2023年春夏シーズンの「ロエベ(LOEWE)」は観葉植物のアンスリウムの花がキーモチーフとなった。葉っぱのような花(実際は苞)に黄色の突起物(ここが花)が特徴で、造形美の象徴としてコレクションの中心に据えられた。
胴体を包み込むアンスリウム
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巨大な赤いアンスリウム一輪がランウェイの中央に飾られ、モデルはその下にある階段から登場。ルカ・グァダニーノ監督の話題の最新作「BONES AND ALL」でティモシー・シャラメと共演したテイラー・ラッセルがベルベット素材のパニエドレスでファーストルックを飾った。アンスリウムのパーツは胴体を包み込み、ブラカップとしても登場。ワイヤーで鋭角に形作ったギザギザのドレープドレス、花柄のメタル製ボディス、Aラインのワンピースドレスはいずれもミニ丈で、それらに合わせられたトレンチコートやハンティングジャケットも末広がりのシルエット。
"違和感"が落とし込まれた服
ミニ丈が多く登場した一方で、定番のアシンメトリーシャツを2倍ほどのサイズに拡大したような、レザーで仕立てたドレス、ニットやレザートップスも極端な袖の長さで登場。
ベビーキャリアーのようなシェイプのトップスは、シールドのように突き出た特殊な形状で、内側から膨張しているようにも見える。また、二次元のゲームの世界の服のように低解像度のドット絵(ピクセルアート)で表現されたピースも。視覚的に"違和感"のあるディテールが目を引くが、ベースとなっているのはオーセンティックな衣服で、ウェアラブルな変化を感じさせた。
"餃子バッグ"が登場
パンプスやサンダルは、ぽってりとしたフォルムやボリュームのあるヒールが特徴。また、先シーズンのコレクションで登場した風船のモチーフが、今回は萎んだ状態でシューズの装飾として用いられ、足元をユニークに演出した。楕円形のボディにヒダが入ったまるで"餃子"のような形状をした新作の「パセオ」バッグや、エレガントなドーナツチェーンが取り付けられたパファータイプの「ゴヤ」バッグなどの小物にも遊び心が光る。
コレクションノートには「未来志向ー研ぎ澄まし、削ぎ落とす。線と色彩、形状。衣服のリアリティへの厳密なまなざし。エロティックで精巧な、まるでデザインされたかのように見紛う自然の産物、アンスリウムの花のように」と記されていた。人の手によって作られた服は、自然の花や植物とは対照的。アンスリウムの完成された美を追い求め、削ぎ落としたりひねりを加えることで、ジョナサン流のリアリティが表現された。
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