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【トップに聞く 2026】ジンズHD田中亮社長 「グローバル定番商品」がヒット、国内で“圧倒的”な存在へ

Video by: FASHIONSNAP

 2025年8月期の連結業績で売上高、利益ともに過去最高を更新した、「ジンズ(JINS)」を運営するジンズホールディングス(以下、ジンズHD)。この成長をけん引するのは、グローバルで統一された商品戦略と顧客体験の深化だ。国内での積極的な出店に加え、アジアを中心としたグローバル展開も加速。25周年を迎える2026年には、銀座と新宿にブランドの総力を結集した旗艦店をオープンするなど、次なる成長フェーズを突き進む。そのHDを2025年11月から社長として率いるのは、創業者の田中仁 会長CEOの長男、田中亮氏だ。「ジンズ」をグローバルNo.1のアイウェアブランドにする ⎯⎯ 今年1年の位置付けと展望を聞いた。

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田中亮/ジンズホールディングス社長COO

水野明人社長ポートレート

(たなか りょう)1985年、前橋市生まれ。父はジンズ創業者の田中仁。慶應義塾大学経済学部卒。新卒で入社したみずほ銀行を経て、ファッション専門学校で服飾デザインを学んだ後、2011年にジンズHD100%子会社のフィールグッドに入社する。ジンズHDで経営ブランド戦略本部長、取締役、副社長を歴任。2023年12月、ジンズの社長に就任し、2025年11月からはジンズホールディングスの社長COOを兼任している。

◾️ジンズホールディングスとは
1988年に、群馬県前橋市に服飾雑貨製造卸の有限会社ジェイアイエヌ(現 株式会社ジンズホールディングス)として設立。2001年に福岡県福岡市に1号店「JINS天神店」をオープンし、アイウェア事業に進出した。2011年、ブルーライトカット®メガネ「JINS PC®(現 JINS SCREEN)」と乾燥対策メガネ「JINS Moisture®(現 JINS PROTECT MOIST)」を発売。機能性アイウェアという新カテゴリーを創出した。2018年に世界合計500店舗を達成。2025年12月末時点で国内558店舗、海外277店舗を運営する。2025年8月期連結業績は売上高が前期比17.1%増の972億円、営業利益が同54.3%増の120億円。


グローバルで商品を「共通化」 モンゴルでも手応え

⎯⎯ 2025年8月期の連結業績は売上高、利益の各段階で過去最高を記録しました。直近の2025年9〜11月期も売上高が前年同期比13.9%増での着地です。

 2025年8月期は、特に営業利益は2024年8月期に達成した過去最高額の1.5倍ほどになり、非常に良い結果だったと思います。これは、本部のメンバーも店舗のスタッフも、全社が連動してお客様一人ひとりと向き合えた結果だと考えています。

⎯⎯ 好調を支えた具体的な商品戦略や施策があれば教えてください。

 私がジンズの社長に就任してから、「ジンズをグローバルでNo. 1のアイウェアブランドにする」という目標を立てており、グローバルブランドとしての強みを強化する施策に注力しています。

 前期で特に効果があったのは、海外での成功・失敗事例を本社で集約し、全ての国に展開できる商品を開発するという「商品のグローバル共通化」です。これまでは国や地域によって好みが異なるという考え方が主流で、商品構成は各国に委ねていたので、店舗ごとの商品構成は国によってかなりの違いがありました。ですが、私には「世界で最もお客様の目が厳しい日本の市場で支持されているジンズの製品は、絶対に世界でも受け入れられる」という確信がありました。例えば、ロングセラー商品の「エア・フレーム(Air frame®)」であれば、「軽くてかけ心地が良い」という価値そのものは、国境を越えて理解されるはずです。そこで、日本の商品を基準に、日本では気が付かない各国のアイデアも取り入れたグローバル基準での「ジンズの定番商品」を開発しました。それを全ての国で共通して展開したところ、非常に売れたんです。結果として、発注数量がまとまることで品質がさらに向上し、価格を抑えることもできました。機能面のニーズは共通しているものの、玉型(レンズの形)の好みは多少地域差があるので国によって細かな売れ筋が少しずつ異なりますが、在庫を相互に融通し合うことで欠品を防ぎ、効率的に商売を回せるようになったことも大きな成果です。

特に人気だったグローバル定番商品 JINS Combination Titanium(1万4900円)

