
世界最大手の化粧品メーカー、ロレアル(L'Oréal)は本拠地フランスのみならず、世界6ヶ所に研究拠点を構えています。日本では神奈川県川崎市の「日本ロレアル リサーチ&イノベーションセンター」がその要。ここでは毎日、皮膚や毛髪のメカニズム解明から製品開発、最先端テクノロジーの導入まで、多角的な研究が進められています。そして、この度、「シュウ ウエムラ(shu uemura)」の人気クレンジングオイルの新作「ブライト クレンジング オイル」も、ここでの研究知見や技術が応用されているそう。高機能なコスメへの関心がますます高まる中、注目のアイテムにはどんなサイエンスが取り入れられているのか?今回、実は知らず知らずにロレアルブランドのアイテムを使っていたという堀田茜さんとともに、このベールに包まれた研究施設を取材。肌研究の最前線と、そこから生まれる革新的プロダクトの舞台裏を探ってきました。
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目次
世界に向けた化粧品がここから?! 日本ロレアル リサーチ&イノベーションセンターとは?
ロレアルグループの日本における研究開発は1983年にスタート。「かながわサイエンスパーク(KSP)」内に、日本ロレアル リサーチ&イノベーションセンターを設けています。フランス以外では初めて、基礎・応用・開発・評価のすべての研究段階を備えた研究体制を保有し、200人以上の研究員が在籍。ラグジュアリーブランドをはじめ、グループの各ブランドおよび、さまざまなカテゴリーで、日本から全世界に向けた製品開発を行っています。代表的なブランドとして、「ランコム(LANCÔME)」やシュウ ウエムラ、「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE-POSAY)」、「イヴ・サンローラン・ボーテ(Yves Saint Laurent Beauté)」、「キールズ(Kiehl’s)」、「タカミ(TAKAMI)」などが名を連ねます。

日本ロレアル リサーチ&イノベーションセンター
Image by: 日本ロレアル
この日本の研究拠点では、日本人を含む北アジア地域の人の肌の特徴やトーン、毛髪の研究にも力を入れ、各地域の人々にあった化粧品開発を盛んに行っています。グローバル展開する製品も多数誕生。ランコムを代表する「ジェニフィック アルティメ セラム」や、ラ ロッシュ ポゼの「シカプラスト リペアクリーム B5+」などは、こうした日本の消費者の肌研究を踏まえ、独自に処方されたものが販売されています。

日本の研究から生まれたアイテム(一部)
堀田さんも、この研究所について興味津々。研究員の方に、どんな研究所なのか伺ってみました。
堀田さん:世界のさまざまな場所に、研究所を設けるのは何故なのでしょうか?
渡辺翔 研究員(ロレアル リサーチ&イノベーション, フェイスクレンジング&メイクアップリムーバー応用領域研究所, シニアプロジェクトリーダー マネージャー):ロレアルグループが世界に6つの研究開発(R&I)拠点を置いているのは、世界中の多様な消費者の美のニーズに応えることを目的としたものです。世界にはさまざまな肌質、髪質、美意識、そして文化的な習慣があります。ロレアルは、各地域におけるこれらの違いを深く理解し、それに特化した製品を開発するために、地域に密着した研究活動を行っているんです。また、世界各地に研究開発拠点を設けることで、多様なアイデアの検討、処方テスト、そして市場への迅速な導入が可能になります。これにより、地域のトレンドや消費者の要求に素早く対応し、競争力のある製品を効率的に開発し、提供することができます
堀田さん:その地域の特性を理解するためにも必要なんですね。
渡辺 研究員:そうなんです。実際に、日本人の肌や毛髪の研究をふまえて、開発された商品もたくさんあります。例えば、日本で販売されているランコムのベストセラー美容液「ジェニフィック アドバンスト セラム」は、グローバルと異なり、よりみずみずしいテクスチャーの処方が採用されています。これは、日本の消費者が特に好む、軽やかでベタつきにくい、肌へのなじみの良い使用感を追求した結果です。そうした傾向を踏まえて、日本の研究開発チームが日本の消費者の高い期待に応えるべく、テクスチャーを最適化しました。
堀田さん:ロレアルさんがフランス発の世界トップの化粧品メーカーだということは知っていましたが、自分が普段使っているあのブランドも、このブランドもそうだったんだ!という発見がありました。ラ ロッシュ ポゼのアイテムを使った時、肌が少し敏感になっている時期だったのですがストレスがなくて、そういう使用感の良さや安心感も、日本人も含めた世界のさまざまな地域の肌の研究があってこそ生まれたものなんだ、と勉強になりました。

