TAAKK 2021SS COLLECTION
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Image by: FASHIONSNAP.COM(Ippei Saito)

Fashion注目コレクション

タークとダブレットの妙な縁 - 2021SS -

TAAKK 2021SS COLLECTION Image by FASHIONSNAP.COM(Ippei Saito)
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 10月12日、東京都内でそれぞれショーを行った森川拓野が手掛ける「ターク(TAAKK)」と井野将之の「ダブレット(doublet)」。2つのブランドの共通点は、同じ東京発のメンズブランド、というくらいかもしれない。しかし初期から両者を見てきた筆者が感じるのは、妙な縁。7年前から今日まで、その縁を辿りながら、それぞれの歩みを振り返ってみようと思う。

 2013年、ファッションの合同展示会「JFW インターナショナル・ファッション・フェア(JFW-IFF)」にまだブランドを立ち上げて間もないタークとダブレットが出展していた。筆者と2人との最初の出会いはその時で、テキスタイル作りからデザインをスタートさせていた「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」出身の森川拓野によるターク、「ミハラヤスヒロ(MIHARAYASUHIRO)」出身で表面にオーガンジーを重ねたMA-1など仕様やテクニックにこだわりをみせていた井野将之が手掛けるダブレットのクリエイションは、何百と出展しているブランドの中でも際立ち、会場ですぐ記事を取り上げたいと考え執筆に至った。活躍が期待される若手9ブランドの特集記事「打線を組んでみた」で紹介したこともある。

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 それから2人はしばらく何シーズンか同じ会場で展示会を行っていた。2014年、東京からパリに進出するブランドが出始めた頃には「タークとダブレットのファッションショーが見てみたい」と話したことがある。その時2人に「アンリアレイジのように密着してもらえるならショーをやりたい!」と言われたことは今でも鮮明に覚えている。

 実際に初のショーの開催に至ったのは、いずれも2017年秋冬シーズン。「Amazon Fashion Week TOKYO 2017 A/W」に参加し、タークはヒカリエの通路で、ダブレットはヒカリエホールBでそれぞれコレクションを披露し、さらに注目を集めるきっかけになった。

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 その後パリに発表の場を移し、迎えた2020年。大きく成長した2ブランドは、新型コロナの影響ではあるが東京に帰ってきた。2ブランドのショーはこれまた妙な縁だが同日となる10月12日。まずはタークが、2021年春夏の東コレでフィジカルショーのトップを切る16時から新宿御苑の大温室で新作を発表した。

新宿御苑大温室 Image by FASHIONSNAP.COM(Ippei Saito)
新宿御苑大温室 Image by FASHIONSNAP.COM(Ippei Saito)

 「FASHION PRIZE OF TOKYO 2020」の受賞を機に、海外展開を広げているターク。ビジネス面では国内で約30、海外で約10アカウントを持つなど成長を続けており、クリエイション面ではブランドのアイデンティティでもある素材と技法へのこだわりを7年前から貫き通している。オパール加工によって浮き出た植物柄が目を引くセットアップ、デザイン線が騙し絵のように身頃に施されているトロンプ・ルイユジャケット、レイヤード風のドッキングシャツなど。テーマの「マグリット」から着想を得てシュルレアリスムの世界観を表現したというがそれはあくまで表層で、本質はトロンプ・ルイユジャケットなどに見られる素材と技法への精通。タートルネックにタイを合わせるなどスタイリングの小技が効いていたりと、ショーならではの魅せる演出も光った。

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 時刻は変わって20時。ダブレットが会場に選んだのは青山にあるレストラン「ロアラブッシュ」。会場を知ったとき、前回パリで発表した2020-21年秋冬コレクションの"ファミレス"が頭をよぎった。

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 会場スタッフに、ナイフやフォーク、グラス、クローシュが丁寧に並べられたテーブルに通される。係の人がクローシュを開け、中から登場したのはVRのヘッドセット。「アナウンスがあったらつけてください」とだけ説明があった。

 VRヘッドセットを装着し、眼前に現れたのはデジタルパリコレで発表したムービーに登場した熊が新作とアーカイブを着用したゾンビから逃げ回るVR映像。 「今年は渋谷でハロウィンができなそうだから」という意図で作られたホラー映像を体験し、ヘッドセットを外すと映像に登場したゾンビがテーブルの前にスタンバイしていた。

 「デジタルかフィジカルかではなく、デジタルでフィジカルなショーにしたかった」と井野が語るように、今回はVR映像とキャットウォークをミックスした、井野なりのデジタルでフィジカルなファッションショー。2019-20年秋冬コレクション「Surprise! "驚き!(なさい)"」でもホラーの要素"恐怖"や"驚き"を取り入れていたが、それは井野の十八番でもある"笑い"と同じ、ファッションのハイコンテクストを突破する直感的で万国共通のアプローチだ。

 それぞれの発表を終えた後、2人のデザイナーにショーの意図を尋ねると「楽しんで欲しかったから」と口を揃えた。日本を代表するメンズブランドにまで成長した2ブランドのショーを通じて、それぞれ独自の道を歩みながらも「ファッションを楽しむ」という共通項とも言うべき素直な思いを体感することができた。

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