Image by: ジンズホールディングス

⎯⎯ 2025年8月期の海外事業の売上高は、前期比17.9%増の205億円。グローバルでは台湾、中国本土、香港などで主に販売していますね。

 まず中国は、これまで全土に広く出店してきましたが、一部で苦戦していました。そこで思い切って地域を絞り、赤字店舗は閉めるという判断をしました。リソースを注力地域に集中させることで、マーケティング投資や在庫管理の効率が格段に上がり、ブランドの存在感も増してお客様にも価値が伝わりやすくなった結果、赤字だった中国事業は黒字化できるまでになってきています。

 香港はなかなか勝ち筋が見えませんでしたが、日本から営業の責任者を送り込み、週次で数字を管理しながら商売を回すという基本を徹底的にやり直したところ、改善が見られるようになりました。

 台湾は絶好調です。現地の責任者がブランディングに長けていて、台湾におけるジンズの立ち位置を明確にお客様に伝えられています。ただ、今後は地方都市の開拓や、年齢層が高めの方をどう取り込んでいくかという、少し前の日本が経験したような新たな段階の挑戦が待っていると考えています。

⎯⎯ 中国市場に関しては日中関係をめぐる事業リスクが懸念されています。

 何が起こるかは確かにわかりません。ですが、基本的に今後もやることは変わらず、ジンズというブランドをきちんと正しく中国でも伝えていくことができれば、中長期的には問題はないと考えています。

⎯⎯ 2023年に事業会社ジンズの社長に就任して以降、成長著しいベトナムへの出店や、モンゴルでのフランチャイズ展開にも着手しています。特にモンゴルは、アイウェアブランドの進出先としてはあまり聞き慣れない地域です。

 ベトナムもモンゴルも、出店してみると想定をはるかに上回る売上を記録しており、ジンズが持つ価値をきちんと伝えさえすれば、無理にローカライズせずともグローバルにチャンスがあるのだと改めて実感しました。

 モンゴルは、まだ市場規模は小さいですが、非常に成長している地域です。アパレルブランドは「ユニクロ(UNIQLO)」でさえ進出していない地域なので、我々が単独で出ていく判断はなかなかできませんでしたが、現地の銀行やトヨタの販売などを手掛ける、日本とも繋がりの深い有力企業のタバン・ボグド・グループ(Tavan Bogd Group)のトップから「ぜひジンズをモンゴルで展開したい」と熱烈なオファーをいただきました。彼らの理念は我々と非常に近く、このパートナーとならジンズのブランドを正しく広めてくれると確信し、フランチャイズでの展開を決めました。

 過去に東南アジアでは競合他社に出遅れ、良い立地を先に押さえられて苦戦した経験があります。その反省から、今はまだ小さくても将来成長が見込める地域には、いち早く何らかの形で足がかりを作っておくことが重要だと考えています。彼らはモンゴルの周辺国にも影響力を持っているので、中央アジアに関しては彼らと一緒に広げていくのが一番良いのではないかと考えています。

タバン・ボグド・グループ(Tavan Bogd Group)傘下のUBP LLCとのフランチャイズ契約により、2025年8月18日(現地時間)にウランバートルにオープンしたモンゴル1号店「JINS Galleria Ulaanbaatar店」

Image by: ジンズホールディングス

新宿と銀座に大型旗艦店 「他ブランドとはレベルが違う」

⎯⎯ 国内に目を向けると、2025年8月期は当初36店舗としていた出店数に対し、49店舗と大幅に上回るペースで新規出店が進みました。

 お客様がストレスなく買い物ができる状況を日本中で作りたいと思うと、リアル店舗はまだまだ出す余地があると考えています。計画よりも多く出店できているのは、デベロッパーの方々に、他のアイウェアブランドとは違うジンズの価値を感じていただけているからではないでしょうか。会長(田中仁会長CEO)が店舗デザインに非常にこだわっており、有名な建築家の方とお店を作ることもあります。そうしたブランドのヴィジョンやデザインに対する姿勢を評価していただいていることも大きいと思います。

⎯⎯ ジンズブランド誕生から25周年を迎える2026年、銀座にグローバル旗艦店新宿には世界最大の旗艦店をオープンします。とくに新宿店は、アイウェアという小さな商品でありながら、3フロア約945平方メートルととても大規模です。

