ジブリパーク開園を来年に控えたプレイベントとして7月17日から9月23日までの期間、「ジブリの大博覧会〜ジブリパーク、 開園まであと1年。〜」が愛知県美術館で開催されます。ジブリの大博覧会は2015年の愛・地球博記念公園(愛知県長久手市)を皮切りに、5年間で国内全11ヶ所を巡回した展覧会。今回、愛知初登場を含む各会場で話題を集めた全ての展示が集結し、スタジオジブリ誕生から約35年の歩みを豊富な資料で振り返ります。新たに企画された展示から展覧会オリジナルグッズの情報まで会場内部をレポート。
ジブリの幻燈楼
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©︎ Studio Ghibli
1つ目の展示室に入ると、まず目に飛び込んでくるのが巨大なガラス作品と、色とりどりのイメージが壁に映し出された幻想的な空間。スタジオジブリと富山ガラス工房、富山ガラス造形研究所が共同制作し、2018年に富山会場限定で公開された作品です。「天空の城ラピュタ」の「君をのせて」や、「ハウルの動く城」のメインテーマ「人生のメリーゴーランド」などの音楽にあわせて、ジブリ作品の登場キャラクターたちが投影されています。
ポスタールーム
©︎ Studio Ghibli
映画宣伝の過程にフォーカスした同フロアでは、1984年公開の「風の谷のナウシカ」から2021年8月27日公開予定の「劇場版 アーヤと魔女」まで、スタジオジブリの作品の映画ポスターが一 堂に会します。ポスターの他、キャッチコピーのメモや、ポスター用原案、タイトルロゴ案、鈴木敏夫プロデューサーから糸井重里へ宛てた書簡など、これまで一般に公開されてこなかった貴重な資料が壁一面に並びます。
©︎ Studio Ghibli
次のフロアでは「映画プロデューサーの仕事」にフォーカス。「製作」「宣伝」「配給」「興行」といった膨大な仕事を、1997年公開の「もののけ姫」を例に紹介しています。ロケハンの工程表や、制作管理のスケジュールなど、映画制作の裏側が知れる資料を展示。作品が世に送り出されるまでの過程において、膨大な時間と多くの人々が関わっていることが伝わる展示内容になっています。
ジブリの倉庫
©︎ Studio Ghibli
さらに進むと、歴代作品のグッズや非売品、関連書籍などの膨大な展示物で埋め尽くされた空間が出現。チラシ、前売り券、パンフレット、紙袋、CD・レコード、協賛グッズ、マスコミ向け資料、映画関係者に配布された腕時計等の非売品、劇場・書店に設置されるディスプレイなど、数え切れない程の資料が所狭しと並んでいます。作中に登場するヴィジュアルとは少し異なる最初期に作られたトトロのぬいぐるみや、スタジオジブリ社屋内に掲示される告知や行事の貼り紙といったユニークな資料も。
スタジオジブリ 空とぶ機械達展
©︎ Studio Ghibli
2016年の東京会場で登場し、話題を集めた展示が愛知県に初上陸。スタジオジブリの作品を象徴する様々な空飛ぶ機械に焦点を当て、「紅の豚」や「風立ちぬ」に登場する飛行機の設定資料などを公開しています。目玉は「天空の城ラピュタ」のオープニングシーンに登場する「空とぶ巨大な船」の動く大型模型。天井から吊り下げられた巨大な船が、無数のプロペラを回しながら動く様子は圧巻です。
風の谷のナウシカ 王蟲の世界
©︎ Studio Ghibli
「風の谷のナウシカ」に登場する王蟲や蟲たちが住む「腐海の世界」を表現した神秘的な雰囲気が漂うエリア。2019年の福岡会場で公開されたもので、今回のためにリニューアルして登場。「シン・ゴジラ」のキャラクターデザインや、「巨神兵東京に現る」で巨神兵の雛形デザインなどを手掛けた造形家 竹谷隆之が制作した、腐海の生物たちの立体作品が展示されています。妖しげに目玉が光る巨大な王蟲は、今にも動き出しそうなリアリティと迫力があります。
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ネコバスアトリエ
©︎ Studio Ghibli
「となりのトトロ」の「ネコバス」をモチーフにした大博覧会初登場の新展示企画。「デザインあ展」のディレクションや、21_21 DESIGN SIGHT館長を務めるなど、多岐にわたり活躍するグラフィックデザイナー 佐藤卓が企画監修を担当しました。動物の「ネコ」と乗り物の「バス」といった全く関係がない2つのものが合体した「ネコバス」をインスピレーション源に、様々な組み合わせによる「アイデア」にフォーカスした展示構成となっています。
