
Image by: FASHIONSNAP
モデルやタレントとして活躍し、ハワイやLAでの生活を経て、現在は沖縄で自然とともに暮らす吉川ひなのさん。エシカルで地球に寄り添ったライフスタイルが支持を集める吉川さんに、心と身体のバランスを整えるお気に入りのオーガニック・ナチュラルコスメをはじめ、自身の暮らしが一変したターニングポイント、自身のブランドを通して発信する「地球にも生き物にも優しいものづくり」のこだわり、未来を生きる子どもたちのために目指す温かい社会のヴィジョンまで、優しくも力強い言葉で語ってもらいました。
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妊娠を機に、地球に寄り添う暮らしがスタート
⎯⎯ エシカルで自然に寄り添ったライフスタイルを送られている印象がありますが、そうした暮らしを始めたきっかけを教えてください。
きっかけは、約15年前に長女を妊娠したことでした。新しく生まれてくる子のために、生活用品を揃えなければいけないとき、「何を買うべきなんだろう」「この新しい命にふさわしいものは何だろう」と考えたんです。
そのとき、ふと自分の家にあるものが、自分で選んだはずなのに、「どこで、誰が、どうやって作っているのか」を全く知らなかったことに気づきました。
そこから一つひとつの生産背景が気になり始め、調べていくうちに、思ってもみなかったような環境や原料で作られたものが、店頭にきらきらと並んでいたんだと知りました。何も知らずに選んでいたことで、誰かが悲しんだり苦しんだりする生産背景に自分も加担していたんだと気づいたことが、すべての始まりです。

⎯⎯ 食生活や洋服など、身の回りのあらゆるものに対する考え方が変わっていったのでしょうか?
そうですね。気になりだしたら止まらなくなってしまいました。人間は食べているものだけで健康が決まるわけではないし、むしろ食べたものは体外へ排出されるけど、肌から吸収したものは簡単には出ていかない。そういうことを考え始めると、食べもの、コスメ、衣類、家具などすべてが気になり始めて、一時期は本当にナチュラリストに“なりすぎて”しまって…。
⎯⎯ “なりすぎた”、というと?
自分のこだわりと生活とのバランスを見つけるのが難しくて、一時期はすごく苦しみました。でも、私たちは何でも簡単に手に入る現代に生きていますし、私は昔からかわいいものも大好き。すべてを排除することはできないし、0か100かで考えられることではないんですよね。
ただ、それも過ごしていくうちに自分の中でバランスが取れるようになってきて、今は「こうじゃなきゃだめ」という凝り固まった考えはなくなりました。
⎯⎯ 具体的には、どのようにバランスを取っていますか?
例えば食べ物でいうと、外食のときは気にせず、その場を楽しんで美味しく食べるようにしています。その代わり、家で買うものは95%以上オーガニックのものにする。そうやってバランスを取れるようになってからは、気持ちがすごく楽になりました。

吉川さんの自宅にある有機野菜
Image by: Hinano Yoshikawa
⎯⎯ オーガニック志向のライフスタイルへシフトする中で、肌に触れるコスメの選び方にどのような変化がありましたか?
一番大きな変化のきっかけは、13年ほど前にハワイのジャングルで3週間、ヨガの修行をしたとき。そこは下水設備がなく、雨水をろ過したシャワーを使っていました。そこで、自分が使ったシャンプーの泡がダイレクトに土に染み込んでいくのを見て、ものすごい衝撃を受けたんです。普段私たちが何気なく流しているものは、すべてこうして地球に還っていくんだな、と。この泡が流れた場所にいる虫や土はどうなるんだろう、この土で育った野菜はどうなるんだろう。その体験から、肌に塗り、そして洗い流すコスメを選ぶ基準が、「自分に良いもの」だけでなく「地球環境にも優しいもの」へと変わりました。

⎯⎯ オーガニックコスメを使い始めて、肌や気持ちの変化はありましたか?
良いものを肌に取り入れようとしながら、その一方で身体に負担になるものを入れてしまうことに、どこか矛盾や違和感を覚えるようになりました。いくら良い効果が期待できても、同時に余計なものが体内に入ってしまっては意味がないなと。それまで「いい香り」と感じていた強い香りも、急に不自然に感じられるようになりました。
ハワイで植物に囲まれて暮らすようになってから、植物が持つ効果や効能を知るようになりました。化学的な力に頼るのではなく、地球に元からある自然なものからダイレクトにエネルギーをもらう。そのほうが、一人の「生き物」としてすごく気持ちがいいし、心地よいなと感じるようになりました。
ブランドディレクターとして直面した、“オーガニック”の難しさ
⎯⎯ スキンケアブランドのブランドディレクターもされています。そもそもスキンケアブランドを始めた経緯は?
2021年にローンチした「ヒナレア(hinalea)」は、子育てや生活環境の変化などを経て、自分を大切にする時間の重要性に気がつき、女性と地球に寄り添う商品を作りたいと思って立ち上げました。妊娠中のストレッチマーク(妊娠線)を予防するクリームを色々と試す中で、「もっとこういう使い心地だったらいいのに」というアイデアがあふれてきて、自分で作り始めました。
今年、ヒナレアを「リトア(REAtoA)」としてリニューアルしたのですが、地球にも、人にも、動植物にも優しい「ワイルドクラフト&プラントベース」を軸に展開しています。

