Fashion 注目コレクション

「ファミレスは僕のWe Are The World」ダブレットがパリで初のプレゼンテーション

2020-21年秋冬コレクション
2020-21年秋冬コレクション
Image by: FASHIONSANP.COM(Koji Hirano)

 聞き慣れたチャイムとアナウンス。テーブルにはオリジナルのメニューが置かれている。ここがパリのプレゼンテーション会場だと忘れてしまうほど細部まで作り込まれた空間は、まさに「ダブレット(doublet)」という名のファミレスだ。しかし、ただ日本ぽいものを持ち込んだのではない。発表された2020-21年秋冬コレクションからは、デザイナー井野将之にとっての国境がない世界、"We Are The World"を体験することができた。

— ADの後に記事が続きます —

 ダブレットがショー形式で新作を発表するのは2017年の東京コレクション以来。初のランウェイを経験したことがターニングポイントとなり、外に向けて発信することの手応えをつかんだという。2018年に応募したLVMHプライズで見事グランプリを受賞すると、世界的な知名度を獲得。その後も一歩ずつ前進し、今回のパリメンズファッションウィークにおいて公式プレゼンテーション枠での発表に至っている。

 プライズの受賞を機にLVMHからアドバイスや様々な紹介を得て、欧州でネットワークが広がったことから、井野はパリで発表することについて「感謝の気持ちも大きい」と話している。人種や国境を超えた出会いや、環境が違っても変わらない「面白い」感覚など、世界で感じたことを素直にファッションで表現したい。そんな考えから「We Are The World」がテーマとなった。

©FASHIONSANP.COM(Koji Hirano)

 「イメージを広げて行き着いたのが、僕の中の"We Are The World"だったファミレスです。子どもの頃の楽しかった記憶や、色々な国の料理が食べられて多様性があるのに無国籍という感覚とか。その小さな世界が、今では本当の世界に広がっているんです」。井野の考えの通り、会場の作りは日本のファミレスだが中身は様々な国の要素が混ざっている。コレクションも多国籍で、寿司やパンのプリント、食品サンプル風のボタンといったキャッチーなディテール、ムエタイパンツを裏返すとチャイナパンツになるリバーシブル仕様、寄せ書き風に施された取引先の母国語によるメッセージの刺繍など、多様なデザインをスタイリングでミックス。個性的な男女のモデルがそれぞれユニークに着こなした。

 今回もアクセサリーが充実。シューズは「ディーシーシューズ(DC Shoes)」、アイウェアは「ブラン(BLANC)」、バッグは「ベータ ポスト(beta post)」と、それぞれコラボレーションしている。バッグや財布がフレームで1つに繋がっているデザインは、まるでプラモデルのパーツのよう。ダンボール箱のような質感のバッグは、世界中と繋がる配送サービスとイメージを重ねたという。プレゼンテーションは過去にもコラボレーションしているPZがアートディレクションを担当し、スタイリストは東京でのショーと同じくデミ・デム(DEMI DEMU)が務めた。

 ショーの後半では、ランウェイを歩いたモデルたちがオリジナルメニューの食品サンプルを持ち寄り、テーブルに座って自由におしゃべり。ダブレットならではのシュールで楽しいムードに引き込んだ。フィナーレの挨拶として、シェフに扮して登場した井野。ショーの前には「(レストランに掛けて)三つ星を目標にしたい」と話していたが、体験した観客の笑顔によって「人を楽しませる」という願いは叶ったようだ。今後についても、形を変えながらパリで発表を続けていくという。

井野将之 ©FASHIONSANP.COM(Koji Hirano)

最新の関連記事

Realtime

現在の人気記事

    次の記事を探す

    Ranking Top 10

    アクセスランキング