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【令和のマストバイヴィンテージ】今買っておくべき名品は? vol.52 M-35 デニムプルオーバー編

アメリカ陸軍M-35

Image by: FASHIONSNAP

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【令和のマストバイヴィンテージ】今買っておくべき名品は? vol.52 M-35 デニムプルオーバー編

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 歴史的背景を持つ、ヴィンテージ古着。人気が高く希少なアイテムの価値は高まり続け、一着に数千万円なんて価格が付くこともしばしば。「こうなってしまってはもう、ヴィンテージは一部のマニアやお金持ちしか楽しめないのか・・・」と諦める声も聞こえてきそうです。

 でも、そんなことはありません。実は、現時点で価格が高騰しきっておらず、ヴィンテージとしての楽しみも味わえる隠れた名品もまだまだ存在します。この企画では、そんなアイテムを十倍直昭自身が「令和のマストバイヴィンテージ」として毎週金曜日に連載形式で紹介。第52回はM-35 デニムプルオーバー編。

VCM inc.代表取締役

十倍直昭

2008年よりヴィンテージショップを運営。その後2021年には、ヴィンテージ総合プラットフォーム VCM(@vcm_vintagecollectionmall)を立ち上げ、来場者を1万人以上を動員する、日本最大級のヴィンテージの祭典「VCM VINTAGE MARKET」を主催している。
また渋谷パルコにて、マーケット型ショップの「VCM MARKET BOOTH」、エルメスジュエリーを専門に取り扱う予約制ショップ「VCM COLLECTION STORE」、イベントスペース「VCM GALLERY」を運営。
2023年10月には初の書籍「Vintage Collectables by VCM」を刊行するなど、ヴィンテージを軸とした様々な分野で活動し、全国のヴィンテージショップとファンを繋げる場の提供や情報発信を行っている。

1935年に生まれたUSアーミーの「ミリタリーデニム」

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 今回はUSアーミー(アメリカ陸軍)のヴィンテージの中でも非常に人気が高く、かつ流通量も少ないためマニア垂涎のアイテムになっているデニムプルオーバーを紹介します。ヴィンテージを象徴する素材であるデニムは、代名詞であるジーンズが1849年のゴールドラッシュがきっかけで生まれたので、「デニム=ワークウェア」というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。今回ピックアップしたM-35は、パッと見ワークウェアのようですが、実はミリタリーウェア。「ミリタリーデニム」というジャンルに括られるアイテムです。

アメリカ陸軍M-35

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 シャンブレーシャツの記事で、20世紀初頭にアメリカ海軍でシャンブレーやデニム素材が採用されたことに触れましたが、同じ頃にアメリカ陸軍でもデニムが制服の素材に用いられることになりました。と言っても、デニム素材の制服を着用したのは最前線で戦う兵士ではなく、整備や荷役、工営などの後方作業に従事する補給部隊に属していた人たち。つまり、作業服の素材としてデニムが採用されたんです。

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 M-35が登場したのは、その名が示す通り1935年のこと。同じタイミングで、このジャケットとともにデニムパンツも採用されています。ですがその2年後の1937年に、M-37というデニムジャケットとパンツが後継品として発表されました。つまり、M-35はたった2年しか製造されなかった、希少性の高いアイテムなんです。

 M-35の最大の特徴は、他のアイテムではなかなか見ない、両胸に施されたポケット。かなりの大きさですが、マチがないので意外とすっきりと着られます。一応ジャケットという位置付けのアイテムであるものの、当時は裾をウエストに入れて着る人も多かったようです。この個体はかなり状態が良い部類に入りますが、ボロボロになっても格好良いと思います。

アメリカ陸軍M-35

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 また、デザインがシンプルなのでミリタリーウェアでよく用いられるメタルボタンが映えるのも魅力のひとつです。生地は、「リーバイス(Levi’s®)」などのデニムブランドのアイテムと比較して薄手のオンス。メリハリがあるダイナミックな色落ちではなく、上品な雰囲気で色落ちしていくことが多い印象です。

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進化を続けるミリタリー素材

 デニムはワークウェアの素材として確固たる地位を築きましたが、実はミリタリーウェアでは主流になりませんでした。安価で頑強というミリタリーウェアに求められる要素を備えているものの、重くて乾きが遅く、色落ちや縮みが発生するデニム素材は、1940年代から徐々にヘリンボーンツイル素材に置き換えられていきます。そのヘリンボーンツイル素材も、第二次世界大戦後はサテンなどに取って代わられ、さらにそれ以降はナイロンやポリエステルなどの化学繊維が増えていきます。ミリタリーウェアにはそのときどきの技術の粋が結集されているので、年代ごとの違いを調べてみるのも楽しいですよ。

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  僕がM-35で気に入っているポイントが、そのファッション性の高さです。いわゆるシャツでもジャケットでもないプルオーバータイプで、「いかにもミリタリー」という印象が薄めなシンプルなデザイン、そしてゆったりとした短丈のボックスシルエットで、今のカジュアルファッションに取り入れやすいんです。是非とも多くの方にオススメしたい逸品なのですが、ヴィンテージのM-35は先述の通り希少性が高いこともあり、市場価格はかなりのもの。ですが、買いやすい価格の復刻アイテムが数多く出ているので、興味がある方はまずそちらを手にしてみてはいかがでしょうか。

編集:山田耕史 語り:十倍直昭

最終更新日:

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