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舞台裏——ミスター・ジェントルマン:白いランウェイにオオスミタケシの面影を見る

Image by: FASHIONSNAP

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舞台裏——ミスター・ジェントルマン:白いランウェイにオオスミタケシの面影を見る

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 定刻の19時を少し過ぎて、ショーが幕を開けた。ミスター・ジェントルマンと切っても切れない関係なのが音楽で、今回はKIRI、DSKE、瀧見憲司というブランドと関わりの深い3人の選曲を、バトンをつないでいくようにエディット。1月に急逝したSOPHIEの楽曲でAutechreがリミックスした「BIPP」も起用された。

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 クリーンなレイヤードスタイルの中で際立ったのが、ベージュとパープルの絶妙なカラーリング、そして愛と平和を願う様々なキーワードを落とし込んだグラフィック。ベーシックに一捻り加えながらジャンルをミックスするミスター・ジェントルマンならではのバランスで、ボリュームとディテールで遊ぶ自由なスタイルが提案された。

 終盤、どこか見覚えのあるルックが登場した。オオスミ氏が手掛けていた「フェノメノン(PHENOMENON)」の象徴的なコレクションである2010年のデビューショーを彷彿とさせる、白のフルレングスのシャツドレス。さらに、フェノメノンを代表するモチーフの「レモンツリーカモ」と「ブルータイガーカモ」の復刻プリントがレギンスに用いられた。これらはオオスミ氏へのオマージュとして、後からコレクションに加わったデザインだ。

 白い薔薇を手にしたモデル全員がランウェイに揃う、美しいフィナーレで起用された楽曲は、Fra Lippo Lippiの「Angel」。大きな天使はどこかで見守っていたのだろうか。

 最後は一人きりのデザイナー挨拶となったが、隣にいるはずの見えないパートナーを紹介するように、吉井氏は両手を右に差し出した。喪失感にかられながらも、オオスミタケシという面影を心に留める瞬間だった。

 再びバックステージへ。メイクを担当した津田雅世氏とヘアの宇津木剛氏、そしてショーを作り上げたスタッフらが、こみ上げる想いを胸に吉井氏を温かく迎え入れる。

メイクアップアーティスト津田雅世(MOD’S HAIR)、ヘアスタイリスト宇津木剛(PARKS)

 ショーが終わり、暗転した会場。無数の流星のようにレーザービームが走る"Heaven"と題された光の演出の中、オオスミ氏の写真と献花台が設置された。

 再び照明が灯ると同時に、流れはじめたのは大沢伸一氏によるモンド・グロッソ(MONDO GROSSO)の楽曲「ONE TEMPERATURE」。音楽界で活躍したオオスミ氏がBig-Oの名で参加した最後の曲だ。この日のために、大沢氏自身が特別なアレンジを加えて編曲。ピアノの旋律とBig-Oの繊細なラップが会場に響く。

 吉井氏の献花に続いて、来場客が一人一人、白い薔薇を手向けて追悼した。

 招待客が全て会場を出た後は、スタッフによる献花とお別れの時間。吉井氏は、全スタッフに向けて感謝の言葉を伝えた。

 「本当にありがとうございました。みなさんの細かい仕事の積み重ねで、このショーを行うことができました。1月にオオスミタケシは亡くなりましたけれども、とにかくファッションが好きな人だったので、最後はこのランウェイショーでお別れの会をさせていただくことができて、本人にとってこれ以上の名誉はないと思います。幸せ者だなと思っています」

 2012年のブランドデビューから10年弱。スタッフらはそれぞれの思い出を噛み締めながら、オオスミ氏の写真の前で思い思いの時間を過ごす。ビッグな愛に包まれたような温かい雰囲気と共に、関わった多くの人の心に刻まれる一日となった。

最終更新日:

12

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