(左から)渡辺研究員、堀田茜さん
シュウ ウエムラを象徴するクレンジングオイルが進化!

シュウ ウエムラを代表するアイテムのクレンジングオイルは、「落とす」を超えて、「美を育む」高機能クレンジング「アルティム8∞」をはじめ、さまざまな肌悩みに答える5種類をラインナップ。ベストセラーの新作として登場する「ブライト クレンジング オイル」に配合している植物由来オイルは、世界中から厳選したサステナブルな原料由来のオイルを、ぜいたくにブレンドしています。

メイクに素早くなじみ、皮脂・毛穴汚れを擦らずともするっと浮かせて瞬時に落とす洗浄力の高さを維持する技術と成分を搭載。一方で、洗浄力の高さによる皮脂の落としすぎや、摩擦・乾燥によるバリア機能低下を起こしにくく、洗い上がりの肌をうるおいで包み込み、バリア機能を整える保水力の高い油剤をセレクトしています。





メイクにクレンジングオイルを垂らし
堀田さん:シュウ ウエムラのクレンジングオイルは今まで何度も使ったことがあったのですが、新しいブライト クレンジング オイルはメイクとのなじみが早く、水と混ぜてからも力を入れずにするすると乳化するので、肌に負担をかけずに使えそうだなと思いました。メイクを落とした後の肌も、すっきりと、もちっとしたように感じでクセになりそうです。
また、長年の研究による知見とデジタル技術を融合させ、数千、数万通りの組み合わせの中から、洗浄力と心地よいテクスチャー、そして何度でも使いたくなるような心地よい使用感を両立させる最適なバランスを発見。毛穴の奥の頑固なメイクや皮脂汚れも、肌に負担をかけず、スピーディーに浮き上がらせます。肌に優しい感触のオイルが、洗い上がりの肌にしっとりとした心地よさを残します。メイクをオフしながら、素肌本来のなめらかさと柔らかさを守る、そんなクレンジングオイルです。そして、99%以上が生分解性を持つ環境配慮型処方なのもポイント。使用後の排水が自然界に与える影響を最小限に抑え、美しさだけでなく、地球の未来も美しく保つことを目指しています。

堀田さん:化粧品の開発現場にも、これほどまでにデジタル技術が応用されてるなんて知りませんでした。膨大な選択肢の中から、最適なものが厳選されていると聞くと、使用した時の心地よさや肌の感触の良さに対する納得感が増しますね。