リトアの「オイルインクリーム」と吉川さん
⎯⎯ ブランドディレクターとしてものづくりに向き合う中で、「オーガニック」に対する考え方の変化はありましたか?
かなり変わりました。例えば、今年発売したヘアケアアイテム。開発に6年近くかかったんです。「防腐剤やパーム由来の原料を使いたくない」というこだわりがあって、何度も試作を重ねて…。その中で、それまで私が「悪」だと思い込んでいた防腐剤などの成分が、実は菌の繁殖から私たちを守るために必要な一面もあるのだと気づかされました。
⎯⎯ 100%自然由来にこだわることの難しさがあったのですね。
そうなんです。海外では、防腐剤を全く使わずに作られたシャンプーが原因で、失明など深刻な健康被害が起きてしまった事例もあります。だからこそ、どこまでを自然由来にして、どこから現代の技術に頼るべきなのか、すごく考えさせられました。ヘアケアの開発は、ものづくりの姿勢において本当に多くの学びを与えてくれました。
自然由来にこだわったヘアケアは「泡立ちが悪い」「髪がきしむ」といったイメージを持つ人も多いと思いますが、心地よい使用感を実現できたことは、とても誇りに思っています。

左から:「クリアリングシャンプー」(380mL 3630円)、「カーミングトリートメント」(370g 3630円)
⎯⎯ オーガニックコスメにはさまざまな認証制度もありますが、製品を作る上で、認証は意識していますか?
ブランドのリニューアル前は、全ての製品で「コスモス認証」を取得していました。 やはり認証マークがついていると、お客さまにとっても基準がわかりやすく、安心して手に取りやすいというメリットがあるからです。
今でも認証制度へのリスペクトは強く持っています。ただその一方で、「認証を取っていなければ、素晴らしいこだわりがあってもオーガニックと謳いにくい」という、生産者側にとってのハードルの高さも感じていました。特に日本のコスメ分野においては、食品のような公的な統一基準がないため、表現が自由である反面、消費者が選択しづらいという現状もあります。
農業の世界でも、自然農法で素晴らしい作物を育てているのに、認証を取得するための費用や手続きがネックとなり、「オーガニック」と名乗れずに困っている農家さんがたくさんいます。そうしたジレンマに直面してきました。
⎯⎯ 熱意ある生産者さんが置いていかれてしまうのは悲しい現実です。
そこで、「EARTH COMPASSION INITIATIVE」という独自の基準を設けました。これは、リトアの製品を作るプロセスにおいて、地球環境の回復・再生、持続可能性、倫理や道徳性を担保したものづくりを行うことを約束するための指標です。

EARTH COMPASSION INITIATIVE
Image by: REAtoA
【EARTH COMPASSION INITIATIVE】
01. 「自然由来の成分でプラントベース」を基本とし、生物多様性を尊重する。
02. 天然資源の使用に責任を持ち、地球環境を尊重する。
03. 人間のウェルネス、ウェルビーイングに寄与するものづくりを行う。
04. 未利用資源やワイルドクラフトの活用に貢献する。
05. アニマルウェルフェアを意識し、動物実験は行わない。
06. フリー処方にこだわった素材を選定する。
07. 製品の製造過程におけるトレーサビリティ、フェアトレードを心がける。
08. 製品以外の管理、販促、マーケティングなど、すべての過程においてサステナビリティを心がける。
09. チャリティやドネーションに取り組み、社会的責任を果たす。
10. 地球をぬくもりの環で満たすために、コンパッションあふれる行動をする。
今はまだ自分たちのプロダクトだけに適用していますが、ゆくゆくはブランドの枠を超えて、既存の厳しい認証制度のハードルをクリアするのが難しい生産者さんたちが、もっと身近に、信頼の証として使えるようなオープンな仕組みにしていけたらいいなと考えています。そのためには、まずは私たちがこの基準に対する信頼をしっかりと築いていかなければなりません。この新しい試みが、世の中で羽ばたいていけるよう、一歩ずつ頑張っていきたいです。
「自分たちだけの幸せはあり得ない」 未来のための選択肢
⎯⎯ リトアを通じて、目指す未来を教えてください。
「オーガニック」と聞くと、少し身構えてしまったり、「こだわりが強くて大変そう」と捉えられたりすることもあります。でも実は、すごくシンプルで、誰もが心地よく幸せに生きるためのひとつの選択肢なんです。「パッケージが可愛いから」「使い心地が好きだから」という入り口から、気づけばオーガニックに触れていた、という形でも素晴らしいと思います。
ただ、私の本心としては、一刻も早く世界中のすべての農場がオーガニックにシフトしてほしいと願っています。例えばインドの綿花栽培などでは、過度な農薬の使用によって健康や経済面で追い詰められ、多くの農家さんが自ら命を絶つという、胸が痛む現実があります。
「自分たちさえ良ければいい」という考えではなく、未来の子どもたちが暮らす地球のこと、そして地球の裏側にいる生産者の方々のことに想いを馳せながら、日々の選択をしていきたい。この地球上で、自分たちだけが幸せになるということはあり得なくて、みんなが健やかでいて、初めて、本当の幸せが成り立つ。私はそう信じていますし、そういう温かい世界になっていってほしいです。

