Fashion インタビュー・対談

【インタビュー】パリ発「メゾン キツネ」が見つめる東京のシーン

「MAISON KITSUNÉ」のマサヤとジルダ
「MAISON KITSUNÉ」のマサヤとジルダ

 今や東京シーンに欠かせないブランドの1つ「MAISON KITSUNÉ(メゾン キツネ)」が日本初の路面店をオープンした。「MAISON KITSUNÉ」は日本人のMASAYA(マサヤ)とフランス人のGILDAS(ジルダ)がパリを拠点にスタートし、2012年で10周年を迎えた。パリだけではなく、東京にも影響を与え続ける「MAISON KITSUNÉ」ブランドについて、また2人が見つめる東京のシーンについて話を聞いた。

◇青山にオープンした日本初の2つの路面店、「メゾン キツネ」と「キツネ カフェ」について

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「メゾン キツネ」外観

―「メゾン キツネ」のインスピレーションの源は?

 僕らは移動が多く、常に洋服が好きな人に囲まれ、アイデアを交換しているので、毎日様々なものにインスパイアされています。

―服作りにおいてデビュー当時と変わったことは?

 ポリシーはデビュー時から変わっていません。ただ、物自体はこれまでより強いものになりましたね。服について説明をしなくても、お客さんが「メゾン キツネ」を理解してそのまま買ってくれるようになりました。自分達のクオリティや見方、立ち位置、経験値も上がってきました。コレクションもブランドも自分達も、時間とともに成長していると思っています。

―マサヤが洋服、ジルダは音楽を担当しているそうですが、服作りについて2人で相談する事はありますか?

 特別機会を設けて話し合う事はないですね。「来年はこういうものを作ったらいいんじゃないの?」という感じで話すくらいです。僕も「音楽に関してはこういうアーティストはどうかな」とたまに彼に伝えるくらいでお互い自然と出来上がったものを見て満足しているんですよね。

―出店地を青山に決定した理由は?

 パリやニューヨークにはすでに店舗を構えているのですが、「日本のファンにも喜んで欲しい」と以前から日本での路面店オープンを考えていました。青山を選んだのは、カフェとコレクションを置くことができる良い空間と出会えたからです。

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「キツネ カフェ」オープン時の店内

―オープン後の反応は?

 すごく良いです。想像していたよりも多くの人が足を運んでくれているし、ショップ周辺の人通りも多くなっているようで嬉しいです。カフェへの来客も想像以上に多いんですよね。

―現在のホールセールは?

 日本では、「MAISON KITSUNÉ」と「KITSUNÉ TEE」と全部合わせると70店舗くらい。世界だと100店舗を超えます。今後、路面店を構えていく上で、東京のネクストステップはアジアだと思っています。

―「メゾン キツネ」を発信していく上で、2人が大事にしていることは?

 自分達がどこから来たか、今どこにいるか、これからどこへ行くか、ということを理解すること。具体的に言えば、自分の今いる地点をビジネス的、サイズ的、規模的に理解することです。それを忘れてしまうと、ブランドとしては生き残れないですよね。自分達は自分達がどこにいるのかをよく理解した上で、次のステップに進んでいくべきだと思います。

―コラボレーションにも意欲的ですが、今後何か予定していることは?

 大きなコラボレーションの予定は今のところありません。今一番思っているのは、メインコレクションのレディースラインにもっと集中したいということ。アイテム数をもう少し増やしたい。レディースはフィッティングもボリュームも素材の選び方もメンズとは大きく違う。複雑で楽しいんですよね。

◇メゾン キツネのエッセンスを「PETIT BATEAU(プチバトー)」へ

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マサヤとジルダが手がけた「PETIT BATEAU」ファーストコレクション


―2人は「プチバトー」のディレクターに就任しましたね。

 2013年秋冬からです。初めてアーティスティックディレクターという立場でコレクションを作ってみて、多くのことを学びました。常に考えていることは、これから自分達がプチバトーに何をもたらすことができるかということ。長い歴史があり、多くの人に支持されているブランドなので、さらにアップデートさせて、もう少しファッショナブルに、そしてモダンでポップでクールなブランドにしていきたいですね。

―「プチバトー」も「メゾン キツネ」もデザインは"シンプル"。違いは何でしょうか?

 まず、ブランドが違います(笑)。比べることは難しい。ただ、やはりブランドが違うのでコレクションに対するアプローチの仕方は大きく違うと感じています。

―「プチバトー」のアーティスティックディレクターとして心がけていることは?

