ロエベから届いた「Show in a box」
ロエベから届いた「Show in a box」
Image by: FASHIONSNAP.COM

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ロエベの箱入りファッションショー「Show in a box」12の資料から見て触って作る新体験

ロエベから届いた「Show in a box」 Image by FASHIONSNAP.COM
ロエベから届いた「Show in a box」
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 ロエベの新作メンズコレクション発表日の2日前、編集部宛に小包が届いた。中身はキャンバス地で装丁された箱。トランクケースほどの大きさで「Show in a box」と名付けられている。蓋を開けると、コレクション制作のプロセスを紐解くリファレンスと共に、五感を刺激する体験が待っていた。

 パリのファッションウィークがデジタルで開かれるのは歴史上初めてで、参加するブランドにとっても初の試みが多くなっている今シーズン。ロエベのクリエイティブ ディレクターを務めるジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)は、従来のコレクション発表をオンラインに置き換えるだけではなく、「触れる」という体験を提供するため「Show in a box」を制作したという。監修は、アンダーソンとエムエムパリス(M/M Paris)が行った。

 着想源は、マルセル・デュシャンの作品「Museum in a box」。ポータブルミュージアムという構想でデュシャンの主要作品のミニチュアや複製などを収めた革製のトランクからインスピレーションを得て、ロエベのショーそのものを「Show in a box」に収めたという。

 箱の上部を開けると、中は12のフォルダーに区切られている。各フォルダーには全て異なる形状の資料が収められており、一番手前のアンダーソンからの手紙には、プロローグとして以下のメッセージが記されていた。

「私たちは今、前例のない状況に向き合っています。未来はやってきますが、私は今に興味があります。ファッションとは、突き詰めていくと現在を指すものです。私はプロセスにフォーカスをし、マネキンを使って仕事をしました。このBOXを通じて私は始まりからショーまでの過程(プロセス)をシェアしたいと思いました。皆さんがこの経験に関わり、楽しんでくれることを願って」

 インスピレーションソースが書かれたブックレットや、新作の全ルック(メンズの2021年春夏コレクションとウィメンズの2021年クルーズコレクション)が載ったミニブックが収納され、さらにキールックとバッグは直方体に組み立てると前後左右のデザインが確認できる仕様。シューズの写真はポストカードに印刷。サングラスは穴の空いた厚紙に印刷され、組み立てて試着する楽しさがある。

 実際にコレクションに使われた生地スワッチが入っていて触れることができるのは、従来のショーでは得られない体験だろう。さらにユニークなのはコレクションのキーアイテムの一つであるサークルトップスの型紙(パターン)で、つまり型紙を使って自分で服を制作できるようになっている(公式サイトからもダウンロード可)。ショーには欠かせないBGMは手動のカードボード・レコードプレイヤー(指でレコードを回すとナレーションが流れる)、架空のショー会場はポップアップ式のブック(飛び出す絵本)で表現され、それぞれ工夫を凝らした作りがコレクションのイメージをさらに掻き立てる。プロセスに欠かせないのは、コレクションの制作チーム。一人一人の横顔の切り絵が収められていた。

 プロセスを紐解くアプローチは、オンライン上でも展開された。これまでもロエベは、パンデミックの最中に様々なオンラインコンテンツを配信してきたが、今回はその集大成と言えるほど充実。24時間にわたって、様々なコンテンツを配信した。中でも、今回のコレクションに取り入れている日本の「絞り」についての動画は興味深い。愛知県の「藤娘きぬたや」三代目作家 安藤嘉陽氏の語りと映像で、伝統を受け継ぎながら進化している繊細な技術を伝えている。

絞りロエベののオンラインコンテンツ「絞り」に出演した「藤娘きぬたや」三代目作家 安藤嘉陽

 

 今回のコレクションで目立つのは、曲線やサークルのパターン。コレクションノートには「What goes around comes in rounds. すべてはそこに帰ってくるのです」と記され、アンダーソンはスムースな流動性とソフトな手触りをポイントに置いたという。絞りの模様も大きな円を描いており、全体的に丸みを帯びたフォルムは中性的で優しい印象を受ける。存在感があるのは、レザーを編んで作られた籠のようなトップス。パイナップル型のバッグは遊び心を添えた。なお、パイナップルバッグはアーティストのSHIN TANAKAがペーパートイを制作し、その型紙を公式サイトからダウンロードできるようになっている。

型紙をダウンロードできるパイナップルバッグのペーパートイ

 ロエベが選択した新しい発表の形は、アートやクラフトに造詣が深いアンダーソンの頭の中をのぞき、直接対話しているような身近さだ。実際にショー形式よりも様々な角度から理解を深めることができ、これからのコレクション発表の意味やあり方が変化していくだろうと予感させるような箱入りショーとなった。

■ロエベ:公式サイト

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