「ブライト クレンジング オイル」発売日:2026年2月6日(金)、価格:150mL 5720円、450mL 1万3200円
シュウ ウエムラの半世紀以上にわたるクレンジング研究がたどり着いた、落とすだけでない“肌土台”からの透明感に着目した「ブライト クレンジング オイル」が誕生。角層のうるおいを守る“高保水洗浄メカニズム”が、メイクや毛穴汚れ、糖化やくすみのある角質まで、つるんとオフ。
たっぷり抱えたうるおいがバリア機能*1をサポートし、キメの整ったなめらかな肌に導く。発酵美容成分酒粕をはじめ、ビフィズス菌やビタミンC誘導体、ビサボロールを配合した独自の”ブライト コンプレックス*2”を搭載。くすみにアプローチし、みずみずしくまばゆい艶めきを解き放つ。ほんのり香るフルーティーな日本酒とホワイトティー、ホワイトムスクが重なる繊細な香調で、まろやかなテクスチャーとともに包み込む。
*1 角質層
*2 酒粕:酒粕エキス、ビフィズス菌:ビフィズス菌培養溶解液、ビタミンC誘導体:テトラヘキシルデカン酸アスコルビル、ビサボロール(すべて整肌成分)
デジタルで美肌の未来をつくる!紫外線による光老化に着目した日やけ止め開発
肌トラブルの主因となる紫外線は年々強さを増しており、美容のみならず肌の健康維持の観点からも、年齢・性別を問わず対策が推奨されています。こうした日やけ止めの開発には、SPF値の耐久性や、塗布してできた膜の均一性のチェックが欠かせません。そこで日本ロレアルでは、人の塗布動作を模倣したロボットを活用し、これらの厳密なテストを行っています。このロボットが収集するデータは、将来的にAIモデルと連携することで、さらに効果的な製品開発へとつながる可能性を秘めています。先端技術を応用したリサーチ方法に、堀田さんも日々のUV対策を振り返りながら、研究員の話に耳を傾けました。
堀田さん:紫外線って色々とダメージの原因になるのかなとは思うのですが、どんな影響があるのでしょうか?
小池徹 研究員(ロレアル リサーチ&イノベーション フォトプロテクション応用領域研究所, シニアプロジェクトリーダー シニアマネージャー フォトプロテクショングローバルエキスパート):紫外線は、肌にとってさまざまな影響を与えることが知られています。具体的には、紫外線は日やけによるシミやソバカスの生成を促す主な要因の一つです。また、肌本来の保護機能が低下し、外部からの刺激を受けやすくなることがあります。それにより、肌の水分バランスを乱し、乾燥を引き起こす一因となり、ハリや弾力感が失われ、光老化が進んでしまいます。だからこそ、紫外線ケアは、肌のキメを整え、なめらかでふっくらとしたハリのある肌状態を長く維持するためにも大切です。ちなみに、長波長紫外線(UVA)は窓ガラスも透過することが分かっているので、自宅やドライブ中なども、軽めの紫外線ケアをするのがおすすめです。
堀田さん: 海外ロケなども多く、普段から紫外線対策には気を使っていましたが、UVAはガラスも通り抜けるんですね!毎日のケアや、こまめな塗り直しが大切なんですね。

堀田さん:この機械はどういうものなんでしょうか?
小池 研究員:日やけ止めの性能を調べるため、さまざまなパターンをリサーチするのですが、同じ条件で均一に塗布する必要があります。この機械はAI技術も組み込んでいて、ヒトの手で日やけ止めを塗った時の塗布膜の厚さを均一に、何度でも同じように再現してくれるんです。このようなテストを繰り返し行うことで、耐久力に優れ、紫外線防御効果が高い製品開発へとつなげることができます。
こうした研究技術などを活用して生まれたランコムのUV下地「UV エクスペール エクストリーム シールド」(SPF 50+・PA++++・UV耐水性★★)は、ブランド史上初のテクノロジー「マグネティック UVネットワーク」を搭載。隙なく紫外線から守り、保護膜を形成することで、乾燥・肌荒れからもバリア。スキンケア成分と軽やかなテクスチャーで透明感あふれる素肌へと導いてくれます。

堀田さん:すごくなめらかで、肌なじみがいいですね。すっと伸びて、ベタつきにくいので次に塗るベースメイクにも響かなさそう。スリムなパッケージも持ち運びしやすそうでいいなと思いました。
日本の激しい気候変化に耐えられる? ファンデーションのテスト現場をチェック
続いて訪れたのは、ファンデーションを開発している部門。日本のロレアル研究所が開発した「フレッシュメイクアップキーパー(FMK)」は、環境変化によるメイク崩れを防ぎ、ファンデーションの美しい仕上がりを長時間キープするテクノロジーです。特に、高い湿度やマスク着用でファンデーションがヨレやすい状況でも、その影響を受けにくい処方となっています。ガラス板に塗ったファンデーションに擬似的に汗や皮脂を垂らし、そのメイク崩れの状態を確認します。