 やはり120年の歴史があるブランドなので、「プチバトー」を手に取る顧客を喜ばせるということが第一です。6月に新作のコレクションがお店に並びますが、出来はすごく良いです。カジュアルにパリジェンヌのスタイルを取り入れているので、かなりモダンに仕上がっています。

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メゾン キツネ 2013年春夏メンズコレクション

―提案するのは、「メゾン キツネ」が打ち出すパリのエッセンスが入ったスタイルですね。

 どちらのブランドのファンも、きっとそういう見方をしてくれると思いますよ。コレクションへのアプローチやプロセスは全くリズムが違うのであまり比べられませんが、スタイル的にはそういうものを期待して向こうはオファーしてくれたと思っています。

◇メゾン キツネがフィットする東京ストリート

―ファッションウィーク最終日に開催された「VERSUS TOKYO」にDJとして参加した理由は?

 吉井さんとは昔から仲良くしている家族のようなものです。DJのラインナップもVERBAL(バーバル)や大沢さんなど、昔からの仲間が集合したという感じ。みんなで良い時間を過ごすということは大切ですからね。

―ジルダ & マサヤでDJプレイを担当。「VERSUS TOKYO」の印象は?

 「VERSUS TOKYO」は、すごくいいイベントでした。僕自身、昔はDJをしていましたが最近は時間がなくあまりできていませんでした。今回久々にDJブースに立ったのですが、ファンや友人達がすごく喜んでくれているので嬉しかったですね。

―ランウェイでの発表に興味は?

 ランウェイでの発表はあまり考えていません。今回、ピッティでエンターテイメントショーをやってみてすごく楽しかったのですが、それを続けるという気も特にありませんね。

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Fashionsnap.com スナップより


―「メゾン キツネ」は東京のストリートにとても受け入れられている。その理由をどう考えていますか?

 自分はもともとストリートカルチャーが一番熱かった90年代のストリート出身で、そういう時代を見てきたことが大きいです。「メゾン キツネ」が打ち出すパリジャンのストリートカルチャーは、結局自分達のライフスタイルから生まれたもの。例を挙げると「メゾン キツネ」では、パリジャンロゴのキャップを打ち出していますが、今はキャップブームが渋谷から原宿を中心にきているようですね。こんな現象はこれまで自分達がブランドをスタートして10年間の間には無かったものなので、何か東京という街のなかのシーンの一部を担っているのかな、という実感はあります。

―今の東京ストリートシーンの印象は?

 「何か新しいシーンが生まれてもいいんじゃないかな」と思うことはありますね。例えば、銀座のみゆき族や、90年代の始まりのセンター街のシーンも1つのファッションですし、原宿や六本木にもシーンというものが存在していました。東京には時代ごとに必ずシーンがあったのですがこの10年くらいはものすごく静かで、小綺麗いにまとまってしまっている気がする。シーンというものをあまり見かけなくなったので、それをもうちょっと見たいなと思います。

―「メゾン キツネ」と同じシーンを担う日本人デザイナーで尊敬しているデザイナーは?

 僕(マサヤ)は「sacai(サカイ)」の阿部千登勢さんですかね。とても尊敬しています。
私(ジルダ)は、デザイナーというよりはブランドが持つ特別なものや不思議なもの、瞬間的には分からない奥の深いストーリーに惹かれます。例えば「KAPITAL(キャピタル)」というブランドやBLUE BLUEというラインなどアティチュードやポリシーを持っているブランドはすごいですね。

―今後「VERSUS TOKYO」に出たメンバーを中心に、また新しいムーブメントが起これば良いですね。

 原宿カルチャーというのは90年代を過ぎてから徐々にフラットになってきていて、少しつまらない印象です。吉井さんが作っている「MR.GENTLEMAN」は、2013年のブランドという感じでわかりやすく、今のスタイルやカルチャーを見せていると思います。マーケット的にも分かりやすく、今の時代にフィットしている。自分達も好きなブランドなので、他にも若い世代からああいったブランドが出てくるといいと思いますね。

―「メゾン キツネ」が普遍性を追い求めていながらも時代にフィットしている理由は?

 やはり、トレンドを無意識に読んでいる部分があるからだと思います。お客さんも「メゾン キツネ」がどういったブランドかを分かっている。常に「メゾン キツネ」らしさを発信していく事は重要ですが、毎シーズン必ず新しいスタイルがあるので今の時代のマーケットと向き合うことも同じように大切な作業です。デザイナーであれば"リピート"してアイテムを提案することはあると思いますが、この難しさはお客さんをいかに飽きさせないか、お客さんをいかにもっと喜ばせるかという点にあります。それがクリエイションなのですけどね。

―最後に、音楽とファッション2つの活動において共通している「メゾン キツネ」らしさとは?

 洋服では自分達の着たい洋服、音楽では自分達の聴きたい音楽、という考え方でずっとやってきました。共通しているのは今の時代のブランド、今の時代の音楽レーベルでありたいと思い続けることと、自分達が今シェアしたいテイストであるということです。

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