
「ゴールドウイン」が韓国で行ったトレイルランニングイベントの様子
Image by: Goldwin
世界的なランニングブームを背景に、韓国・ソウルは“ランニングコア”の発信地として存在感を高めている。日本の若いランナーの間でも、韓国のランニングクルーやファッションへの注目度は高く、高性能なランニングシューズにウィンドシェルやショートタイツを合わせたスタイルは街着にも影響を与えている。そんな韓国で、「ゴールドウイン(Goldwin)」は今年2月、ソウル・島山(トサン)地区に旗艦店を開業。K-POPスターを起用したマーケティングが主流の市場で、あえてそれを行わず、コミュニティ作りを軸にブランドを育てる独自戦略を進めている。
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「物語<即効性」な韓国市場
「ゴールドウイン」は韓国では、2025年9月に新世界百貨店江南店に出店し、現在はソウル市内の百貨店に4店舗を構える。新世界百貨店江南店は百貨店として韓国首位の売り上げを誇り、ラグジュアリーブランドがこぞって出店する館だ。今年2月にオープンした島山の旗艦店は、2層で売り場面積は約366平方メートル。日本、中国、ニューヨーク、ロンドンを含めても最大規模となる店舗で、島山は「ジェントルモンスター(Gentle Monster)」をはじめラグジュアリーからストリートブランドまでが集積するソウル屈指の高感度エリアだ。




「ゴールドウイン」が韓国で行ったランニングイベントの様子
Image by: Goldwin
韓国では、K-POPアーティストや俳優を起用したブランドマーケティングが一般的。他国ではアンバサダーを起用していないブランドでも、韓国では起用しているというケースは多い。しかし、「ゴールドウイン」は異なる道を選んだ。
「韓国市場は変化が速く、同質化傾向も強い。トレンドの寿命は短く、物語性よりも即効性が求められる市場です」と話すのは、ゴールドウインコリアの田中博教マーケティング部長。その中にあって、「ゴールドウイン」は「スターマーケティングに頼るのではなく、自発的な着用が生まれるブランディング」を目指している。
@goldwin_seoulの江華島でのランニングイベントについての投稿
そのために力を入れているのが、ブランドの世界観を体験できるローカルイベントだ。2024年10月のゴールドウインコリア設立からの1年間で、ポップアップを含め韓国で11回のイベントを開催。アートやクラフトの展示、レコードストアとの協業企画などに加え、ランニングイベントも積極的に行ってきた。
韓国ランナーのSNSに他国の消費者も注目
今年4月にはソウル近郊の江華島で、トレイルや海岸沿いを走るミニツアーを開催。5月には島山の旗艦店を拠点に、ランニングと新茶を楽しむティーセレモニーを組み合わせたイベントを実施した。8月には韓国を代表するアウトドアフィールドである済州島で初のポップアップを予定しており、ランニングイベントも併催する。今後は初心者からシリアスランナーまで幅広い層を対象に、ランニングイベントをさらに増やしていく考えだ。
韓国のランニングカルチャーはSNSでの発信力が高く、イベント参加者が投稿する写真や動画は韓国内だけでなく、中国や日本といった他国の消費者にも拡散される。それが、マーケティング大国の韓国に旗艦店を構える大きな意味だ。




韓国用の”ローカルアセット”
Image by: Goldwin
ブランドの発信拠点として韓国を位置付ける中で、韓国向けの“ローカルアセット”と呼ぶ撮り下ろしヴィジュアルも制作している。韓国で人気の商品を中心に、現地モデルを起用して撮影を行い、SNSで発信。「ローカルアセットを見て商品に興味を持っても、人気品番への集中傾向が強い韓国ではすでに売り切れていることもある。そうしたお客さまが、日本旅行の際に商品を購入するケースも出てきています」と田中部長。韓国で制作したコンテンツが、日本を含む周辺国での販売にもつながっている。
韓国事業はまだ立ち上げ段階だが、「ゴールドウイン」にとってブランドを世界へ発信し、コミュニティーを育てる重要拠点。ゴールドウイン社は2033年3月期までに、韓国で「ゴールドウイン」20店舗体制を目指す。内訳は百貨店インショップ15店舗、路面店5店舗。すでに島山に続く2号店となる路面店の候補地選定も進めている。




「ゴールドウイン ゼロ」のランニングコレクション発売に合わせて制作した韓国向けの“ローカルアセット”
Image by: Goldwin
木村直樹ゴールドウインコリア社長に聞く
2024年10月のゴールドウインコリア設立以来、同社を率いる木村直樹社長に聞いた。

木村直樹 社長
韓国では、ゴールドウイン社は40%出資するヤングワンアウトドアコーポレーションと、長らく「ザ・ノース・フェイス」の事業を行ってきました。当社とヤングワンとで、韓国での「ゴールドウイン」事業のための合弁会社ゴールドウインコリアを設立したのが2024年10月。2025年9月には、念願の新世界百貨店江南店にインショップを設け、2026年2月には島山に路面店もオープンしました。韓国事業第2フェーズとなる2027~2029年には、2店目となる路面店を開業すると共に、百貨店インショップは現状の4店から10店にまで拡大します。商品のライセンス企画も検討し、2028年3月期で韓国事業を黒字化させます。ゴールドウイン社が2033年3月期で目指す「ゴールドウイン」売上高510億円のうち、韓国事業は60~80億円を占める見通しです。
世界最大の旗艦店「Goldwin Seoul」







以前は50年前に建てられた住居だったという島山の路面店。新素材研究所と組んで増築すると共に、日本の美意識を感じさせる内装を作り上げた。
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