左)森永潤一郎、右)三原康裕
左)森永潤一郎、右)三原康裕
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【対談】日本のレザーブランドが世界と戦うために必要なことは?三原康裕×HOFF森永潤一郎

左)森永潤一郎、右)三原康裕 Image by FASHIONSNAP
左)森永潤一郎、右)三原康裕
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 レザーシューズ作りからキャリアをスタートさせ、今年で20周年となる「ミハラヤスヒロ(MIHARAYASUHIRO)」デザイナーの三原康裕。炙り出しなど常にその時代の新たな提案を行ってきた同氏は「チャレンジが必要」と、皮革産業界の未来について提言する。一方、若手レザーブランド「ホフ(HOFF)」デザイナーの森永潤一郎はシューメーカー出身で、日本の皮の特性を活かした新しい仕様を追求しているという。日本とEU間での経済連携協定(EPA)の大枠合意で年内最終合意による協定発効を目指し、関税の段階的引き下げと撤廃に向けた動きから国内の皮革産業に注目が集まる今、新旧デザイナーが語る日本のレザーブランドが世界と戦うために必要なこと。

三原康裕
1972年、長崎県出身。1993年に多摩美術大学デザイン学科テキスタイル学部に入学。1994年の学生時代から独学で靴を作り始める。1996年には靴メーカーのバックアップにより「archi doom」を立ち上げ。1997年に大学卒業後、名前を「MIHARAYASUHIRO」に変え、コレクションブランドとして展開開始した。

MIHARAYASUHIRO オフィシャルサイト

森永潤一郎
シューメーカーとして経験を積んだ後、インテリアデザインを本業とする上野卓史(Leif.designpark)と「ホフ」を立ち上げ。「見落とされていた素材、職人の技術を流通させることで、新しく人・会話・アイデアが集まる場所が生まれる」をコンセプトに、2012年から時代性は持ちつつも、流行に左右されない、定番としてのモノづくりを実践している。

HOFF オフィシャルサイト

−国内の皮革産業の現状についてどう思っていますか?

三原康裕(以下 三原):斜陽産業と言われていますが、森永さんたちのような世代の方からしたらそんなことないかもしれませんね。

森永潤一郎(以下 森永):そうですね。今は新しいことにチャレンジできる土俵というか、若い世代の人たちが比較的自由にできる環境になってきていると感じています。年配の方と若い人が両極端で、中間層がごっそりいなくなっているので、参入障壁は低くなっていると思いますね。ただ三原さんのように世界で活躍するブランドにまで成長できるかどうかはわかりませんが(笑)。

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三原:正直僕は、靴だけ作っていたかっただけなんですけどね。日本には靴、バッグ、手袋などその業界に特化したデザイナーは沢山いますが、一般的には全然知られていないことが多くて。本当に良い物を作っていても、尊敬の眼差しで見られないということがある、ちぐはぐな国だなと思っていました。一方でファッションデザイナーだと一生先生(三宅一生)や耀司先生(山本耀司)とか川久保先生(川久保玲)のように象徴的な人がいます。もちろん海外にはマノロ・ブラニク(Manolo Blahnik)やサルヴァトーレ・フェラガモ(Salvatore Ferragamo)のように世界的に知られるシューデザイナーもいますが、履物の国の僕らがシューズデザイナーを真っ当にやって勝てるとは思えませんでしたし、実際馬鹿にされることも多かったんです。それで当時の日本人で、シューズデザイナーでファッションまでやって頑張っている人間がいないんだったら僕がそれをやろうと。要は可能性を広げたかったんですよね。

−挑戦することに前向きだったんですね

三原:今もそのスタンスは変わらないですね。それこそ日本の皮革業界全体で可能性を広げるチャレンジをもっとしていいと思います。そうでないと技術力も低下していくし、皮革製品を作りたいと考える若い人たちに夢を与えられない。

森永:職人さんもその傾向があると思います。僕が「こういうことをやりたい」とお願いしても「できない」と拒否されることが当たり前です。経験がないことに対してはかなり慎重というか。

三原:僕は、できないことを見つけられることの方が楽しいというかやりがいに感じますけどね。限界を超えたところに新たなクリエーションがあると思うので。

森永:三原さんはどうやって職人さんを説得しているんですか?僕はまず自分で作ってみて、これを作ってくださいと職人さんに伝えるようにしています。やはりサンプルがないと説得することは難しいですよね。