 最大の狙いは、グローバル化のさらなる加速です。特に東南アジアでは、良い商業施設の、良い場所に出店できるかどうかが勝負の分かれ目になります。東南アジアのデベロッパーの方々は頻繁に日本を訪れていて、特に銀座は彼らが最も注目する場所です。その銀座に、ジンズのブランドを100%体現したお店を作ることで、彼らからの評価は変わるでしょう。ジンズがいかに良いブランドかを理解してもらえれば、海外での出店交渉も有利に進められるはずです。新宿も世界中から人々が訪れる国際的なショッピングエリアとして知られています。国内においても、銀座と新宿の一等地に、これほど大規模な店舗を出せるアイウェアブランドはジンズだけです。他のブランドとはレベルが違うんだということを、お客様にも業界にも示していきたい。ブランドとして一つ上のステージに上がるための、非常に重要なステップだと位置づけています。

2026年春にオープン予定のジンズ初のグローバル旗艦店「JINS銀座店」のイメージ

2026年春にオープン予定のジンズ初のグローバル旗艦店「JINS銀座店」のイメージ

Image by: ジンズホールディングス

2026年初夏オープン予定の世界最大の旗艦店「JINS新宿店」のイメージ

2026年初夏オープン予定の世界最大の旗艦店「JINS新宿店」のイメージ

Image by: ジンズホールディングス

⎯⎯ 沖縄ファミリーマートとのコラボレーションサングラスも話題になりました。コンビニという新たな販路に可能性を感じましたか?

沖縄ファミリーマートとのコラボレーションサングラス(1型5種 各3500円)

Image by: ジンズホールディングス

 コンビニという販路に関しては、非視力矯正者へアプローチする販路としてのポテンシャルや、商業施設が少なく当社が店舗を持たないエリアでのお客様へのリーチとしてのポテンシャルを感じました。

⎯⎯ 顧客との接点づくりについて、考え方を聞かせてください。

 お客様がどこで商品を欲しくなるか、試したいかは人それぞれ違います。特に眼鏡は、お店で試着をして、視力測定をして、支払いをして、フィッティング(購入後にかけ心地や見え方を調整する作業)をして受け取る、というように体験のジャーニーが細かい。そのジャーニーごとに、リアルとデジタルをシームレスに行き来できるのが、お客様にとって一番いいのではないかと考えています。例えば私は試着は絶対にリアルでしたいですが、その後の手続きはデジタルで済ませて商品は家に届けばいい。でも逆の人もいます。いつも同じメガネを買うから試着は不要でも、フィッティングだけはリアルでしたい、など。これといった正解はなく、お客様の好みに合った購入体験ができる状態をきちんと作っておくことがすごく重要だと考えています。なので、「EC化率」を追求することも正直そこまで重要だとは思っていません。好みの購入体験を選べる環境を整えた結果、自然とEC化率が上がるんじゃないでしょうか。

⎯⎯ EC売上高については今期(2026年8月期)、前期比30%増という高い目標を掲げています。前期は4%増にとどまった中で、どのように環境を整え、この成長を実現していく考えでしょうか。

 すでに始めているところでいうと受付の自動化や、ヒアリングと商品の提案を行える接客AIの導入。お客様が欲しい時に欲しい情報をお渡しするという今までできていない部分も本気で直していきます。

2025年には生成AIを活用した多言語対応の対話型接客サービス「ジンズ エーアイ(JINS AI)」の実証実験の一部対象店舗で実施。オンライン上で入力された眼鏡購入に関する疑問や悩みに対して店舗スタッフの接客のように、瞬時に回答や提案をする自社開発のサービスで、メガネや着用者の顔写真(メガネ着用も可)から、類似のフレーム検索や顔型に合った最適なメガネの提案が可能。画像入力にも対応した自社開発の生成AIを活用した対話型接客サービスは、アイウエア業界初の試みとなる(同社調べ、2025年6月時点)。

⎯⎯ ジンズにとって、今ライバルだと考えているブランドはどこですか?

 ジンズのようなブランドは他にないと考えていますが、あえてあげるとすると、グローバルという視点では「エシロール ルックスオティカ(EssilorLuxottica)」でしょうか。彼らはブランドビジネスなので正確にはジンズのビジネスとは異なりますが、人が欲しがるブランドを多く持っていて、レンズ会社も傘下に入れているのは脅威だと思っています。ただ彼らにないジンズの強みと言えばSPAであること。価格と品質のバランスや売り方も自社でコントロールできます。そして、特にアジア人の骨格に合わせたメガネに対する知見では負けませんので、早くアジアで盤石な体制を整えることが大事だと考えます。彼らは今日本でジンズと同じ領域に参入しようとしてもかなり難しいと思います。それと同じ状況をアジア全体で作っていきたい。同時に欧米は彼らの主戦場でもあるので、我々もどのように進出していくべきか考えていきたいですね。