(左から)望月研究員、堀田茜さん
シュウ ウエムラのリキッドファンデーション「アンリミテッド ラスティング フルイド」にもこのFMKテクノロジーを搭載。皮脂や汗、摩擦に強く、肌との密着性を失わず、美しい状態を保ちます。FMKテクノロジーのテスト結果を見ても、そのキープ力は一目瞭然。ファンデーションが均一に伸び広がることで、摩擦によるヨレを防ぎながら汗をはじき、パウダーが皮脂や汗を吸着するメカニズムによって、仕上がりを保ってくれるのです。海外ロケなど多様な環境でメイクをする機会が多い堀田さんも、この結果に驚きの様子。
望月香澄 研究員(ロレアルリサーチ&イノベーション, メイクアップ フェイス開発研究所 研究員):FKMを搭載していない方は、擬似的な皮脂を垂らすと、徐々にファンデーションが崩れていくのに対し、搭載しているものは、皮脂とファンデーションが溶け合わずに、フレッシュな状態を維持します。
堀田さん:同じように見えるファンデーションでも、技術の違いでこんなにも差が出るんですね!


シュウ ウエムラを代表するファンデーション「アンリミテッド ラスティング フルイド」にもFMKを搭載
堀田さん:私はロケで湿気や気温が高い場所に行くことが多く、ベースメイクのキープ力には人並み以上にチェックしています。デモンストレーションで崩れにくい様子を見たので、使用感が気になっていたのですが、肌に乗せてみると予想以上になめらかで軽いテクスチャーに驚きました。
メイク品の“色開発”にもこだわりあり!
ファンデーション研究は色開発も欠かせません。併設されたメイクルームでは、開発段階の製品を実際に肌に塗布したり、発色を確認したりできる機能を備えています。ドレッサーのライトは白やオレンジなどに色を変えることができ、野外、室内、蛍光灯といった生活環境の照明を再現。実際にメイクをして生活するシーンを想定して取り組むことで、肌トーンになじむ色味の開発につなげています。



さまざまな環境を再現し、メイクした肌の見え方を研究
堀田さん:ライトを変えると肌の見え方が全然違うんですね!確かに、一日中同じメイクでも、部屋の中と外で明るさは異なりますし、日中と夜でも環境が変わりますよね。化粧品の開発でこういうシーンのことも考えられているとは思いもしませんでした。
望月 研究員:ロレアルがファンデーションの色味開発の中で、屋外を想定した自然光や、屋内での白熱灯、LEDといった人工光や蛍光灯といったさまざまな生活シーンを想定して取り組むのは、消費者の方々がどのような環境でもご自身の肌色に最もなじみ、美しく見えるファンデーションを提供するためです。複数の光源下でのテストは、ファンデーションが「本当の意味で肌に合った色」であるかを検証し、より普遍的に美しい仕上がりを実現するための重要なプロセスなんです。
独自の肌測定器や、まつげのカールや長さがチェックできる機械も!
この施設には、ほかにもさまざまな研究のための独自機器が豊富に揃っています。スキンケアやカラーコスメにとどまらず、目元などの細かな"パーツ"のリサーチも徹底して行うため、マスカラの性能を測るためのまつげの“カール測定器”や、肌について潜在的なダメージなど深くまで調べる肌測定機器「クロマスフェア」などを導入。日夜、肌について、スキンケアについて、メイクアップの効果について、あらゆる視点で研究を重ねています。

肌測定機器「クロマスフェア」のイメージ
Image by: 日本ロレアル
研究所ツアーを振り返って
デジタルを活用したロレアル最先端の研究の数々を巡り、化粧品選びのモチベーションが上がったという堀田さん。特に印象に残っていることを聞いてみました。
堀田さん:メイクもスキンケアも大好きで、お店でもつい新しいものを見つけると気になるタイプなので、今回の研究所見学は発見の連続でした。日本にも研究所があり、私たち日本人の肌についても、しっかりとリサーチされていることが分かり、なんだか普段使っている化粧品への安心感が高まりました。大手のロレアルさんだからこその高度なAI技術や新しいデジタル技術を見せていただいて、「すごい!」ばかり言っていた気がします。日やけ止めやクレンジングの大切さも教えていただいたので、これからも、こまめにケアしていきたいなと改めて意識が高まりました。

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