Fashion インタビュー・対談

「1つのメゾン、異なるボイス」モンクレール新プロジェクトは業界の起爆剤になり得るか

 ファッションビジネスが大きな転換期を迎える中、プレミアムダウン市場を確立した「モンクレール(MONCLER)」が新たな一手を打つ。凍った8名が並ぶ謎の巨大広告が掲出されてから数日後、新プロジェクト「モンクレール ジーニアス ビルディング(MONCLER GENIUS BUILDING)」を発表。「1つのメゾン、異なるボイス」と掲げる同プロジェクトは、「非常に大きなチャレンジの時期を迎えている」というファッション業界の起爆剤になり得るのか?モンクレールのレモ・ルッフィーニ(Remo Ruffini)会長兼CEOに聞く。

 

ーモンクレール ジーニアス プロジェクトを始める前にコラボレーションラインのシグネチャーとも言える「モンクレール ガム・ルージュ(MONCLER GAMME ROUGE)と「モンクレール ガム・ブルー(MONCLER GAMME BLEU)」を終了した理由について教えてください。

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 ジャンバティスタ・ヴァリとトム・ブラウンは、モンクレールにとって鍵となる2つのコレクションの発展を長年にわたり支え続けてくれました。ブランドの価値を深く理解し、高い熱量を持った2人によるコレクションが、世界的な成功を収め多くの賞賛を獲得したことは言うまでもありません。ただ、継続する中でモンクレールとしては更なる成長と新たな領域を目指す段階にあり、同時に2人も自身のブランドに集中する時期となり、2018年春夏シーズンを最後に幕を閉じるという結論に至りました。

「モンクレール」がガム・ブルーとガム ・ルージュを終了

ー「モンクレール ジーニアス プロジェクト」について教えてください。

 このプロジェクトの始動はモンクレールブランドにとって新たな時代の幕開けとなります。私は、モンクレールという一つのブランドが、傑出した才能の持ち主たちが共に活動をする新たなハブとなることを期待しています。アイデアが生まれる場所となり、クリエーターたちがモンクレールのユニークさとアイデンティティを具現化するフィジカルな空間。言い換えれば、それぞれのビジョンがプロダクトを通じて現実のものとなる場なのです。

ー 具体的にはどのような取り組みですか?また、手がけるクリエーターは?

 モンクレール ジーニアス プロジェクトでは、クリエーターがモンクレールという共通言語を操り、「1つのメゾン、異なるボイス」というメッセージを届けていきます。そのメッセージを届けるモンクレール ジーニアスを手がけるクリエーターをご紹介しましょう。選定基準はモンクレールに対して「ユニークさをもたらすビジョンを持つ」人物かどうかです。

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1 Moncler Pierpaolo Piccioli (ピエールパオロ・ピッチョーリ)
2 Moncler 1952 - curated by Karl Templer (キュレーターとしてカール・テンプラー)
3 Moncler Grenoble - Sandro Mandrino (サンドロ・マンドリーノ)
4 Moncler Simone Rocha (シモーネ・ロシャ)
5 Moncler Craig Green (クレイグ・グリーン)
6 Moncler Noir - Kei Ninomiya (noir kei ninomiya 二宮 啓)
7 Moncler Fragment -Hiroshi Fujiwara (Fragment 藤原ヒロシ)
8 Moncler Palm Angels - Francesco Ragazzi (Palm Angelsフランチェスコ・ラガッツィ)

 モンクレールの全てのコレクションがジーニアス ビルディングの上記8カテゴリに集約されるイメージで、これまでメインコレクションと位置付けてきたものはカール・テンプラーがキュレートする「モンクレール 1952」として展開されます。また、コレクションラインの「モンクレール グルノーブル」を手がけるのはこれまで通りチーフデザイナーのサンドロ・マンドリーノです。「モンクレール C」という名称で2シーズンほどコラボレーションしたグレイグ・グリーンにも、今回のプロジェクトにも参画してもらいました。

ー 日本からは藤原ヒロシ氏と二宮啓氏が起用されています。

 モンクレールは以前から日本人デザイナーとコラボレーションを行ってきましたが、常に感じているのは、彼らとの出会いそのもの以上に、コレクションをともに作り上げ、命を吹き込んでいくまでの過程、そして完成したコレクションはどれも素晴らしいということです。私は常々、日本人とモンクレール、それぞれが持つ美意識は非常に近いと感じています。今回発表する2人による2つのコレクションはそれをよく表したもので、モンクレールのヘリテージと二人のビジョンの完璧なハーモニーにより、傑出した個性を宿したプロダクトに仕上がっていると思います。

ー レモ氏から見た日本人クリエーターの特長は?また過去のコラボレーションで最も記憶に残っているデザイナーはいますか?

 私の見解では、日本人のデザイナーは「実験」への熱心な姿勢と、異なる素材や要素をミックスさせ、質の高いコレクションを作り上げる能力に長けていると思います。これまで行ったコラボレーションすべてが素晴らしいものでしたので選べませんね。もちろん、今回の藤原氏と二宮氏が制作したコレクションも決して期待を裏切りませんよ(笑)。


xmoncler-sacai-preview-10SS_0120170115.jpg過去にはsacaiとのコラボレーションも

ー モンクレールは早期からコラボレーションに取り組みブランドの価値を高めて来ましたが、このプロジェクトはコラボレーションとは何が違うのでしょうか?

 仰る通り、モンクレールは今では一般的なコラボレーションという手法がまだ浸透していない時期から多くのデザイナーとのコラボレーションを行ってきました。モンクレール ジーニアスはコラボレーションという手法をさらに推し進めたものとして考えています。ブランドのアイデンティティとなる側面を持ち寄った8つの異なるコレクションを同時に発表する。我々が目指すのは先ほども申し上げた「1つのメゾン、異なるボイス」です。

ー SNSの普及によりファッションビジネスが日々変化していますが、そういった中でブランドには何が求められると思いますか?

 私が思うに、今日のファッション業界は非常に大きなチャレンジの時期を迎えていると思います。オンラインを中心に回る世界はコンスタントな変化の連続です。コミュニケーションはとてつもないスピードで行われ、消費者は常に刺激と新たなエナジーを求めています。全てのブランドはそれに正面から向きあい、絶えず起こる変化に対応し、顧客と真の対話を行うための努力を重ねなければなりません。

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ー 安価で良質なダウンが登場してもなお"プレミアムダウン"ブランドとしての地位を保ち続けているように思いますが、モンクレールにとっては今が転換期となるのでしょうか。

 当初から戦略として掲げてきた「グローバル ダウン ストラテジー」は品質、パフォーマンス、スタイルの3つを軸にさまざまな顧客へとアプローチするというもので、常に新しい表現方法を見つけ出し、コレクションを発表することで、ブランドとしての個性を養ってきました。今は、個性とともに養ったクリエイティビティーやビジョン、テクノロジーを新たな方向性を探り進化するために活用していく時期だと考えます。モンクレール ジーニアス プロジェクトの始動と共に、ブランドが新たなチャプターを迎えられることを誇りに思っています。

関連:藤原ヒロシやギャルソン二宮啓ら参加、「モンクレール ジーニアス」の詳細が明らかに

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