゃんが考えた振り付けを、外国人がまねして踊った動画がYoutubeに上がりまくっているんですよ。「こんな今っぽいやつはない!」と思いました。

 見ていて気付いたのが、「踊ってみた」の女の子ってマスクをしているんですよね。おそらく初期の人がマスクをしていたのをみんながマネて、自然に根付いたカルチャーになっていたんです。この時、初めて"マスク"と"自撮り"のアイデアがつながった。「かわいいマスクだったら半端なく広がるんじゃないか!?」と思って、速攻で海外から会社に電話したんです。「ぬいぐるみのマスク作れるところ探せ!」って。そんなもの、世の中に今までなかったから。

―「gonoturn」という名前の意味は?

 マスク担当に指名したのが、ちょうど渋谷店から本社に異動してきたちょっと変わっている子だったんです。小学校3年生のときに自分で作ったクマのぬいぐるみをずっと持ち歩いて、仕事中もデスクに置いていて。そのコに企画を任せて、僕がまた海外に出て名前を考えている時に、そういえばアイツが持っているクマの名前が「ゴノタン」だったなと思い出して。英字で「go no turn」はどうだろう、こんな言葉ないけど「行け、振り返るな」みたいな意味にもなるんじゃないかとひらめいた。僕はもう「世界に行く!」と自分の中で決めていたから、「これだ!」と思ったんです。その瞬間にまた会社に連絡して、「gonoturn」で世界商標をとるように指示しました。数千万かかるし、まだ始まってもなかったから反対もされたけど、「これは絶対行ける」という確信があったんです。

―目とうずまきのマークの由来は?

 スターバックスもナイキも、今は文字がなくてマークだけですよね。言語を必要としないで認識されるように、名前の次は「gonoturn」のマークを作らなければと思いました。そのマスク担当の子が持っていたクマって、20年以上一緒にいるものだから鼻のあたりの毛が抜けちゃってて、それが渦巻きみたいに見えたんですよ。その瞬間、また「これだ!」って(笑)。これも商標を登録してあります。将来的にもっと認知されるようになったら、マークだけに変えられるようにしたいですね。

ishikawa-seeno-2014-01-23-20140123_033.jpg

―アイデアから製品化までの道のりを教えてください。

 "自撮り"用のマスクのアイデアは、「小学生でも理解できる」「言語が関係ない」「写真のコミュニケーションができる」ということがポイントでした。でも社内では「こんなものやって何になる」「利益出るんですか」と、超反対された。でも僕はこれを全力でやると決めていたので、半ば強引に進めたんです。

 3ヶ月くらいで「gonoturn」のサンプルが上がってきた頃、ニューヨークコレクションを見に行く機会がありました。その時、「VANQUISH」チーム全員に試作のマスクを付けさせたんです。コレクション会場に入ると、周りにいる外国人が「それ何だ」「お前らどっから来たんだ」みたいな感じになって、みんな僕らの写真を撮りはじめて。ベッカムの次に注目されたんじゃないかな(笑)。その時、一緒にいたスタッフが初めて「社長、これ本当に行けますね!」と言って理解してくれて、そこから製品化まで加速していきました。

―デビュー時には、どんなプロモーション戦略を立てたのでしょうか?

 PRは特にしていなくて、2012年10月の立ち上げの時に、タレントさんとかモデルさん達に商品をギフトで贈っただけです。そうしたら、その全員がマスクを付けて"自撮り"してSNSに投稿してくれました。すると「かわいい!」「ほしい!」というコメントがシェアされて、ウェブの環境の中でオートマチックに連鎖していった。未だにすごい勢いで広がっていて、売上も前年比で10倍以上伸びています。

ishikawa-seeno-2014-01-23-20140123_023.jpg

―従来のアパレルビジネスとも、キャラクタービジネスとも異なります。

 ファッションブランドというよりは、行動心理に紐づいたITの世界に近いのかもしれません。これからも、例えば冬だったらゲレンデ用のネックウォーマーとか、つまり女の子がSNSに写真をあげたくなるようなイベントに紐づいたアイテムを連発していきます。説明とかいらなくて、写真のコミュニケーションで理解できるもの。アイデアはたくさんありますよ。

―海外戦略や、今後の展望は?

 コラボも多いですが、日本のキャラクターに絞っているのは海外を意識しているからです。販売はオンラインが中心で、パリの「Colette(コレット)」でも取り扱っていますが、海外展開は今年から本格化していきたいと考えています。あとは、例えば小児科の看護婦さんが「gonoturn」を付けていたら子供達が怖がらないかもしれないし、子供用のマスクやポンチョとか、絶対にかわいいと思う。そういったユーザーとシーンを広げていきたいと考えています。


 次のページは>>ファッションに未来はあるか

最新の関連記事

Realtime

現在の人気記事

    次の記事を探す

    Ranking Top 10

    アクセスランキング