父とは違う“強み”を活かして目指すグローバル成長

⎯⎯ 昨年9月には正社員を対象としたベースアップを実施。さらに、今年4月入社の新卒初任給を30万円に引き上げる方針を発表しています。人材投資を強化する狙いと、社内外の反応についてお聞かせください。

 グローバルでNo.1のアイウェアブランドになるという目標を本気で達成するためには、会社が生んだ利益を、お客様、会社、そして働く従業員の三方にきちんと還元していくサイクルが不可欠です。特に給与水準は、グローバルで優秀な人材を獲得し、共に戦っていく上で極めて重要な要素となります。発表以降、社内からは、会社が本気でグローバル化を目指しているという意志の表れとして受け止められ、従業員のマインドセットにも変化が見られると感じています。採用面でも、語学力を活かしたいという意欲のある留学経験のある方や外国籍の方からの応募が実際に増加するなど、早速良い影響が出ていますね。

田中亮社長が着用しているのはジンズの12月発売の新作「NEW CLASSIC No.02」。ブラウンデミのフレームに、ライトベージュのカラーレンズをカスタムしている。(フレーム 1万9900円、レンズ3300円)

⎯⎯ 改めて、田中社長が考える「ジンズらしさ」とは何でしょうか。

 ジンズは、「Magnify Life - まだ見ぬ、ひかりを」というブランドヴィジョンを掲げています。「見ることを通じて人々の生き方そのものを豊かに広げ、これまでにない体験へと導きたい」という考え方で、それを商品をはじめサービスやコミュニケーションなど全てにおいて体現できていることがジンズらしさにつながっていると感じます。最近は毎月2回は海外、特に東南アジアに出張をして、現地のメガネ屋を視察していますが、どこも打ち出しているのは「ファッション性」や「スタイル」、「トレンド」です。一方でジンズは「人々の生活をより良くする」という考えを起点に物事を考えているからこそ、他社とは違うものが生まれてくる。ファッションやスタイルに限らず、例えばお家でリラックスするときに一番適した眼鏡であったり、サウナ用の眼鏡であったり、お客様の課題を解決するような機能的な眼鏡をきちんと作っているブランドという意味では世界のどこにもない、稀有なアイウェアブランドだとまず感じています。

⎯⎯ 今後どのように会社を成長させていきますか?

 世界No.1のアイウェアブランドになるためには、先ほど述べた「グローバル化」、そして「眼鏡のスニーカー化」が必要だと考えます。スニーカーのように、アイウェアをファッションやシチュエーション、課題に応じてかけ替えるのが当たり前の世界を作りたい。そうしたさまざまな目的に合った価値をジンズは提供できると考えています。そして、1人が2本のメガネをかけるのが当たり前になるだけで、市場は2倍になる。そうした変化を世界中で起こしていくために、お客様にとって良いことがある機能を持つ「商品」を揃え、お客様がいつでもどこでも好きなものを簡単に買える「体験」を作り、一人ひとりの個性に合った情報を最適なタイミングで届ける「コミュニケーション」を実現する。この体制をグローバル全体で作っていきたいです。

田中亮社長の好きなファッションブランドは「タナカ(TANAKA)」で、ほぼ毎日タナカを着ているという。取材当日着用していたのも全身タナカのアイテム。デザイナーとも親交が深い。

⎯⎯ 創業者であり父でもある仁氏に続く2代目社長としてプレッシャーは感じていますか?

 事業会社のジンズの社長になった時から今まで、自分の役割はあまり変わっていないのでプレッシャーも特に感じていません。何より私がラッキーなのは、周りにすごく心強い仲間がいること。会長は“自分の力”で物事を成し遂げるタイプですが、周りにいる人の力を借りながら一番成果を出すためには自分がどう動けばいいか、どうしたら多くの方の協力が得られるか、を考えることに関しては私の方が得意だと思っています。会社が拡大していく上で、“その人の器以上の会社にはできない”とよく言いますが、チームでならその限界を超えていくことが可能だと信じています。

FASHIONSNAP 編集記者

橋本知佳子

Chikako Hashimoto

東京都出身。映画「下妻物語」、雑誌「装苑」「Zipper」の影響でファッションやものづくりに関心を持ち、美術大学でテキスタイルを専攻。大手印刷会社の企画職を経て、2023年に株式会社レコオーランドに入社。ファッション雑貨、アクセサリー、繊維企業を中心に取材。

最終更新日:

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