Fashion インタビュー・対談

【対談】イッセイ ミヤケ×ユナイテッド ヌード「時代を超える靴」ができるまで

UNITED NUDE レム・D・コールハースとISSEY MIYAKE 宮前義之
UNITED NUDE レム・D・コールハースとISSEY MIYAKE 宮前義之

 「一枚の布」がコンセプトのイッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)と、靴を「最小の建築物」と表現するユナイテッドヌード(UNITED NUDE)の共同開発によるシューズ・プロジェクト「ISSEY MIYAKE × UN」が本格的に発表された1月中旬、それぞれのチームを率いる2人が東京で顔をそろえた。宮前義之とレム・D・コールハースの対談のためにイッセイ ミヤケ本社に用意された部屋には、プロジェクトによって作られた独創的なデザインのシューズが並ぶ。専門分野は異なるが互いに突き詰める性格同士、「時代を超える靴」を目指したという協業の裏側からデザイン界の未来まで、話題は多岐にわたった。

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【ISSEY MIYAKE × UN】イッセイ ミヤケとユナイテッドヌードが、未来へ続くものづくりの可能性を探りながら「点・線・面」をコンセプトにオリジナリティに満ちたプロダクトを創出するプロジェクト。共同開発によって制作されたシューズはパリのコレクションでも披露され、1月から販売を開始した。>>ISSEY MIYAKE 2017年春夏パリコレクション

■服屋と靴屋、意外な共通点

―服と靴、専門的なジャンルが異なるお二人ですが、互いのブランドや仕事についてどういった印象を持っていますか?

UNITED NUDE レム・D・コールハース(以下、レム):イッセイ ミヤケは、長い歴史を持ちながら固定概念に捉われない企業でありトップブランドですよね。ジャンルは違えどユナイテッドヌードもまた、固定概念を打ち破るようなもの作り続けてきました。そういった意味では共通点があると感じています。

ISSEY MIYAKE 宮前義之(以下、宮前):志していること、向き合っていることがとても近いですね。レムさんは建築についても見識があるので、「デザインとは何か」を深く理解している。その点でも大きな信頼がありました。そして非常に判断が早い。何が必要で何が美しいか、YESかNOが即座に決まります。僕もあまり悩まずに物事を決めていくタイプで。

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レム:ほら、これはパリで買った服なんですが(両者共に同型のオムプリッセ イッセイ ミヤケを着用)、もう双子みたいなものでしょう(笑)。

宮前:偶然ですね(笑)。実際、スタッフやお客さんがイッセイ ミヤケの服にユナイテッド ヌードの靴を合わせることが多いんですよ。

―意外と共通点がありますね。ユナイテッドヌードでは、過去にも様々なブランドやクリエーターとコラボレーションを行なっています。

レム:はい。中でも今回は非常にチャレンジングで、同時に大きな賭けになるとも感じました。つまり、決して容易いものではなかったということです。

―それはどういった部分ですか?

レム:特にコレクションブランドの場合は、年2回の発表スケジュールが決まっています。パリで3月にショー、次は9月と、サイクルがとても早い。ですから、一度決めたらすぐに開発を始めること。つまり会った初日から婚約して、すぐに子供を産む準備をするようなものです。いわゆる普通の結婚とは違うんですよ。

宮前:結婚にしてはスピーディーでエキサイティング過ぎますね(笑)。良いパートナーを探していたのは事実です。靴はある意味で究極のプロダクトで、衣服とは全く違う専門的なプロセスなので。

■靴作りのリスクと色のチャレンジ

―今回はユナイテッド ヌード側からオファーしたそうですね。

レム:きっかけとなったのは表参道店の出店でした。我々は日本市場を重視していて、現地法人を作ったのも初めて。日本のブランドと取り組む話が進んだ時、イッセイ ミヤケしかないと感じたんです。

宮前:「自分たちでできないことに挑戦できたら」とすぐに想像が膨らみました。ジャパン社ができる時で、タイミングも良かった。単発ではなく継続させることが我々の最初の条件でしたから、日本法人があることで円滑に進み易いですからね。

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―靴はイッセイ ミヤケの中でもオリジナルで制作してきましたよね。

宮前:毎シーズン展開していますが、チャレンジングなデザインはリスクが高いと感じていました。その点ユナイテッド ヌードの靴作りは、考え方から素材、構造まで、とても自由で革新的です。協業する必然性があると感じました。

―今回はイッセイ ミヤケがデザインディレクション、ユナイテッド ヌードが デザイン・技術・素材の提案という役割でしたが、完成までのプロセスは?

宮前:まず、「普遍的でどの時代でもフィットする靴を作りたい」と考えました。朝から一日中履いて、夜になっても足が痛くならない。そして10年後も古く感じない「飽きない靴」です。そして、パリで発表するコレクションの枠で、何か自由なことを形にしたいと考えました。

レム:コンセプトをデザインする上で、宮前さん側からAという提案を頂いたら、それに対してB・C・Dといったいくつかのオプションを出します。今回は、何よりも「履きたいもの」を作ろうという明確な軸がありました。ショーだけに向けて作る靴だけではなく、ランウェイで出した靴は店舗で売ることが前提ですから。クレイジーな高さのヒールは作りませんし、様々な足の形に合わせられるよう調整を可能に。イメージの表現だけではなく、心地よく履くことができるか。楽しむことができるか。そういった課題を互いにクリアしていくことによって、一歩先に進むことができるのが、共同開発の醍醐味ですね。

パリのコレクションでも使われたモデル「ROCK」を試着しましたが、思った以上に快適でした。

レム:私が一番気に入ってるのもこの「ROCK」ですね。岩の塊から削り出されたような、ビジュアルに訴えかけるユニークなシルエットは他にないでしょう。日本の伝統的な下駄からも着想を得ているんです。

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宮前:今回は「点・線・面」というキーワードがありました。その世界観をより拡張できたと思います。

レム:ヒールの高さや色は宮前さん側で選んでもらいました。色に関しては、ショーでウエアと組み合わされた時に感激しましたね。お互いの得意な部分を合わせたわけですが、エモーショナルなプロセスでした。

宮前:色展開は多くしたいと考えていたのです。通常、ビジネスを重視すると効率性から多くの色展開はできません。イッセイ ミヤケの服はワンサイズでも様々な体型の方が着られるものが多いのですが、靴はそうはいきませんから、生産ロットや環境、サイズごとに在庫を抱えるというリスクもある。これまで様々な課題があった分、この靴が完成したことで、一つの答えが出たと確信しました。

レム:私が考える「良いデザイン」の定義の一つに、遠くから見てもわかるということがあります。モノが語るデザインの強さ。この靴は、遠くの道を歩いていても、他とは違うことが明らかでしょう。私の目が良すぎるのかもしれませんが(笑)。

ISSEY MIYAKE × UN:"構造"をコンセプトに岩の塊から削り出されたようなフォルムの「ROCK」

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