Fashion インタビュー・対談

【トップに聞く】ルミネ新井社長「同質化からの脱却、もっと創造的に」

新井良亮 ルミネ代表取締役社長
新井良亮 ルミネ代表取締役社長
Image by: Fashionsnap.com

 同質化、安売り、販売員不足......ファッション業界を取巻く課題が増えるなか、成長を続けるルミネ。「今までのやり方では通用しない」と、既成概念を覆す考えで同社を率いる新井良亮 代表取締役社長は、すでに次の一手を打ち出している。これまでとは全く異なる商業施設になるという16年に新宿駅前に開業する「NEWoMan」は、同社グループにとっても新井氏にとっても一大プロジェクトだ。開業を目前に控えて慌ただしく動いた2015年と、これからのルミネについて聞いた。

 

■同質化の危機

―2015年はどういった年でしたか?

 経済状況や環境は整ってきたんじゃないかと感じています。しかし今、どこもかしこも安売りで同質化しているのが気がかりです。商品の極論は「新しいか」もしくは「今までと違うものか」のどちらかですから。激しい競争に勝っていくには、今までのやり方と同じでいいはずがありません。それを感じた1年でした。

―同質化に対する課題は?

 とりわけ、デザイン力やクリエイティブが低くなっているのではないかと危機を感じています。れ筋を見て作り、それが売れ筋になるとまた皆が作る。そんなサイクルでは、色や形が同じような商品のオンパレードになってしまう。ありふれたものを次から次へと出されて、何の魅力を感じますか。ファッションにおいて大切なことは、独創的でオリジナリティのある商品を提案することに尽きますから。

―オリジナリティが価値になるということでしょうか。

 お客様の本当のニーズを捉えれば、とくに新しいデザインに対してものすごく感度が求められていることがわかります。それを提案できれば購買に結びついていくということ。「価値優先」の取り組みの成果は、売上としても出てきています。

―ディベロッパーとして受け身ではなく、提案だと。

 だから我々は、単にルミネに出店してくださいと言うだけではなくて、店作りから商品作りまで、より質の高いものを求めていくわけです。店頭のディスプレイまで細かく入ってサポートしていきますから、そこは他と違うかもしれません。

―各社オムニチャネル化が進んでいますが、リアル店舗が第一ということでしょうか?

 基本的な消費者意識としては、見て買いたいですよね。どこでどんな風に生産されたのかなど、リアル店舗では何らかの形で見えることが多い。ルミネは特に優秀なショップスタッフが多いので、1ショップに限らず館全体が連携すれば、トータルコーディネートも可能になる。ただ、決めきれずに家に帰ってからECで買うこともあるでしょう。結局は、お客様がどこで時間を買うか。いずれにしても「顧客満足」のレベルではダメ。いかに「顧客感動」を与えられるかです。お客様が何を求めているのかは直接コミュニケーションをとらない限り得られませんから、やはり売り場がベースにはなります。あくまでもリアルを補填するのがEC事業という考えで、双方の良さを引き出すようにしています。

―消費の二極化が強まっています。

 一人のお客様でも、安売りしている所では安値で、高級ブランドについてはそれなりの価格で買っている。それぞれを使い分けているんですね。今のEC事業はかなり価格重視になっているので、お客様の方が懸命な選択をしているということ。それらを念頭に置いて選択肢を用意するべきです。

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■販売員とは呼ばない

―売り場にはよく行かれるそうですね。

 それはもちろん、売り場が命ですから。私たちには「明日来てもらえる」という保証は無いんです。その緊張の中にいる。ルミネ全体でなくても、そのショップスタッフ1人でもお客様をちゃんと接客して顧客化できれば満足につながる。ショップスタッフの成長なくして我々の接客業やサービスは成り立たないので、その点に関してルミネは厳しいですよ。私も指導をしていますから。

―アパレルでは近年、「販売員不足」が深刻です。

 まず私は、「販売員」という呼び方自体が違うのではないかと思いますね。お客様からのニーズからすれば、販売することよりも、むしろ接客の会話やコーディネート提案の方が多いはずですから。皆さんは大変な努力を積み重ねているし、その成果を正しい見方で真っ当な評価をするべき。その取り組みのひとつが「ルミネスト」で、人材確保と育成にも良い影響を与えています。それから、我々のコアターゲットと同じ20〜30代の女性スタッフが多いので、「きらきらルミネ」というプロジェクトを通じて働く環境の改善を行っています。お客様の満足度を高めるには、より働きやすい環境作りが大事だということ。女性と寄り添える企業であるべきです。

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―新規事業の「ルミネ・ザ・カルチェラ」では、デザイナーの育成にも力を入れていますね。

 デザイナーフェスのような形で若手デザイナーの展示会を行っていて、言わば勝ち抜き戦です。今ルミネ新宿のルミネ2に彼らをサポートするショップを設けていますが、ルミネは良いデザインをどんどん世に露出していくチャネルのひとつという考え。ですから、個人単位でもデザイナーやパタンナーとして活躍したり、ルミネ以外でも店が持てるような形が目標です。我々が若い世代の才能を育てない限り、食育と同じで「ファッション育」は出来ません。

―「ファッション育」が、ディベロッパー事業にもつながっていくということでしょうか。

 もはや「ディベロッパー」というカテゴリ自体が変化しているということでしょう。重要なのは、お客様のニーズは何か、そしてどういう形でお客様に提案していくのかですから。顧客づくり、商品づくり、世の中づくり、我々の仕事は「つくる」ということで、「ファッション育」もそのひとつです。今は特に変化が早いので後手に回ってることも多いのが現実ですが、これからは我々が半歩先や一歩先を見て、世の中に向けて何をやるかが問われてきますね。

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