【知ったか脱却メタバース入門】〜第3話〜どうしてデジタル上でしか確認できないアイテムをお金を出して購入するの?
Image by: FASHIONSNAP/前田デザイン室DOTOWN
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【知ったか脱却メタバース入門】〜第3話〜どうしてデジタル上でしか確認できないアイテムをお金を出して購入するの?
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突如話題になった「NFT」について、今さら聞けない基本知識からファッションの親和性までをわかりやすくお届けした連載「知ったか脱却NFT入門」。今回FASHIONSNAPでは、スピンオフ企画として近年注目を集めている「メタバース」にフォーカスを当てた「知ったか脱却メタバース入門」を全5回に分けてお届け。前回から引き続きナビゲーターに弁護士でクリエイティブ・コモンズ・ジャパンの理事を務める永井幸輔さんと、メタバース用のNFTを製作しているメケゾー(mekezzo)さんを迎え、メタバースの気になるあれこれを聞いてみました。第3回となる今回は「どうして実体を持たないデジタルアイテムを購入するの?」という素朴な疑問をお二人にぶつけました。
1981年、北海道生まれ。美術・演劇・ファッション・出版・映画・音楽などの文化芸術とインターネットの交錯する領域を中心に、クリエイティブに関わる人々への法務アドバイスを広く提供している。執筆・編集に「ファッションは更新できるのか?会議 人と服と社会のプロセス・イノベーションを夢想する」、「自分ごとの著作権。」、「デザイナーのための著作権と法律講座」などがある。
NFTのアートフェス「クリプトアートフェス」の主催や、きゃりーぱみゅぱみゅとのコラボが話題になったメタバース用アバターNFT「メタアニ(metaani)」などを手掛ける。2018年秋からブロックチェーンを利用したバーチャルグッズの販売所「conata」を開発した。
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どうしてもバーチャル世界にまだまだ馴染みのないので、「デジタル上でしか存在しないとなると、所有している感がない」「実際に手に触ることもできないメタバース空間にあるデジタルアイテムをどうして購入するんだろう?」と思ってしまいます。
価値の源泉はどこにあるんでしょうか?
FASHIONSNAP(以下、F)
永井
おそらく、今の時代は物理品で持つよりも、デジタル所持するほうが一般的な価値観だったりするんじゃないでしょうか。
mekezzo
アプリゲーム内におけるガチャとかはまさにですよね。「商品」とする対象がデジタルなのか、リアルなのかという境目は年々薄まっているなと感じます。
永井
何が言いたいのかと言うと「どのように使えるモノなのか」というユーティリティが重要で、それはデジタルでもフィジカルでも変わらないですよね。
しかも「実際に手触りがあるものでなければならない」という垣根もどんどん無くなってきているのかなと思います。
例えば「ファッション」と一口にいっても、服を着ることだけがファッションではないですよね。コミュニケーションをする上で、SNSでどのように自己表現をするのか、ということも広く「ファッション」の役割だと思います。
たしかに、アプリゲーム「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」でゲットしたレアなキャラクターやアイテムをSNSでシェアするのも、ある種のファッションだと言えそうです。
F
mekezzo
ちなみに「実際に触れることができないのでは?」という話でいうと、ハンドグローブみたいなものは存在していて。デジタル空間上でも、触覚を手に入れることができます。
では「何を買っているのですか?」と聞かれれば、それは「体験」としか言いようがない。
永井
という話はしつつも、NFTという規格を持ち込むことである程度「それを所有する価値」の保証になってくれるんですよね。
例えば、メタバース上で大学を卒業したとします。卒業証書をもらったとしても"本物である"という証明がなければ、それはただの紙切れになってしまう。
mekezzo
ちなみに「ディセントラランド(Decentraland)」というメタバース空間はデジタル上の土地がNFTだったりします。
永井
NFTは、デジタルをより現実に近付ける架け橋のような役割、という話に落ち着くのかな。
NFTという規格があるメタバース空間というのは、誰がレアスニーカーを所有しているのかがひと目で分かる、みたいなことなのでしょうか。
F
永井
そうですね。レアスニーカーを見極めるためのわかりやすい判断材料になる、という感じです。
mekezzo
その物の正当性というか「同じ様に見えていても実は違うものなんですよ」というのを表現する手段としてNFTはおもしろいのかな、と。
例えば、いまお見せしている僕のバーチャル空間上にある部屋に置いてあるNFTアイテムの総額はおそらく数百万円くらいするんですが、どうせ置くなら「この部屋に置いてあるものは全て本物です」ということが担保されているものを置きたくなりませんか?
永井
自分の部屋に人を招いた時に、"それ”が本物である場合は「え、これ本物じゃん!やばいね」という会話が成立しますが、NFTやブロックチェーンを用いて"それ"の正当性が証明されなければ、なかなかそういう会話にはならないですよね。
没入感のあるメタバース空間にNFTを持ち込むことでより「本物を持っている」という感覚がより強まる……。現実とデジタル世界の境界線が曖昧になったとでも言えばいいんでしょうか。
F
mekezzo
その感覚に近いと思います。
アバターを使用することでヴィジュアル的にも理解をしやすいですし、理解度や解像度を高めるためにVR空間やデジタルを使っているのではないでしょうか。
永井
所謂「ユーザーエクスペリエンス(一つの製品やサービスを通じて得られる体験)」が向上したのかな、と。
mekezzo
「没入感」というワードが出たので、VRゴーグルの話をすると、やっぱりVRゴーグルを付けてメタバース空間上で誰かとおしゃべりすると、感覚的には現実世界となんら遜色がありません。
僕はメタバースやバーチャルが解決することは「移動」という手段や概念だと思っていて。例えば、アメリカに住んでいる友達の部屋に遊びに行くことができるし、なにか理由があって学校などに行けない子には、臨場感のある学校生活を提供することができるんじゃないかな、と。
自分の分身であるアバターがある分、「通話」ではなく「集っている」という感覚が生まれるんですね。
F
mekezzo
おそらくテレビ電話で話している今は、画面上を通して僕の部屋を「見ている」という感覚が強いと思いますが、一度でも僕の部屋に"来た"ことがあれば、この部屋は「見ている」から「行ったことがある」になると思います。
とても初歩的な質問なのですが、mekezzoさんの家に遊びに行くためにはどうすればいいんでしょうか?アバターとかももちろん持っていないですし……。
F
mekezzo
極論を言えば、パソコンにURLを打ち込むだけでいいんです。アバターは「初期アバター」みたいなもので入室することもできます。ただ、初期アバターだと「自分の分身感」が薄れるとは思います。
それと先程話したように、VRゴーグルなどを装着せずにメタバース空間に遊びに行っても没入感を得ることは難しく、僕の部屋に遊びに来たとしても「テレビカメラで行われているお部屋ツアーを見ている」という感覚になるかもしれません(笑)。
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