©︎ Studio Ghibli
「組合せの部屋」では、世の中にある合体した"組み合わせ"の実例を紹介。古い農具などの道具・民具をはじめ、妖怪・幻獣を題材とした絵画、ネコバスのように動物の姿を物体に落とし込んだ木魚や豚の貯金箱など、「モノとモノ」「動物と動物」「モノと動物」といった組み合わせた"もの"を体系的に展示しています。一部の展示作品は南山大学人類学博物館が協力しており、言語学・文化人類学者の故・西江雅之氏が世界各地を旅して蒐集したコレクションとなっています。
©︎ Studio Ghibli
「ネコバスアトリエ」エリアの最後のフロアでは、愛知県美術館の収蔵作品を中心に公開。「組み合わせ」「アニミズム」「メタモルフォーゼ」を切り口に作品を選定し、ステファニー・クエール(Stephanie Quayle)が制作した生と死を司る生物 シシガミの塑像などが並びます。展示装飾は「アマチ(amachi.)」を手掛けるデザイナー吉本天地が、「アニミズム」をテーマに糸や布で装飾。展示ケースや作品に植物が生い茂ったような装飾を施し、作品の周りに自然石と、それらを模したフェルト製のピースが配置されています。展示作品と会場の境界が曖昧となり、自然に浸食されたような没入感のある空間を演出しています。
©︎ Studio Ghibli
このほか、サツキとメイの父親で考古学者の草壁タツオ(声:糸井重里)の書斎を表現した「草壁タツオの書斎」や「ネコバス」を紹介するスペースを展開しています。
「ネコバスアトリエ」鑑賞後、子どもたちが自由な発想で絵を描けるよう特設サイトから用紙がダウンロードできるようになっています。
ジブリパークコーナー
©︎ Studio Ghibli
愛知県長久手市にある愛・地球博記念公園内にオープンするジブリパークは、「猫の恩返し」に登場する「猫の事務所」や「耳をすませば」の「地球屋」を再現した建物が並ぶメインゲート「青春の丘エリア」、ジブリ作品の展示室やカフェテリアを設けた「ジブリの大倉庫エリア」、「となりのトトロ」のサツキとメイの家を中心とした自然空間「どんどこ森エリア」といった3エリアが2022年秋に先行で開業予定。2023年度には、「もののけ姫」のタタラ場や炭焼き小屋で構成される「もののけの里エリア」、「ハウルの動く城」のハウルの城や「魔女の宅急便」の主人公キキの実家 オキノ邸などをイメージした建物が立ち並ぶ「魔女の谷エリア」が加わり、グランドオープンを迎えます。
大博覧会初登場のジブリパークコーナーでは、「魔女の谷エリア」に誕生する「ハウルの城」にフォーカス。建築模型を初めて一般公開します。一足先にジブリパークの雰囲気を感じることができます。
スタジオジブリへようこそ!/ネコバス
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スタジオジブリ内にある打ち合わせ兼休憩スペースを再現した「トトロ・バー」。展示室の外には大きなトトロや、ネコバスが展示されています。
特設ショップ
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会場内の特設ショップでは、ここでしか買えない展覧会オリジナルグッズを多数用意。「バルス!」「ここで働かせて下さい。」「生きろ。そなたは美しい。」といった象徴的なセリフを大胆にプリントしたTシャツや、 アートポスターのデザインをあしらったトートバッグ、ポストカード、ジグソーパズルなど様々なアイテムをラインナップしています。このほか、ジブリ公認の店舗「白髭のシュークリーム工房」による「トトロのクッキーBOX」が大博覧会の会場初登場。なお、帰りの荷物が気になるという人は、来場者のみ利用できるオンラインショップも開設しているので、帰宅後にゆっくりとショッピングを楽しむこともできます。
■ジブリの大博覧会〜ジブリパーク、開園まであと1年。〜
会期:2021年7月17日(土)~9月23日(木・祝)
会場:愛知県美術館
住所:愛知県名古屋市東区東桜1-13-2
時間:10:00~18:00(金曜は20:00まで)
観覧料:一般 1900円/高校生、大学生 1500円/小学生、中学生 1000円(いずれも税込/障がい者は各券種の半額)
※休館日は8月2日(月)、 16日(月)、 9月6日(月)、 21日(火)
※日時指定予約制
※入館は閉館30分前まで
特設サイト
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