⎯⎯ 吉川さんの夢はありますか?
私個人の夢は、広大なファームのあるお家で、たくさんの動物たちと暮らすことです。以前ハワイの家では、鶏や保護うさぎたちと一緒に暮らしていました。彼らのフンが肥やしとなって土を豊かにし、その豊かな土から植物が育つ。そんな美しい循環を肌で感じながら暮らす日々が、本当に愛おしかったんです。またいつか、もっと多くの動物たちを家族に迎えて、そんな自然の循環の一部になれるような暮らしを再現できたらいいなと思っています。
吉川ひなのが愛用するオーガニック・ナチュラルコスメ
全身に効率良くミネラルを補給するスプレー

「エンシェント ミネラルズ(Ancient Minerals)」の「マグネシウム オイル ウルトラ + MSM」(237mL 2200円 ※編集部調べ)
Hinano's comment: オーストラリアに住んでいるナチュロパス(自然療法士)の友人に教えてもらってから、何年も愛用しています。ピュアな塩化マグネシウムが入っていて、ミネラルを気軽に補給できるんです。お風呂上がりに体に吹きかけますが、体内のミネラルが足りていないときに使うと、ピリピリと肌にしみて痛いんです。今の自分の体の状態がすごくわかりやすい。ミネラルが不足すると、思考がネガティブになったり、疲れやすくなったり、肌の調子も落ちてしまいます。現代人にとって、こまめなミネラル補給は本当に大切だなと感じています。
ホルモンバランスの乱れに働きかけるフラワーエッセンス

「オーストラリアンブッシュフラワーエッセンス(AUSTRALIAN BUSH FLOWER ESSENCES)」の「ウーマンスプレー」(50mL 2700円 ※編集部調べ)
Hinano's comment: 「ウーマン」という商品名の通り、女性性を高めたいなと感じるときに使っています。生理前や、お出かけの前に体にサッと吹きかけると、気持ちのバランスを整えるサポートをしてくれます。ローズやラベンダー、ゼラニウムなどがブレンドされていて、香りを吸い込むと「ふぅ」と一息つけるような、すごく癒やされるんです。自分にしかわからないような心身のゆらぎや不調のときに、フラワーエッセンスはすごく優しく働きかけてくれるなと感じています。
「これさえあれば安心」のオイルとクリーム

左から:リトアの「ブレッシング 月桃タマヌオイル クリスタル」(30mL 7150円)と「オイルインクリーム」(200g 7260円)
Hinano's comment: タマヌオイルは、スキンケアとしてはもちろん、虫刺されや切り傷などあらゆる肌トラブルにアプローチして、ハワイでは古くから「天然の万能薬」として親しまれています。リトアのオイルは、沖縄の池間島で採れたタマヌの実を使っています。島のおばあたちが一粒ひとつぶ実を集めて加工してくれていて、彼女たちの雇用や地域の活性化にもつながっている、ストーリーが詰まったオイルです。
洗顔後、最初にオイルを塗って、その後にクリームを重ねます。クリームは保湿力が高くて、肌を優しく守る膜を作ってくれるような感覚。夜寝る前に顔や首にたっぷり塗っておくと、翌朝には肌がもっちもちになっています。旅行のときは極力荷物を減らしたいので、この2つだけを持って行きます。これさえあれば、乾燥しても、虫に刺されても、何が起きても対応できるという安心感がありますね。
吉川ひなの
13歳でデビューしトップモデルとして活躍。映画やドラマにも出演し、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。ハワイでの暮らしを経て、現在は3人の子どもと沖縄を拠点に活動。コスメブランド「REAtoA」、ジュエリーブランド「ELENA&C」を手掛け、サステナブルな価値観を発信している。2024年、フェアトレード・ジャパン団体アンバサダー就任。
Instagram
◾️リトア:公式サイト
photography: Katsutoshi Morimoto, casting: Takashi Sasai (FASHIONSNAP)
最終更新日:
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