キコ・コスタディノフ
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Fashion インタビュー・対談

老舗企業からのオファー続く、28歳の新鋭デザイナーキコ・コスタディノフが今思うこと

キコ・コスタディノフ
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 マッキントッシュやアシックス...老舗企業が仕事をしたがるブルガリア人デザイナーがいる。28歳のメンズデザイナーキコ・コスタディノフ(Kiko Kostadinov)は、セントラル・セント・マーチンズ芸術大学在籍時にドーバー ストリート マーケットに見出され、2017年春夏シーズンから本格的にブランドを始動させた。過去の来日時には尊敬するデザイナーに「タカヒロミヤシタ ザ ソロイスト.(TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.)」デザイナー宮下貴裕を挙げるなど日本のファッションにも造詣があり、彼もまた堅実なクリエイションに定評がある。デビューわずか2年で評価を得る稀代の新鋭デザイナーは今何を思うのか。

ー 老舗企業との協業が続いています。アシックスとの出会いは?

 2年前、ちょうど卒業したばかりの頃に声を掛けてもらいました。実は私物でアシックスを履いていたので、最初にこの話をもらった時はすごく嬉しかったのを覚えています。それからプロジェクトを継続していて、今回のシューズは2作目です。

ー ドーバー ストリート マーケット銀座でもすぐに完売したようですね。

 より多くの人に履いてもらいたくて、アシックスのチームとベストを尽くして高いクオリティに仕上げたつもりだったので、嬉しいです。

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自身のコレクションが日々のワードローブ。足元はアシックスと協業したスニーカーを着用。


ー 前回の来日はマッキントッシュとのコラボライン国内発表の時でした。それぞれの企業と組むメリットをどう感じていますか?

 マッキントッシュはゴム引き、アシックスは高スペックのスニーカーというように、いずれの企業も歴史とそれを裏付ける高い技術を持っています。それら最高の素材や技術を用いてプロダクトを生み出せるということは、大きなメリットです。

>>MACKINTOSH 0002 2018年春夏コレクション

ー 逆に、協業を通じて何を求められていますか?

 若い層にアプローチするという点でしょうか。いずれも老舗企業ですが、"こうあるべき"という既成概念を押し付けることなく、柔軟な姿勢を持ち合わせています。そのおかげで、まっさらな状態からあらゆる方法を試すことができ、協業をともに楽しんでいます。

ー 卒業してから順風満帆。2016年にはフォーブス誌の「影響力のある30歳以下」にも選ばれました。

 それは、ヨーロッパだけでしたから(笑)。グローバル版はもっと有名な方が並ぶと思いますよ。

ー では、同世代で「影響力がある」と思う人物はいますか?

 僕自身が他の人にあまり興味を持っていないので、今は思いつかないですね。

ー 30歳までにやりたいことは?

 現状を維持することです。学校を卒業して2年が経ちますが、とても早かったですね。早いと感じるのは忙しいということなので、幸せなことだと思います。

ー 2018年春夏からロンドンファッションウィークでの発表はショー形式に。ヘアスタイリストの加茂克也氏との仕事は待望だったとか。

 数年前に加茂さんが手がけたアンダーカバーのショーを見て感動したんです。その頃はまだ学生だったのですが、今彼と仕事をしているとは、当時の自分からすれば驚くべきことですよね。光栄なことで、とても刺激的です。

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ドーバー ストリート マーケット銀座で行われたプレゼンテーションでヘアを手掛けたのも加茂克也氏


ー キコ・コスタディノフのコレクション制作において重視していることは?

 今ブランドとして大事にしているのは、シーズンらしいコレクションを製作することです。それぞれのシーズンには物語があり、それが"らしさ"に繋がると思うので「どういったストーリーを描くか」ということを強く意識します。

ー 何からインスピレーションを得ていますか?

 全てです。アートにもテレビにも、小説にも、日常にも。また、昨シーズンを振り返り、次のステージやコレクションを見据えます。色や素材など多くの気づきが潜んでいるんです。新しい挑戦をするために自分自身を研究することに集中することもありますね。

ー ビジネスは順調?

 うまくいってると思います。ただ、ブランドが多くの人に届くのも、身に着けてもらうまでにも時間が必要だと思っているので、ゆっくりと取り組んでいきたいです。

ー 日本では知名度も上がってきているように思います。

 まだまだです(笑)。でも日本は好きですし、日本の方々はとてもいい人たちばかりですよね。

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コム デ ギャルソンの2018年春夏コレクションの発表会場に来ていましたね。ショーの感想は?

 とても美しかったです。服が放つエネルギーやそれを創る努力が素晴らしく、とても刺激を受けます。あれだけの大企業があのようなことをやっているのは、驚くべきことです。

ー "あのようなこと"とは?

 ブランドとしてやりたいことをやる。そういった姿勢が好きですね。

ー ブランドを成長させるためには何が必要だと思いますか? 

 まだまだ小さいブランドですから、より多くのお金と人が必要だと思います。他にはありません。

ー ブランドの将来像は?

 常に良い例でありたいです。人間はそれぞれが異なる背景や視点を持っているので、似ること自体が不可能。だから、他のどこかのブランドのようになりたいと目指すことはしませんし、自分がやりたいことは自分がコントロールしているという自覚を持つことが重要だと思っています。コム デ ギャルソンもきっとそうですよね?今のまま続けていけば大丈夫だと思っています。

ー では、最後にデザイナーを目指す人に一言お願いします。

 「やめておいた方がいい」でしょうか。想像以上にハードワークだから(笑)。

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キコ・コスタディノフ Kiko Kostadinov
ブルガリア出身。16歳の頃に父親の仕事の関係でイギリスに移り住み、セントラル・セント・マーチンズ芸術大学に入学。在学中に英国ファッション協議会のNEWGEN(New GeneraSon)を受賞し、卒業後すぐにサポートを獲得した初の学生となる。同年6月に自身の名前を冠し、ロンドン・コレクション メンズデビュー。「休日は父親の仕事を作業着を着て手伝っていた」という自身のルーツに着想源に持つワークウエアをベースにしたブランドは、構築的なディテールや革新的なパターンに定評がある。学生時代に実施した「ステューシー(STUSSY)」との協業コレクションが各国ドーバー ストリート マーケットで完売したことをきっかけに、デビュー時から同店とも密接な関わりを持つ。2016年フォーブス誌の30歳以下の注目30人のアート部門に選出された。

(聞き手:高村 美緒)

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