インサイド

カルティエのパンテールと、生みの親ジャンヌ・トゥーサン　王室御用達ジュエラー「カルティエ（Cartier）」のエンブレム、「パンテール」。美しくしなやかで、ミステリアスな豹（ひょう）の姿を生き生きと映し出した、唯一無二のコレクションだ。 　メゾンの象徴である「パンテール」はどのようにして生まれたのか？ 愛され続けるシグネチャーとしての礎を築いた立役者で、メゾン初の女性クリエイティブディレクターとなったジャンヌ・トゥーサンの躍動とともに、名品が生まれたヒストリーを振り返る。 力強さと優雅さを内包するパンテール　「パンテール」は、フランス語で「豹」を意味する。カルティエが手掛ける「パンテール」は、サヴォアフェールと豊かな感性によって、彫刻作品のごとく精巧に具現化。ハイジュエリーの世界に爪痕を残してきた。　リングやネックレス、ブレスレットといった数多くのジュエリーを彩る気高いこのネコ科の動物は、野生味がありながら官能的。今にも飛び出してきそうな立体的なシルエットに目を奪われる。まさに「カルティエ」のエンブレムと言える存在だ。　「パンテール」の誕生は1914年。パヴェ ダイヤモンドにオニキスの斑点を散りばめた、アールデコ調のブレスレット ウォッチのパターンとして登場し、歴史の幕を開けた。　ちょうどその頃、カルティエ創業者の孫にあたる3代目ルイ・カルティエは、一人の女性と運命的な出会いを果たす。"豹の毛皮のコートをパリで初めて優雅にまとった女性"を自認し、豹の飾りのシガーケースを愛用する社交界のミューズ。ルイが「ラ パンテール（パンテールのような女性）」という愛称を付けた、ジャンヌ・トゥーサンだ。 時代の先駆者、ジャンヌ・トゥーサン　ジャンヌは圧倒的な個性と、クリエイティブなセンスを持ち合わせていた。そして彼女の常識にとらわれない自由なマインドは、ファッションにも現れている。シルクのゆったりとしたチャイニーズパンツ、タタール民族のブーツなど、オリエンタルな要素を取り入れた上質で独創的なスタイルに身を包んでいたという。熱気に満ちた1920年代のパリで、ジャンヌの存在は一目置かれていた。　ルイは、先見の明を持った彼女の能力を見抜き、メゾンに招いた。女性が働くことすら珍しかった当時では、異例の大抜擢といえる。　ジャンヌは、ハンドバッグのデザインに始まり、数々のアクセサリーを手掛けた後、ハイジュエリーのデザインを専任。1933年からは、カルティエの中核を担うスタジオのクリエイティブディレクターとして情熱を注いだ。 歴史に残る名品　未来を切り拓く女性のシンボルに　「パンテール」初期のブレスレット ウォッチに見られたような平面的でジオメトリックなデザインから、ジャンヌが「パンテール」を生命力あふれる立体的なハイジュエリーへと昇華させたのは1948年のこと。ウィンザー公爵夫人のために製作したブローチだった。　116カラットを超える鮮烈なエメラルド・カボション（表面がドーム状で底面が平らなカット）の上に優雅に君臨する「パンテール」の姿が、圧倒的な迫力を放つ。このセンセーショナルなジュエリーは、その後もウィンザー公爵夫人はもちろんのこと、メキシコの女優マリア・フェリックスや、社交家のデイジー・フェローズなど、など数多くのセレブリティを魅了していく。　「パンテール」のブローチを大成功させたジャンヌは、以来、動物や異国の文化、自然界のストーンなどからインスピレーションを得て、数々の作品を発表。ボリューム感あふれるイエローゴールドのクリエイションも、彼女が好んだテイストのひとつだった。豊かな発想力と才覚を発揮して一歩一歩「パンテール」に近づいていった彼女は、圧倒的なオーラをまとい、「トゥーサン テイスト」と呼ばれたスタイルを惜しみなく披露。当時の上位顧客たちの注目を集めることとなった。　大胆な発想と確かな意志を持つジャンヌのエスプリを宿した「パンテール」は、移り変わりの激しい時代の空気をまといながら、自分らしさを求める女性たちのシンボルとして支持を得ていった。そして現代を生きる女性たちのライフスタイルにもしなやかに寄り添いながら、今なお進化を続けている。■カルティエ 銀座4丁目ブティック所在地：東京都中央区銀座4丁目2-11営業時間：11:00〜19:002025年9月19日（金）オープンカルティエ公式サイト 公式LINEアカウントお問い合わせ先カルティエ カスタマー サービスセンター 0120-1847-00

Fashion

パンテールとジャンヌ・トゥーサンの関係

カルティエが「パンテール」をテーマに初のアニメ公開　メゾンの象徴を紐解く

フード付きなのに上品な佇まい、オーバーコートのウールシャツ　今シーズンも物欲の矛先が向いてしまっているのは「オーバーコート（OVERCOAT）」。これまでコート、ジャケット、シャツ、パンツと一通り買ってきたので、いつも「今年はもう良いかなと…」と思うものの、つい買ってしまうのはもはや中毒になっているのではないかと思うほど。ということで、今年はずっと気になっていたフードシャツに食指が動いているのですが、もともとブランドの定番アイテムとして展開されていたウールシャツに、パーカーのようなフードを付けた斬新なアイテム。ドレッシーなアイテムにカジュアルなパーツをくっつけちゃえ！的なニューヨークブランドらしい自由な発想と、一見ブラックに見える深みのあるブラウンが、コットンには出せないウール地ならではの光沢感と相まってなんとも上品な面構えに見事に心掴まれています。（EC事業部 ディレクターYA）OVERCOATの人気アイテム

OVERCOAT

お買いモノ

【今週のウィッシュリスト】フード付きなのに上品な佇まい、オーバーコートのウールシャツ

Editor's comment✍️　アイ カラー クォードは重厚感のあるたたずまいとトム・フォード氏の美学が反映されたカラーが光る逸品。正直、気軽に買える値段ではありませんが、一度使ってみればその上質さに魅了されること間違いなし！つい熱くなってしまいましたが、私的な一番のおすすめポイントは“配色”。ちょっとカラフルすぎる？と感じても、実際に使ってみるとエレガントなルックに早変わり。新色「ピーチ ドーン」はすべてラメカラーですが、いわゆる濡れたようなツヤと軽やかな輝き（太陽の光に反射する砂漠のようなイメージ）の両方が楽しめるちょっと不思議な発色。ブロンズトーンが程よい奥行きを演出してくれて、絶妙なブリック感を秘めたピーチカラーがじんわりと血色感を叶えてくれる。エレガントでありながら大人が欲しい適度な甘さは、なんというか“賢い色気”とでもいいましょうか...。何の気なしに使ったとしても、どこまでもリュクスに仕上げてくれる、この夏の相棒に決めました！（ビューティエディター M.H）

特集一覧タグ「名品」の記事一覧

特集一覧タグ「名品」の
記事一覧