Art インタビュー・対談

【インタビュー】村上隆が見いだした気鋭アーティストMADSAKI、愛妻のヌードで新境地へ

MADSAKI
MADSAKI
Image by: FASHIONSNAP

 アーティストのマサキ(MADSAKI)が、個展「HERE TODAY, GONE TOMORROW」をカイカイキキギャラリーでスタートした。これまで鼻血を出したスマイルマークの作品のほか、「HOLY FUCKING SHIT」など文字を使った作品、アンリ・マティスやパブロ・ピカソといった名画のコピー、安倍晋三首相をはじめとする政治家の肖像をスプレーを描くなど、社会を風刺するような挑発的な作品が話題を集めてきた。今回展示されたのは、アート活動を支えてきた愛妻をモデルにした作品。ヌードを描いた作品も並んでおり、MADSAKIは「これまでの作品とは全く違う」と語る。

 

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MADSAKIとは何者か

―「マッドサキ(MADSAKI)」という名前の由来は?

 僕がニューヨークでメッセンジャーの仕事をしてた頃に、ディスパッチャーが仕事終わりに飲みに誘ってくれて「Hey Masaki, let's go drink mad sake.」って言ったの。「mad sake」は「酒をいっぱい飲む」って意味なんだけど「(発音が)お前かよ」って言われて、そこからマッドサキになった。

―アメリカに行ったきっかけは?

 父親の転勤で、6歳の時だったね。

―両親はどういう仕事を?

 普通のサラリーマン。俺が大学に入る時に親は日本に帰っちゃったけど、俺はそのまま残った。

―アート関係ではなかったんですね。アートに目覚めたきっかけは?

 アメリカに渡って9月から小学校1年生になったんだけど、英語が話せなかったから絵を描いてコミュニケーションを取ってたんだよね。例えば飛行機を描いたら、先生や友達が「これはairplaneって言うんだよ」と教えてくれて。その年代はまだ日本人の方が絵が上手くて、絵を描くとみんな喜んでくれる。それで調子に乗っちゃったんだろうね(笑)。親には「日本に帰って大学受験してサラリーマンになりなさいね」って言われてたけど、父親を見ててサラリーマンは嫌だと思ったんだ。

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―高校卒業後はパーソンズ美術大学に入学。どんな作品を作っていたんですか?

 ひとつのスタイルにこだわることなく、いろいろ描いてたね。大学3年生から4年生の時は彫刻もやってた。

―美大での生活はどうでしたか?

 美大に行く子たちって人種差別を食らってたり、いじめられてたり、ぶっ飛びすぎてたり、そういうはぐれ者、高校生活に馴染めなかった子が多かったから、逆にすごく楽しかった。今まで体験した嫌な事が美大に来ると無くなっちゃうんだろうね、みんなイエーイ!ってなって毎日がパーティーみたいな感じ。美術史とか高校で勉強しなかった分すごく楽しくて、新鮮だったね。

―美大で得たものは?

 "しちゃいけない"ことを学んだことかな。今は全く逆のことをやってきているけど(笑)。ある意味すごく良かったなって思ってる。美大に行ってなかったら"本当にしちゃいけないこと"をやっちゃってたかもしれない。

―タブーへの関心が高かった?

 どうなんだろう。別にギリギリを攻めている訳ではないんだけど、常に自分の中で無意識に挑戦しているんだろうね。

―卒業後の進路は?

 ずっとプー太郎してたな。4年間ずっとアート漬けだったから、嫌いになっちゃって。本当にアートの道に進みたいのか疑問を持ち始めて、あちこち旅やバイトをしてた。でもメッセンジャーをやっていた2001年にバーンストーマーズ(Barnstormer)と出会って人生が変わった。美大で教わらなかった事をメンバーと一緒にやって、"こういう表現方法があるんだ"ってビンタを食らったみたいな感じ。そこから本気になったね。

※バーンストーマーズとは
ニューヨークと東京のアーティストを中心に大型のコラボレーションでペインティングや映像、パフォーマンスを行うクリエーティブ集団。壁画に作品を描いては消すプロセスを繰り返すという斬新な表現方法で、アート界で新たなポジションを確立させた。

―バーンストーマーズがMADSAKIさんを大きく変えたんですね。

 雰囲気といいメンバーの人格といい、やっていることもすごく新鮮だった。今はストリートアートってみんな当たり前のようにやっているけど、バーンストーマーズが原点だからね。

―スプレーアートはいつ頃から?

 日本に帰国して2012年に描き始めた「文字シリーズ」から。もともと周りにグラフィティライターの友達がいるからスプレーは身近にあったの。久々に使ってみようかなってなったら、ハマって。

madsaki_preview_20170525_002.jpg

WRITE HERE WRITE NOW
2013
aerosol on wood panel
900 x 560 mm
©︎ MADSAKI
Courtesy of CLEAR EDITION & GALLERY

madsaki_preview_20170525_001.jpgMusic II
2015
1042×1412mm
©︎ MADSAKI
Aerosol and house paint on canvas

―文字シリーズ以来、スプレーを使った作品を数多く発表し話題を集めてきました。自身のスタイルを確立したと思っていますか?

 思ってないよ。昔から三日坊主だからできないのかもね。"俺のスタイルはこれだぜ"っていうのにこだわっていないんだと思う。スプレーは使いやすいから使っているだけで、表面的なことよりも見せたくないようなところを掘り出して、内心から出てきた表現したいものを追求して絵にすることの方が重要かな。

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