三原:僕も自分で作って説得していますけど、ジェネレーションギャップがあってやはり理解してもらえないことは多々あります。ミハラヤスヒロの靴を作っている早川さんと僕は30歳ぐらい離れていますが、そりゃ若造に「こんな靴が作りたい」と言われても話は聞かないですよ。ただそこで心が折れたら終わり。ジェネレーションギャップを悪い意味ではなく、エンドユーザーに伝えるために必要な過程だとポジティブに捉えることが大事だと思います。そもそも旧態依然とした徒弟制は改めたほうがいいでしょうし。

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森永:徒弟制を無くすとなると、三原さんは技術をどのように継承していけばいいと考えていますか?

三原:職人の技術を見て盗めばいい。教えてもらおうなんて都合のいいこと考えてたら育たないし、僕も昔はなぜこの工程が必要かなどと考えながら職人の技を盗んできました。今はテクノロジーが進歩して3Dプリンターもある時代ですから、過去を継承をしつつも革新的なものに対して貪欲にぶつかっていった方がいい。僕も年を取りましたから、時代に遅れてきているかもしれませんが(笑)。

−「ホフ」では日本のレザーを使っていますね

森永:イタリアのレザーはオイル感があって柔らかいんですが、日本のレザーは乾いた質感のものが一般的です。オイル感が強いと貼り合わせた時に剥がれやすくなるんですが、乾いたレザーは貼り合わせることで強度が増すので、このカードケースのようにステッチを表に出さないデザインが可能なんです。

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三原:4枚貼り合わせて、内側に2枚を縫い合わせているんですね。素材があってのクリエーションですね。

森永:4枚分の厚みが出るのが嫌だったので、斜め突きをして2枚が重なっているようにしか見えないデザインに仕上げました。これは絵型を書かずに自分でレザーを触りながらデザインしていったもので、デザイン画からは絶対生まれてこなかったであろう商品です。厚みも0.1mm違うだけで全然変わってしまうので、紙の上じゃできないモノづくりだと思っています。

−欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)発効を控える中、国内の皮革産業に足りないことは何だと思いますか?

三原:この間エコレザー(ECCO Leather)というオランダの会社に行ってきたんですが、レザーに対しての発想が全く違う。エコレザーは軽く塩漬けしてすぐに鞣す手法を採用していて、良い原皮を新鮮な間に鞣すということをやっていたんです。水を綺麗にするための施設も素晴らしかったんですが、1番感動したのは前衛的な経営者の存在でした。彼は世界中からレザーのエキスパート120名を招待し3日間缶詰にして、新しいレザーを発明することを目指したデザインキャンプを毎年開催しています。それこそ「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー™ (OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH™)」の革小物のデザイナーや、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」の靴担当の人がいたり、全員が一体感を持ってレザーについて真剣に考えていました。実際にそこで発表したアイデアは、商品にしたかったらできるんですよ。日本にはコンテストなどはありますが、一回限りで持続性がないのでそういう機会を作ることが大事だと思います。

森永:日本はこういう取り組みが足りないですよね。それこそ三原さんに仕切ってもらってプロジェクトを動かしてほしいです(笑)。

三原:若い世代の人は何の恩恵も受けてないですから、そういったところに還元していきたい思いはありますね。森永君もですが、とにかく若い人たちには世界に出て行くことを前提にどんどん新しい取り組みを行ってほしい。

森永:僕は新しいディテールや仕様に挑戦することが大事だと思っています。日本人は10分の1mm単位の裁断など細かな仕事が得意なので、そういったところを強みに世界にクリエーションを発信していきたいですね。

■「HOFF」が参加するポップアップショップ「IN THE CASE」
日時:11月1日(水)〜11月14日(火)
場所:伊勢丹新宿店メンズ館 1F=メンズアクセサリー
参加ブランド:エド ロバート ジャドソン(ED ROBERT JUDSON)、ホフ(HOFF)、スタンダードサプライ(STANDARD SUPPLY)、ケシキ(Ke shi ki)、リウル(LIWLE)、ザ・ピス(THE PITH)

IN THE CASE オフィシャルサイト

TIME & EFFORT オフィシャルサイト

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