kolor2021年春夏コレクション動画より
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Fashion 注目コレクション

kolorがパリコレに戻ってきた!――26台のiPhoneによる映像は必見

kolor2021年春夏コレクション動画より
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 パリ・コレクションというものは、主催者側のサンディカから肩を叩かれないかぎり、一度参加したら参加し続けなればならないし、一度抜けたら戻るのは非常に難しい。「カラー(kolor)」の阿部潤一は今シーズン、そんな常識を覆して、2017-18年秋冬以来となる復帰を果たした。26台のiPhoneを駆使した斬新な映像は、確固とした"色"があった。

(文:ファッションジャーナリスト 増田海治郎

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 リンクをクリックすると、モデルが横回転に空中で回転し始めた。「まさか無重力の宇宙で撮影したのか?」と思うほど、不自然にぐるぐる回っている。目が慣れてくると、モデルが黒い硬質なものを跨いでいることに気がついた。この驚愕の映像は、フラフープを縦型にしたような円形のフレームに26台のiPhoneを設置して360度カメラで撮影したという。アングルを動かしたい方向にカメラを順番に連続撮影していくバレットタイム(タイムスライスとも言う)という手法だ。サイケデリックロックバンドの幾何学模様の曲(Smoke and Mirrors)と映像のシンクロっぷりも凄まじい。ディレクションは映像作家の田中裕介、撮影はフォトグラファーの田島一成が担当した。

 服に目を移そう。独特の色の組み合わせと、大小のアイテムをドッキングさせたコレクションは、ザ・カラーといった雰囲気。ファンなら誰もが知っているカラーの得意技の大盤振る舞いである。カラーはシーズンテーマを設けないブランドだが、今シーズンは明確なインスピレーション源がある。カラーの2011-12年秋冬コレクションだ。「10年前の自分の世界観を今の感覚で表現したらどうなるか、ということにチャレンジしてみたかった」と阿部は説明する。なるほど、だから懐かしさを感じたわけだ。

 今シーズンを象徴するアイテムは、子どもサイズのアウターをオーバーサイズのジャケットやコートにドッキングさせたもの。ウインドペンのクラシックなステンカラーコートには、着丈の短いボーダーのカーディガンをドッキング。ガンクラブチェックの大きなMA-1の上に子供用のMA-1を縫い付けたブルゾンは、常に一緒の親子鴨のようで可愛らしい。コロナ禍であらためて家族の大切さに気づいた人も多いと思うが、自分には親子の絆を服で表現しているようにも思えた。

 最近のカラーの代名詞となっている様々な編み地を組み合わせたニットは、もはや現代アートのよう。ウィメンズのニットポロは4つのニットが複雑に組み合わさっていて、1枚なのにとても華やかだ。そして、コカ・コーラとのコラボレーションが登場......と思ったら実はパロディで、あの代表的なフォントを真似して「Con Crete」と書いてある。全体的な印象は、精緻な職人技を駆使しているのにウンチク的な重さは皆無で、軽やかでとても若々しい。カラーは過去も現在もどんなブランドにも似ていないし、カラーにしかない個性がある。こういうブランドは世界的にみても稀である。

 「サンディカからデジタルでやることになったと聞いて、これまでにない初めての試みだから面白いと思った」と話す阿部。まだ未定とのことだが、来年の1月、久しぶりの"歩くカラー"を今から楽しみにしている。

文・増田海治郎
雑誌編集者、繊維業界紙の記者を経て、フリーランスのファッションジャーナリスト/クリエイティブディレクターとして独立。自他ともに認める"デフィレ中毒"で、年間のファッションショーの取材本数は約250本。初の書籍「渋カジが、わたしを作った。」(講談社)が好評発売中。>>増田海治郎の記事一覧

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