Image by: FASHIONSNAP (Koji Hirano)
パリファッションウィークも中盤に差し掛かった10月2日の朝一のイベントとして、「ジュンヤ ワタナベ(JUNYA WATANABE)」が2023年春夏コレクションのショーを開催した。パリで約2年半ぶりとなるランウェイショーは、80年代のニューロマンティックのムード全開でエネルギッシュな活力に満ちていた。
インパクトのあるショーの幕開け
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ピンク色のライトで染まった会場でデュラン・デュラン(Duran Duran)の「Girls on film」のBGMと曲中の効果音であるシャッター音に合わせ、モデルがカメラ席に勢いよく向かってくる。肩を強調するショルダーパッド入りのケープドレスは、一枚の布を頭から被ったような作りで、ウエストのみ絞られている。そこにスパングルのレギンスを合わせ、足元はパールとチェーンで装飾されたショートブーツ。モデルは肩を前後に揺らしながらパワフルにウォーキングし、たっぷりの布が動きに合わせてなびき躍動感を演出する。
まさしく、デュラン・デュランなどに代表される80年代初頭に人気が火がついたニューウェーブの音楽ジャンル「ニューロマンティック」のムードがベースに流れていた。モデルのヘアメイクは中性的で髪は重力に逆行し、ビビッドなカラーでとにかく派手。インパクト大のショーの幕開けだった。
パンクなアクセント
布を無駄に断ち切らないケープ仕立ての手法は、ミニ丈やプリーツ、ジャケットやシャツドレスとして応用された。フィッシュネットのインナーやレースアップブーツ、レザージャケット、ダメージジーンズ、黒のチュールを組み合わせたスタイリングは「ニューロマンティック」の"前身"でもあるパンクの要素が色濃く反映されている。
多様なパール&チェーン使い
特にパールとチェーンは首回りを装飾する以外にも存在感を放ち、様々なトップスやドレスとドッキング。パールはスモッキングの手法でひだの間に施したり、アーム周りやウエストにベルトのように複雑な構造でデザインされたほか、ランダムに施されたアイレットを貫通してパールとチェーンを垂らしたアイテムも。パールが持つフェミニンなイメージが、ハードコアに偏ったスタイルを中和する役割を果たしているようだ。
バイク用品メーカーとのコラボ
中盤に登場したのは、日本のバイク用品メーカー「コミネ(KOMINE)」のバイカースーツをジュンヤワタナベらしい"解体し再構築する"というアプローチで仕立てたミニドレス。バイカースーツ特有のパネルの切り替えや配色を、異素材の組み合わせによって立体的にデザインし、男性的なユニフォームをドレスに変えて見せた。
ニューロマンティックという80年代のムードを現代にトランスフォームさせ、ここ数年の世界的な閉塞感から抜け出すような疾走感溢れるランウェイとなった。
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