Fashion インタビュー・対談

【インタビュー】王室御用達ブランドを若返らせたJ.W.アンダーソンに聞く"ラグジュアリーとSNSの相関性"

ジョナサン・ アンダーソン
ジョナサン・ アンダーソン

 「ロエベ(LOEWE)」のクリエーティブ ディレクター ジョナサン・ アンダーソン(Jonathan Anderson)がその存在感を高めている。ロゴの刷新を行ったのは3年前。上質なレザーのみで作られる"王室御用達ブランド"を一新し、ファッションに敏感な層を一気に振り向かせた。なぜロエベは若返りに成功したのか?ブランドの核として情熱を注ぐ「クラフト」について、そして現在のラグジュアリーブランドとSNSの関わりについて、来日したジョナサン・アンダーソンに聞いた。

 

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-ロエベに就任してから"クラフト"を重視されていますね。なぜでしょうか?

 "クラフト"というキーワードを意識したのは、ロエベのクリエーティブディレクターに就任した時です。就任して彼らの仕事を見た時に、私自身が好きなアートとの親和性を感じました。技術が発達した現代では手仕事は非常に重要なもので、ロエベが誇るべきものだと思ったんです。この部分を伸ばしたことは、クラフトプライズを設けたことも含めて大きな効果があったと思います。

-初回のクラフトプライズで最も記憶に残っていることは?

 発表の瞬間が一番記憶に残っています。 審査に1日を費やすほど素晴らしい作品がたくさんありましたから。それに、審査員の方々とも何がセンスを作るのか、今の時代に合ったものとは何か、そしてどの候補者が新しい方法でスキルを追求できているか、といった様々な議論を交わしました。実際にこうして会場に並んでいる作品を見てみると、改めてこれらの作品の意義を強く感じ、感慨深い思いです。

-日本のクラフトにはどのような特徴がありますか?

 代々受け継がれているという伝統のある作品に興味をそそられます。今日も、ここに来る直前に立ち寄ったギャラリーで茶陶に関する展覧会をやっていて、とても興味深かったので本を購入してきたところです。15世代にも渡って作り続けている一家についての展示でしたが、日本には伝統を守る仕組みが存在していて、それが同時に芸術的感性を進歩させているのかもしれない、と考えさせられました。作品を目にしたとき、いつも何か神秘的なものを感じています。

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-クラフトとファッションはどのように関わっているのでしょうか?

 私たちの頭には「服は機械で作られている」という考えが根付いてしまっていて、人の手が加わるべきだということに気付けていません。今の時代に必要不可欠なのは「スキル(技術)」です。ファッションにおいても、クラフトにおいても、「スキル」が存在し、それが価値を生むのだと考えています。

-ラグジュアリーブランドの価値が変遷しているように思います。SNSの普及が大きく価値を変えたと言われていますが。

 そうですね。今はみな、スマートフォンにとらわれていますよね。電話や写真、動画、デートまで、何もかもがソーシャルのプラットフォームで完結してしまいます。だからこそ、クラフトプライズも含め、今私が取り組んでいる「Re・サブカルチャー」運動はロエベにとって非常に重要なものになっているのだと思います。

-「Re・サブカルチャー」運動とは具体的にはどのようなものですか?

 ソーシャルメディアが素晴らしいものであることは前提ですが、一種の妨害となることも忘れてはいけません。例えば、ソーシャルメディアを通じてある物事に対して自分が実際に体験したように感じてしまい、現実体験から遠ざかってしまったり。私は人間は再び何かと繋がり合いたいと思う時期がくるのではないかと考えていて、クラフトはそれをもたらす媒介の1つだと思っているのです。肉体的、そして精神的に拠り所が必要となった時に、クラフトの存在が有効なものだと再認識できるはずです。

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- ラグジュアリーの定義についてはどのように考えていますか?

 ラグジュアリーの定義は存在しないのではないのでしょうか。高価なもの、教養のあるもの、文化的ランクを形成するもの、様々な捉え方がありますが答えのないものですから。ただ、唯一ラグジュアリーの概念が当てはまるものがあると思っていて、それはブランドではなく「時間」だと思います。

- 今年は最も"時間"のなかったデザイナーの1人だったのではないでしょうか?

 そうですね。ミュージアムでのショー、ユニクロやコンバースとのコラボレーション、そしてクラフトプライズの開催...とても濃い1年でした。忙しかったのですが、そのほうが好きなんです(笑)。私たちは何を考え、何のために行動するのか。自分の思いに率直であるべきだと再確認でき、とても良い1年でしたよ。

loewe-2121-20171116_021.jpg【写真で振り返る】LOEWE「Past, Present and Future」@渋谷TSUTAYAカフェ

(聞き手:高村 美緒)

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